Complete Songs of Robert Burns 昨日 01/25 はロバート・バーンズの250回目の誕生日でした。これを記念してのリン・レコードのフリー・ダウンロード最終回はもちろんこのうた。うたうのは Ronnie Brown。ベテラン・グループ The Corries の創設メンバー。《THE COMPLETE SONGS》第3集収録。


 コリーズは1960年代はじめから活動したグループで、アイルランドのダブリナーズに相当する存在といっていいと思います。トリオとして出発しますが、実質的にはブラウンと Roy Williamson のデュオとして有名です。

 バーンズのうたとして文句なく最も有名なこのうたが、生前発表されたことはなく、どこまでがバーンズの作であるかについても議論がある、というのはちょっと驚きです。Canongate 版によれば、1796年12月に The Scots Musical Museum に発表されたときの署名は 'Z' で、これはオリジナルに何らかの改変を加えたときにバーンズが使っていたものの由。そして、似たコーラスのフレーズを持つブロードサイド・バラッドを引用している全集もあるそうです。また、かなり詩句の異なる同題のうたも存在します。

 とはいうものの、第3、第4連は完全に自分の創作だと詩人自身が語ったという証言があり、改作としても、相当な改変がほどこされて、バーンズの言う「土着の天才の火が注入された」部分が多いものになっている。また、バーンズは完全な創作を「伝統歌」だと装う癖もあった。と Canongate 版は結論しています。

 バーンズが無から生みだしたのではないにせよ、このうたが不朽の名作に変身したのはバーンズの手を経たおかげであることは確かでしょう。そもそも「創作」とは、古きものの改訂以上のものでしょうか。

 ここでうたわれているメロディは通常「蛍の光」として知られるものとは異なります。ここでうたわれている方がどうやら古いらしく、またスコットランドの伝統畑のうたい手たちはこちらのメロディを好むようです。ぼくもはじめはとまどいましたが、何度も聴くうちに美しく古びた盃のような味わいがしみこんできて、今ではむしろこちらの方がしっくりなじみます。


(歌詞対訳)
古い古い友だちを忘れることなどありはしないさ
忘れて二度と思いださない、そんなこともあるはずがない
昔なじみを忘れるなんて、あるはずがないだろう
なつかしいはるか昔のよしみのことを

コーラス
昔のよしみで、わが友よ
昔のよしみで
たがいに一杯ふるまおうじゃないか
昔のことを思いだして

おぬしには一杯おごろうよ
おれにも一杯おごってくれ
おたがい一杯ずつふるまおう
昔のことを思いだして

コーラス

二人して丘を駈けまわったものだった
きれいなひなぎくをよく摘んだものだった
くたびれた足をひきずってあてどなくうろついたこともあったっけ
なつかしきあの頃

コーラス

二人して小川で舟をこいだものだ
夜明けから夕食になるまで
ただ、二人を隔てる海は広く逆巻いていた
なつかしきあの頃から

コーラス

さあ手を出してくれ、頼りになる相棒よ
おぬしの手を貸してくれ
そうして思い出の一杯をくもうじゃないか
昔のことを思いだして

コーラス