昨日配信した本誌でご紹介した、北海道のバンド、らぶらぶバンドのCD購入ご希望の方は、バンドのブズーキ担当、田澤即(たざわ・ちかし)さんまでメールでご連絡ください。
この田澤さんのブズーキはなかなかおもしろく、ふつう見られるドーナル型のリズムをあおるタイプではなくて、どちらかというとアレック・フィンの流れを汲むもののようです。デ・ダナンでのアレックのブズーキはリズムを刻むのではなく、いわゆる裏メロをとったり、古楽の通奏低音のような役割をしています。
あ、ドーナル・ラニィ自身のブズーキがいつもいつもハードにリズムを刻んで煽っているわけではありません、念のため。
この田澤さんのブズーキにも現れているように、らぶらぶバンドの演奏にはつつしみが感じられます。自分たちがやりたいテンポを曲に押しつけるのではなく、曲自体に耳を傾け、曲と自分たちの周波数がちょうど合うテンポを慎重に探りあてています。だから〈Fanny Power〉と〈Planxty Irwin〉では同じカロラン・チューンでもテンポが変わってきます。リールだからとて何でも速いわけではなく、このアルバムで一番スピード感のあるのはポルカです。
個々の曲のテンポが曲にとっても、バンドにとっても無理がない。だから、聞く方も無理なく聞けます。余計なところに力が入らない。音楽に身も心も無心にゆだねることができます。
録音も優秀です。ダルシマーの響きも多すぎず、少なすぎず、ちょうど良い感じですし、コンサティーナのボタンの音も、リアル感を増しています。加えてフィドル、コンサティーナ、ダルシマー、ブズーキ、バゥロンの音量のバランスが絶妙。聞きたい音がきちんと前面に出ていますし、押さえた楽器も埋もれてしまうのではなく、しっかりキャラクターは立っています。
どんなシステムで聞いても楽しく聞けると思いますが、システムの質を上げればさらに一層楽しめるでしょう。
選曲もよく練られていることはメルマガでも触れましたが、1、2曲オリジナルも入っているようで、タイトルからしてオリジナルらしい[06]は、明るさの中に翳りを含んだメロディをコンサティーナとギターでしっとりと演じていて、聞くほどに沁みてきます。国籍不明なところもあって、「ケルト」としか呼びようがありませんが、どこか日本的な香りも漂います。北の大地の香りでしょうか。
最後のワルツがゆっくりと終わった直後に、もっとやれーというようになく犬の声がなごみます。ニッティ・グリッティ・ダート・バンドのテディを思いだしました。
* * * * *
らぶらぶバンド Vol. 1
01. Fanny Power
02. Strayaway Child -- Jig
03. Teetotalers -- Reels
04. GOE -- Reels
05. Steamboat -- Hornpipes
06. Na-Ma-E
07. Planxty Irwin
08. Dale Russ -- Polkas
09. Inamori Dance -- Jigs
10. Rinka -- Waltz
(作曲者のクレジットはなし)
Eiji "あしれ" Watabe: fiddle
Satoe "しゅが" Watabe: hammer dulcimer
Hiromi "じょせ" Tazawa: concertina
Chikashi "あんで" Tazawa: guitar, bouzouki
Shiro "くに" Watanabe: bodhran, bones
John "じょん" Watabe: dog
この田澤さんのブズーキはなかなかおもしろく、ふつう見られるドーナル型のリズムをあおるタイプではなくて、どちらかというとアレック・フィンの流れを汲むもののようです。デ・ダナンでのアレックのブズーキはリズムを刻むのではなく、いわゆる裏メロをとったり、古楽の通奏低音のような役割をしています。
あ、ドーナル・ラニィ自身のブズーキがいつもいつもハードにリズムを刻んで煽っているわけではありません、念のため。
この田澤さんのブズーキにも現れているように、らぶらぶバンドの演奏にはつつしみが感じられます。自分たちがやりたいテンポを曲に押しつけるのではなく、曲自体に耳を傾け、曲と自分たちの周波数がちょうど合うテンポを慎重に探りあてています。だから〈Fanny Power〉と〈Planxty Irwin〉では同じカロラン・チューンでもテンポが変わってきます。リールだからとて何でも速いわけではなく、このアルバムで一番スピード感のあるのはポルカです。
個々の曲のテンポが曲にとっても、バンドにとっても無理がない。だから、聞く方も無理なく聞けます。余計なところに力が入らない。音楽に身も心も無心にゆだねることができます。
録音も優秀です。ダルシマーの響きも多すぎず、少なすぎず、ちょうど良い感じですし、コンサティーナのボタンの音も、リアル感を増しています。加えてフィドル、コンサティーナ、ダルシマー、ブズーキ、バゥロンの音量のバランスが絶妙。聞きたい音がきちんと前面に出ていますし、押さえた楽器も埋もれてしまうのではなく、しっかりキャラクターは立っています。
どんなシステムで聞いても楽しく聞けると思いますが、システムの質を上げればさらに一層楽しめるでしょう。
選曲もよく練られていることはメルマガでも触れましたが、1、2曲オリジナルも入っているようで、タイトルからしてオリジナルらしい[06]は、明るさの中に翳りを含んだメロディをコンサティーナとギターでしっとりと演じていて、聞くほどに沁みてきます。国籍不明なところもあって、「ケルト」としか呼びようがありませんが、どこか日本的な香りも漂います。北の大地の香りでしょうか。
最後のワルツがゆっくりと終わった直後に、もっとやれーというようになく犬の声がなごみます。ニッティ・グリッティ・ダート・バンドのテディを思いだしました。
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らぶらぶバンド Vol. 1
01. Fanny Power
02. Strayaway Child -- Jig
03. Teetotalers -- Reels
04. GOE -- Reels
05. Steamboat -- Hornpipes
06. Na-Ma-E
07. Planxty Irwin
08. Dale Russ -- Polkas
09. Inamori Dance -- Jigs
10. Rinka -- Waltz
(作曲者のクレジットはなし)
Eiji "あしれ" Watabe: fiddle
Satoe "しゅが" Watabe: hammer dulcimer
Hiromi "じょせ" Tazawa: concertina
Chikashi "あんで" Tazawa: guitar, bouzouki
Shiro "くに" Watanabe: bodhran, bones
John "じょん" Watabe: dog
コメント
コメント一覧 (4)
このように紹介していただいて、ありがとうございます。感激です。
僕たちはハード・トゥ・ファインドに憧れて、この音楽を始めました。北海道には僕らのようなチルドレンがたくさんいます。
今回の録音はハード・トゥ・ファインドのギター弾きである星直樹さんが担当してくれました。彼は素晴らしいエンジニアでもあるのです。
[06]はひとから教えてもらった曲で、僕たちのオリジナルではないんです。タイトルもわからないので「なまえ」という名前で呼んでいるのです。
これからも、楽しみながら、長く続けていきたいと思います。
ありがとうございました。今後ともよろしくお願いします。
[06]はそういうことなら、何か「勝手」に名前をつけてもいいかもしれませんね。アイルランドの人びとはよくそうしますし。習った相手のお名前をつけたり。
この曲、どこかで聞いた感じのフレーズがうまくブレンドされていて、心のツボにビンビン効きます。
[09]はいかがですか。これもちょっと変わったメロディが気持ちよいです。
曲の由来とか、メドレーの個々の曲のタイトルとか、何らかの形で書いていただけるとますます興趣が高まります。
テンポだけでなく、メロディのフレージングやアレンジのセンスもたいしたものだと思います。
どうか、末長く、続けてください。
北海道はなんか、凄いことになっているみたいですね。「日本のドニゴール」の色を、ますます濃くしているようです。
ハード・トゥ・ファインドやリンカのアルバムもそうですが、録音のすばらしさも出色だと思います。
音楽と録音が相まって、心が洗われます。