アイルランドではありません、ニューヨークのシンガー・ソングライターです。11月の頭に来日して、長野、鎌倉、東京・下北沢でライヴをします。プロフィールやスケジュールはこちらをどうぞ。個人的なお友だち招聘らしい。

 で、この人、聞いてみるとまるでアメリカ人らしくない。アメリカで「フォーク」と呼ばれ、こちらではシンガー・ソングライターと呼ばれることが多い人た ちには、まず例外なく独特の体臭があります。各々独自のものではありますが、体臭にはちがいない。その人特有の臭いです。

 この人はその体臭がほとんどない。ない、というとたぶん違うので、これがこの人の体臭なのだと言うこともできるかもしれませんが、その体臭がきわめて薄いのです。ほとんどブリテンのシンガー・ソングライターとでも言えるくらいに薄い。

 歌い方からして「非アメリカ的」で、まるで力を入れないという点では初期のスザンヌ・ヴェガあたりに共通するところもありますが、彼女にもやはりある アメリカ的な「押しつけがましさ」(これは必ずしも欠点ではありません)すらこの人にはない。一番近い例を捜せば、夫婦時代のゲイ・ウッズでしょうか。

 バックもその資質をよくわかっている人たちのようで、これまた、例えばソロを張って主役を食うような野暮は一人もいません。むしろミニマル的な、前に出てこない歌が自然に浮きでるような風景を提供することに腐心しているようです。

 もちろん、この印象は録音、それも友人がわざわざ作って送ってくれたサンプラーだけを聞いてのことなので、全体像ではないでしょうが、それを確認するためだけでも、ライヴには行く価値があるかと思ってます。(ゆ)