モザイクの新譜の歌詞対訳をひと通りあげ、わからないところをアンディにメール。ソッコーで返事が返ってきて驚く。アメリカに着いたばかりでこれから寝るから後で返事する。なにやらハンドヘルドから送ってきている。

 冒頭の〈オドノヒューの店〉(アンディは「オドノフー」と発音している)は、1962年、アンディが演劇から音楽の世界に転身するきっかけとなった店の様子をうたっていて、人名が続出。まったくの無名で、ネットをさらっても何も引っかかってこない人が数人いる。

 それにしても、アンディが音楽に転向するきっかけがダブリナーズというのは、あらためて興味深い。

 今度のはスタジオ録音で、さすがにドーナル、緻密な音作り。緻密だが、音楽のダイナミズムが増幅されるような緻密な音作り。こういう芸当はドーナルの独壇場。このメンツで悪いものができようはずはないが、むしろ、素材が良いだけに、本当の味をひきだすには料理人の腕が求められる。すなおにそのままストレートに処理するのはまだシロウトであらふ。ドーナルくらいになると、一見ストレートに見えながら、実は微妙な調整をして、ストレートよりもストレートに、生よりも生らしく、仕上げてくれる。

 午前中は、ライナーのため、あれこれ聞き比べ。ブルースのレパートリィであるオールド・タイム・チューン〈Sail away lads〉、本来は〈Sail away lady〉の Uncle Bunt Stephens の古い録音がハリー・スミスのアンソロジーに入っていて、聞きほれてしまう。なんと言うことはない曲なのだが、くりっという装飾音がカイカーン。SPからの復刻で、えらく音がいい。うーん、このアルバム、こういう風に断片的にしか聞いていないが、一度じっくり耳を傾けてもいいな。

 この曲、意外にも Gerry Goffin がソロのファースト、「ブラック・ホークの99選」にも入っている《IT AIN'T EXACTLY ENTERTAINMENT》で取りあげている。フィドルとバンジョーでさらりとやっている。バリバリのスワンプの中にこういう曲をひょいと入れるセンスはさすが。

 夜、「ケル・クリ」のチケットを買っていなかったことを思いだし、あわててネットで注文。横須賀のフロアはもう後ろのほうしか殘っていないので、あこがれのバルコニー席にしてみる。トリフォニーでも一度あそこに座ってみたかったのよね。(ゆ)