東京・吉祥寺の月刊イベント Winds Cafe の来月は瞽女の唄を受継ぐ月岡祐紀子さんのライヴだそうです。これはちょっと見逃せないでしょう。特に第二部。

 瞽女ってなんだ、という方は、とにかくこの2枚のCDを聞いてください。
瞽女うた 長岡瞽女編
瞽女うた 高田瞽女編



                    ● WINDS CAFE 118 ●

                            【ごぜうたがたり】

                       月岡祐紀子(民謡唄・三味線)
                  10月15日(日) 午後6時開場
   WINDS GALLERY 東京都武蔵野市吉祥寺本町3-4-11 7F *電話はありません
入場無料(投げ銭方式)/パーティー用の差し入れよろしく!(主にお酒や食べ物)
18:00 開場
18:30 開演
20:00 パーティー+オークション

▼プログラム
 第一部 広大寺節を追って 〜瞽女唄から民謡へ〜
 第二部 段物「葛の葉の子別れ」(一段目通し)

▼川村からひとこと

 昨年秋、鼓奏者の仙堂新太郎さん経由で、三味線奏者の吉澤昌江さんから、連絡
が入りました。吉澤さんの勤務先の盲学校の文化祭の資料室の展示コーナーに、月
岡さんがいらした、という内容なのですが、この先が面白い。曰く:「盲目の女旅
芸人ごぜ芸能の伝承者として活躍されている方のようです。(この方は若い晴眼の
方ですが。)こういう方の瞽女歌も WINDS CAFE でやったらいいのではと、ふと思
いました」とあるではありませんか。吉澤さん経由でさっそく打診してみたら、今
回の公演があっという間に決まりました。なんかもりだくさんなプログラムになり
そうで、今から大変楽しみです。課題図書(笑)も下の方にございますので、ぜひ事
前にご一読のほど。当日お持ちくださればもれなくサイン会(笑)。


▼月岡祐紀子さんからの手紙

 瞽女(ごぜ)をご存知の方は、果たしてどれくらいいらっしゃるでしょうか。瞽
女というのは、盲目の女旅芸人のことです。三味線と唄を生きる杖に、女性のみの
集団で旅と芸に人生をおくりました。

 古くは室町時代の文献にも登場し、日本全国にいましたが、明治以降しだいに数
を減らし、新潟にわずかに残るのみとなり、ついに昨年、最後の瞽女となられた小
林ハルさんも亡くなられてしまいました。

 瞽女さんたちの芸の中心は、説経節の流れをくんだ「安寿と厨子王」などの長大
な物語歌の弾き唄い。そしてまた、民謡など当時のはやり唄を風のように運んでい
く伝播者でもありました。

 今回のライブでは、第一部では、瞽女さんがはやらせ、津軽のじょんがら節を生
み出したと言われる「広大寺節」の流れを歌で追ってみたいと思います。

 第二部では、物語唄「葛の葉の子別れ」一段目の通し演奏に挑戦します。一段が
約40分(全段で3段)と長いため、なかなか通し演奏の機会に恵まれないのですが、
今回 WINDS CAFE という自由な場を得て通しが実現しました。往時には集まった村
人が、一晩目は1段目、翌晩は2段目と、わくわくしながら聴いていったという、連
続ドラマのようであった物語唄。どうぞお楽しみに!

*「葛の葉の子別れ」ストーリー:しのだの森に住む化狐は、罠にかかっていると
ころを阿部保名というお侍に助けられる。保名に恋をした狐はいいなずけに化けて
嫁入りし、かわいい息子も生まれるが、ある日正体がばれ、泣く泣くしのだの森に
帰っていくのだった。


▼プロフィール

●月岡祐紀子(つきおか・ゆきこ):武蔵野女子大学(現武蔵野大学)文学部日本
文学科卒。第44期NHK邦楽技能者育成会終了。幼い頃より民謡を学ぶ。三味線を
本條秀太郎氏に師事。高校生の時、盲目の女旅芸人の芸能、瞽女唄、瞽女三味線と
出会い、感銘を受け新潟へ。最後の瞽女といわれる小林ハル氏、杉本シズ氏、難波
コトミ氏らの元に通い交流を重ねる。瞽女芸能の本場である上越市とのかかわりも
深く、「2002年度瞽女憲章記念公演」に出演を招かれて以来、年2回程度、市主催
の文化イベントに出演。大学卒業時、瞽女の旅を追体験しようと、三味線を奉納演
奏しながらの四国八十八ヶ所歩き遍路に挑戦。その様子が、ドキュメンタリー番組
「娘三味線へんろ旅」(愛媛県南海放送制作・ナレーション桃井かおり氏)として、
全国放送され、放送文化基金賞の出演者賞を受賞。この旅日記を朝日新聞四国版、
関西版に1年間連載、加筆後「平成娘巡礼記」として刊行。和楽器のオーケストラ
グループ「むつのを」メンバー。

平成娘巡礼記」(文藝春秋新書)
うらやましい人 '03年版ベスト・エッセイ集」(文藝春秋社)集録
遍路組曲」(東芝EMI)

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▼以下は WINDS CAFE 公式サイトでご確認ください

 会場地図
 オークションについて
 予告編
 過去の企画

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 WINDS CAFE とは、1997年1月から、川村龍俊が、現代陶芸家の板橋廣美氏の私邸
である、東京吉祥寺の空中庭園 WINDS GALLERY を私費で借り上げて、音楽を中心
に美術演劇映画などさまざまなジャンルの方々に企画していただきながら続けてい
る、イベント+パーティーです。いわゆる「オフ会」ではありません。

 基本的に入場料は無料、出入り自由で、パーティーでの飲食は参加者のみなさま
からの差し入れを期待しております。

 ご来場にあたって予約は必要ありません。

 WINDS CAFE のコンセプトは、「好きなことやものを楽しんでいる人と一緒にい
るのはなんて楽しいことだろう」です。出演を依頼するときには、このコンセプト
を共有していただけることが条件になっています。