Go-Vibe Petite(以下 GVP と略称) には DAC 付きとアンプ単体がある。はずだが、何も言わないと DAC 付きが来る。DAC の入力は USB で、小さな台形のジャックが裏側にある。裏というのは音量ダイアルのある側を表にしてだ。ごくふつうの USB 接続コードが付属する。
使われているチップは Burr-Brown Japan PCM2702。ポータブル・アンプに付いている DAC はたいていこれを使っているらしい。このチップは動かすのにソフトウェアが不要とのことで、Mac でもつなげばそのまま使える。つなぐと システム環境設定>サウンド>出力 に Burr-Brown と出るので、そちらを選択する。当然選択しないとこちらから音は出ない。ちなみに GVP のパワーをオンにしなくても Burr-Brown の表示は出る。GVP 側では表、つまり出力ジャックの隣の入力ジャックを空けると DAC に切り替わる。ここに何かささっているとDACからの音は出ない。
この DAC 機能はなかなか便利だ。何より実に簡単に Mac の再生音を高音質化できる。USB 接続してイヤフォンなりヘッドフォンなり、あるいは外付けのスピーカを GVP の出力ジャックにつなげば、Mac から出る音が全部 GVP の音になる。アラートやメールの送信音までやけにリアルになる。
これが最も威力を発揮するのはまず DVD だ。今《TRANSATLANTIC SESSIONS 3》(以下 TAS3 と略称)にもろにはまっているのも、この「システム」のおかげかもしれない。もう DVD プレーヤーやTVなんぞ、要らない。Mac なら PAL でも何も言わずに再生するし、音楽ビデオはリージョン無しがほとんど。大きさも iMac の20インチで十分だ。人間が注視できる視野はそんなに広くないだろう。というのは、大画面TVを置けるスペースもない兎小屋に住んでる僻みももちろんあるが、「ディスカバリー・チャンネル」ならまだしも、音楽関係のビデオで広大な画面が必要なものはまず無い。まあオペラの一部ぐらいか。
TAS3 で「発見」した一人に Darrell Scott がいる。なんといっても〈You'll never leave Harlan alive〉がもう最高。カレン・マシスンがハーモニーをつけ、ドナルド・ショウがアコーディオンを添えるのもこの企画ならでは。カレンの実に楽しそうな様子。それに向けるダレルの眼の優しさ。ここではミュージシャンたちは観客にむかってではなく、レコードの買い手のためでもなく、自分たちのためにうたい、演奏している。ジェリィ・ダグラスのドブロもいつものことながら冴えわたるけれど、その後、一度、アリィ・ベインのフィドルと主人公の二人だけになるところが泣かせる。このビデオを見てしまうと、公式サイトの写真は別人ではないか。
DVD は読み込んでしまえば、iTunes でも再生できるのもうれしい。ビデオと音楽と同じインターフェイスで操作できるのは革新的とも言える。リッピングには Handbrake を使っている。こういうものがタダとは、ありがたや、ありがたや。
で、この人の音源は他に持っていなかったかとiTunes のライブラリに検索をかけたら、ティム・オブライエンとの共作《REAL TIME》があった。これがまた良い。一昨年ティムの初来日に際してまとめて買ったものの1枚で、その時には通りいっぺんの聞きかたしかしていなかったらしい。ほとんど二人だけで、ギター、マンドリン、バンジョーを駆使しながら、オリジナルやハンク・ウィリアムスやトラディショナルをうたう。素材の出自よりも遥かに古い、アパラチアの山を造っている根っこまで降りていって、そこからうたっているように聞こえる。むろん、うたっている人もうたわれているうたも、山の斜面や谷にしがみついているにすぎないが、構想としては山の根を掘りおこし、そこに生きる根拠を見いだそうと努めている。つまるところそれを無視してアメリカの大地に生きることを許される道理がない。そうした切羽詰った想いがここには聞きとれる。いや、剥き出しになっている。ふたりの切迫感と資質がよく似ている。ほとんど双子といってもよいくらいだ。まったく対等でもある。かといって例えばアンディ・アーヴァインとディック・ゴーハンの 《PARALLEL LINES》 のように、平行線であることで価値を生むものとも違う。対決に逃げることも、馴れ合いに堕すこともない。これはなかなか珍しい部類ではあるまいか。
今回はダレル・スコットの側から聞いているので、〈There ain't no easy way〉のようなうたが沁みる。TAS3 の〈Harlan〉も同じなのだが、低い声でささやくようなうたいだしに一気に引きこまれる。低いときのダレルの声は倍音が豊富なのか、響きが深い。GVP はこういう音が得意らしい。これもきっとあんな風に頭を左右に振りながらうたっているにちがいない。やはり一度生で見たい。
というわけで、わが家の iMac + BauXar Marty10、MacBook + TIMEDOMAIN light は、GVP をかませるだけで現在最高の音楽視聴環境に変身する。しかも GVP は USB 経由の充電機能も備えているので一石二鳥でもある。ますます Long live the Go-Vibe! なのだ。(ゆ)
使われているチップは Burr-Brown Japan PCM2702。ポータブル・アンプに付いている DAC はたいていこれを使っているらしい。このチップは動かすのにソフトウェアが不要とのことで、Mac でもつなげばそのまま使える。つなぐと システム環境設定>サウンド>出力 に Burr-Brown と出るので、そちらを選択する。当然選択しないとこちらから音は出ない。ちなみに GVP のパワーをオンにしなくても Burr-Brown の表示は出る。GVP 側では表、つまり出力ジャックの隣の入力ジャックを空けると DAC に切り替わる。ここに何かささっているとDACからの音は出ない。
この DAC 機能はなかなか便利だ。何より実に簡単に Mac の再生音を高音質化できる。USB 接続してイヤフォンなりヘッドフォンなり、あるいは外付けのスピーカを GVP の出力ジャックにつなげば、Mac から出る音が全部 GVP の音になる。アラートやメールの送信音までやけにリアルになる。
これが最も威力を発揮するのはまず DVD だ。今《TRANSATLANTIC SESSIONS 3》(以下 TAS3 と略称)にもろにはまっているのも、この「システム」のおかげかもしれない。もう DVD プレーヤーやTVなんぞ、要らない。Mac なら PAL でも何も言わずに再生するし、音楽ビデオはリージョン無しがほとんど。大きさも iMac の20インチで十分だ。人間が注視できる視野はそんなに広くないだろう。というのは、大画面TVを置けるスペースもない兎小屋に住んでる僻みももちろんあるが、「ディスカバリー・チャンネル」ならまだしも、音楽関係のビデオで広大な画面が必要なものはまず無い。まあオペラの一部ぐらいか。
TAS3 で「発見」した一人に Darrell Scott がいる。なんといっても〈You'll never leave Harlan alive〉がもう最高。カレン・マシスンがハーモニーをつけ、ドナルド・ショウがアコーディオンを添えるのもこの企画ならでは。カレンの実に楽しそうな様子。それに向けるダレルの眼の優しさ。ここではミュージシャンたちは観客にむかってではなく、レコードの買い手のためでもなく、自分たちのためにうたい、演奏している。ジェリィ・ダグラスのドブロもいつものことながら冴えわたるけれど、その後、一度、アリィ・ベインのフィドルと主人公の二人だけになるところが泣かせる。このビデオを見てしまうと、公式サイトの写真は別人ではないか。
DVD は読み込んでしまえば、iTunes でも再生できるのもうれしい。ビデオと音楽と同じインターフェイスで操作できるのは革新的とも言える。リッピングには Handbrake を使っている。こういうものがタダとは、ありがたや、ありがたや。
で、この人の音源は他に持っていなかったかとiTunes のライブラリに検索をかけたら、ティム・オブライエンとの共作《REAL TIME》があった。これがまた良い。一昨年ティムの初来日に際してまとめて買ったものの1枚で、その時には通りいっぺんの聞きかたしかしていなかったらしい。ほとんど二人だけで、ギター、マンドリン、バンジョーを駆使しながら、オリジナルやハンク・ウィリアムスやトラディショナルをうたう。素材の出自よりも遥かに古い、アパラチアの山を造っている根っこまで降りていって、そこからうたっているように聞こえる。むろん、うたっている人もうたわれているうたも、山の斜面や谷にしがみついているにすぎないが、構想としては山の根を掘りおこし、そこに生きる根拠を見いだそうと努めている。つまるところそれを無視してアメリカの大地に生きることを許される道理がない。そうした切羽詰った想いがここには聞きとれる。いや、剥き出しになっている。ふたりの切迫感と資質がよく似ている。ほとんど双子といってもよいくらいだ。まったく対等でもある。かといって例えばアンディ・アーヴァインとディック・ゴーハンの 《PARALLEL LINES》 のように、平行線であることで価値を生むものとも違う。対決に逃げることも、馴れ合いに堕すこともない。これはなかなか珍しい部類ではあるまいか。
今回はダレル・スコットの側から聞いているので、〈There ain't no easy way〉のようなうたが沁みる。TAS3 の〈Harlan〉も同じなのだが、低い声でささやくようなうたいだしに一気に引きこまれる。低いときのダレルの声は倍音が豊富なのか、響きが深い。GVP はこういう音が得意らしい。これもきっとあんな風に頭を左右に振りながらうたっているにちがいない。やはり一度生で見たい。
というわけで、わが家の iMac + BauXar Marty10、MacBook + TIMEDOMAIN light は、GVP をかませるだけで現在最高の音楽視聴環境に変身する。しかも GVP は USB 経由の充電機能も備えているので一石二鳥でもある。ますます Long live the Go-Vibe! なのだ。(ゆ)
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