編集部が京都四条烏丸にある関係で、毎年この時期は祇園祭でてんてこ舞いになります。そのあおりで今月の配信は23日を予定してます。乞うご容赦。

 それにしても良かったです、トニィ・マクマナス。ギターというのがあんなに美しい音を出す楽器だとは、あらためて思いしらされました。こうしてみると、ギターはピアノに似ています。音を出す原理も似たようなものですが、楽器の在り方として似ている。終わっててくてく帰りながら、キース・ジャレットに似ていると思ったことであります。

 ケルト系でも、楽器のソロ演奏はもちろんあるし、それぞれに味わい深いものですが、ギターのソロはちょっと立場が違いますね。フィドルにしてもフルートにしてもパイプにしても、ソロはあくまでもソロ、いわば単相であるわけですが、ギターは単相にも福相にもなる。リズムも刻めるし、メロディも奏でられる。両方同時にもできる。ですから、ギターでしか演奏できない、聞くことができない音楽がある。

 極端に言えば、ギターでやると言うだけで、新しいアイリッシュ・ミュージック、スコティッシュ・ミュージック、ケルト音楽を生みだせる。昨夜はそれだけでなく、イタリアやギリシアやブルガリアも聞かせてくれましたが、そのどれもが瑞々しく、新鮮。聞き慣れた曲でも、初めての出会いのようでした。

 もう一つ感心したのは、動きに無駄がない。アコースティック、エレクトリック問わず、ギタリストは演奏しているその動きを見ている凄いことをしていても、眼をつむって音だけ聞くとなんてことはないことがままあるんですが、トニィ・マクマナスは動きが凄いと音も凄い。見て楽しく、聞いて一層楽しい。

 ギタリストとしても、またケルト音楽家としても、これを見ないで何を見るのだ。今日は大坂、明日は名古屋です。仕事はほうりだしなさい。デートはすっぽかしなさい。親の死に目に会えずとも、これに行くというなら、親も安心して往生してくれます。何が何でも行くべし。(ゆ)