各社報道してますが、ネット上で見るかぎり、朝日新聞が一番詳しいようです。
問題点のまとめ方は毎日がうまく、日経、読売はおざなり。ITMedia と産経はJASRAC側の視点からも報道してます。
ITMedia が引用してますが、公取委の命令書(PDF)は、図解も入っていて、かなりわかりやすく説明してます。お役所文書だろうと思ってたら、なかなかがんばってます。
公取委の文書にざっと眼を通して興味を惹かれたのは、包括契約でないもうひとつの選択肢が個々の楽曲ごとの個別契約しかなく、しかもこちらの料金設定が格段に高く設定されているため、結局包括契約以外の選択肢が事実上無い、と指摘しているところ。ここは今後ポイントになるかも。つまり、包括契約でも契約形態が複数あって、他からの参入を名目だけでも許す選択肢が用意されていれば、「独占」ではない、と裁判所が判断する可能性もあるんじゃないか。
たぶん最高裁までいくんでしょうが、JASRACの独占体制が今後もまったくゆるぎなく続くということはないでしょう。もっとも、この命令に違反しての罰則は過料50万円以下だそうですから、50万払ってあとは知らんぷり、も不可能ではないでしょうね。と思ったら、確定した命令に対する違反では、法人の場合、最大3億円だそうで、さすがのJASRACでも、やはりそう簡単に罰金払って知らんぷりはできないかな。
それにしても報道で見るかぎり、JASRACの反発の強さは意外です。もうちょっとうまく立ちまわって、お説ごもっとも、改めるべきところは改めます、とか言っておいて、放送局側と新たな形の契約交渉をおこなうふりをして実をとる、くらいのことはやるだろうと予想していたんですが、こう真っ向から反発するということは、やはり裏に隠しておいたつもりの「真の意図」をずばり突かれたのかしらん。
問題点のまとめ方は毎日がうまく、日経、読売はおざなり。ITMedia と産経はJASRAC側の視点からも報道してます。
ITMedia が引用してますが、公取委の命令書(PDF)は、図解も入っていて、かなりわかりやすく説明してます。お役所文書だろうと思ってたら、なかなかがんばってます。
公取委の文書にざっと眼を通して興味を惹かれたのは、包括契約でないもうひとつの選択肢が個々の楽曲ごとの個別契約しかなく、しかもこちらの料金設定が格段に高く設定されているため、結局包括契約以外の選択肢が事実上無い、と指摘しているところ。ここは今後ポイントになるかも。つまり、包括契約でも契約形態が複数あって、他からの参入を名目だけでも許す選択肢が用意されていれば、「独占」ではない、と裁判所が判断する可能性もあるんじゃないか。
たぶん最高裁までいくんでしょうが、JASRACの独占体制が今後もまったくゆるぎなく続くということはないでしょう。もっとも、この命令に違反しての罰則は過料50万円以下だそうですから、50万払ってあとは知らんぷり、も不可能ではないでしょうね。と思ったら、確定した命令に対する違反では、法人の場合、最大3億円だそうで、さすがのJASRACでも、やはりそう簡単に罰金払って知らんぷりはできないかな。
それにしても報道で見るかぎり、JASRACの反発の強さは意外です。もうちょっとうまく立ちまわって、お説ごもっとも、改めるべきところは改めます、とか言っておいて、放送局側と新たな形の契約交渉をおこなうふりをして実をとる、くらいのことはやるだろうと予想していたんですが、こう真っ向から反発するということは、やはり裏に隠しておいたつもりの「真の意図」をずばり突かれたのかしらん。
後刻追記
CNET News がJASRAC側の反応をくわしく伝えてました。
これを見るかぎり、JASRACとしては
「JASRACが放送事業者に圧力をかけ、他の事業者が管理する楽曲を使わないように仕向けた、という印象を(一般の方などに)与えたのであれば心外だ。そのような事実は一切なく、公取委側にも確認している」(JASRAC理事長の加藤衛氏)
の部分を一番強調したいように見えます。もっとも公取委はそれが事実だからやめなさい、と言ってるわけでしょう。
2009-02-28 追記
昨日のネット上では見当たらなかったんですが、今朝の毎日・朝刊記事によると、著作権者側は今回の公取委の命令を歓迎しているそうです。日本作曲家協議会(小林亜星会長)は公取委の立ち入り検査が始まった昨年4月以降、JASRACに説明を求めてきたが、正式な報告はないそうな。
首をかしげるのが、JASRAC監督官庁の文化庁で、「放送権は競争になじまない」と言ってるのが本当なら、独占状態を是認しているわけですな。著作権者やユーザの立場に立つのではなく、著作権仲介業者と結託していると見られても文句は言えんでしょう。もっとも、例の「私的録音保証金制度」では、文化庁自体が著作権仲介ビジネスに精を出してるようでもありますから、同じ穴のムジナとして、応援しているのかもしれません。
公取委からこういう命令を受けると、一般企業はだいたいは指摘を認めて是正するし、承服できない場合でも反発をあまり公にはしませんが、それに比べると今回のJASRACの姿勢は、異様にも見えます。報道のされ方による印象の違いがあるにしても、根本的な在り方がそもそも違うためなのかな。つまり、通常のビジネスでは「独占」は「異常」な状態ですね。少くとも建前の上では。まあ、どんな企業でもできれば「独占」したいと望んでいるにしてもです。いわば、企業にとっては「夢」であるわけ。
それに対して、JASRACにとっては独占は異常でも夢でもなく、当然の、現実のことらしい。ひょっとするとビジネスの前提条件なのかな。独占が崩れると、ビジネス・モデルそのものが崩れるのでしょうか。ならば、こうまで反発するのも、わからないではない。
しかし、本来は著作権使用料の徴収・分配システムであるはずのJASRACは、独占でも競争でもかまわないはず。独占でなければシステムが運営できないわけではない。アメリカでは ASCAP と BMI のふたつがあって、別に問題はないんだし。それがもし独占でないと存在基盤が脅かされる状態であるならば、何かまったく別の要素、著作権者から問われても、まともに答えられない要素があるということになります。
JASRACの主張は、われわれは故意に独占状態を生み出してるわけじゃない、だから独占のままでいいんだというものに、当ブログには見えます。
JASRACがイニチアティヴをとって作っているシステムが独占状態を生み出している、ここまではまあJASRACのせいではないと言えないこともない。しかし、公取委の指摘は、それを放置することで、結果的にあなたたちのやってることは独占状態を固定している、ということ。そして独占禁止法に照らしてその状態は認められないからシステムを改善しなさい、と命じた。
独占状態を生みだしているのが故意かどうかは問われていない。まあ、故意であろうという心証を公取委はもっていると見えないことはないですが、それはひとまず置いてある。故意であろうとなかろうと、独占状態はまずいことで、それは是正されなければならない。独占を生んでいるのはJASRACのシステムなのだから、独占を生まないようなシステムに変えるべし。
これに対してJASRACは独占状態であることは暗黙のうちに認めているにしても、それがまずい状態であるとは言っていない。言わないままに、今のシステムを変えるつもりはない、とは言っている。独占状態を改善するために、何か他の手だてを考えてみるとも言わない。
これは要するに、独占状態には眼をつむって、包括契約が妥当かどうかに問題をすりかえようとしている、と見えます。ここに、独占状態を問題からはずしたいという意図を見ないほうが無理というものでしょう。独占状態が問題とされているところで、当の問題を議論からはずそうとすれば、無理がうまれます。この無理を通すためにまず手っ取り早いのは、強硬姿勢をとってみせることではありましょう。JASRACが公取委の命令に反発してみせていることは、このように解釈できますね。
CNET News がJASRAC側の反応をくわしく伝えてました。
これを見るかぎり、JASRACとしては
「JASRACが放送事業者に圧力をかけ、他の事業者が管理する楽曲を使わないように仕向けた、という印象を(一般の方などに)与えたのであれば心外だ。そのような事実は一切なく、公取委側にも確認している」(JASRAC理事長の加藤衛氏)
の部分を一番強調したいように見えます。もっとも公取委はそれが事実だからやめなさい、と言ってるわけでしょう。
2009-02-28 追記
昨日のネット上では見当たらなかったんですが、今朝の毎日・朝刊記事によると、著作権者側は今回の公取委の命令を歓迎しているそうです。日本作曲家協議会(小林亜星会長)は公取委の立ち入り検査が始まった昨年4月以降、JASRACに説明を求めてきたが、正式な報告はないそうな。
首をかしげるのが、JASRAC監督官庁の文化庁で、「放送権は競争になじまない」と言ってるのが本当なら、独占状態を是認しているわけですな。著作権者やユーザの立場に立つのではなく、著作権仲介業者と結託していると見られても文句は言えんでしょう。もっとも、例の「私的録音保証金制度」では、文化庁自体が著作権仲介ビジネスに精を出してるようでもありますから、同じ穴のムジナとして、応援しているのかもしれません。
公取委からこういう命令を受けると、一般企業はだいたいは指摘を認めて是正するし、承服できない場合でも反発をあまり公にはしませんが、それに比べると今回のJASRACの姿勢は、異様にも見えます。報道のされ方による印象の違いがあるにしても、根本的な在り方がそもそも違うためなのかな。つまり、通常のビジネスでは「独占」は「異常」な状態ですね。少くとも建前の上では。まあ、どんな企業でもできれば「独占」したいと望んでいるにしてもです。いわば、企業にとっては「夢」であるわけ。
それに対して、JASRACにとっては独占は異常でも夢でもなく、当然の、現実のことらしい。ひょっとするとビジネスの前提条件なのかな。独占が崩れると、ビジネス・モデルそのものが崩れるのでしょうか。ならば、こうまで反発するのも、わからないではない。
しかし、本来は著作権使用料の徴収・分配システムであるはずのJASRACは、独占でも競争でもかまわないはず。独占でなければシステムが運営できないわけではない。アメリカでは ASCAP と BMI のふたつがあって、別に問題はないんだし。それがもし独占でないと存在基盤が脅かされる状態であるならば、何かまったく別の要素、著作権者から問われても、まともに答えられない要素があるということになります。
JASRACの主張は、われわれは故意に独占状態を生み出してるわけじゃない、だから独占のままでいいんだというものに、当ブログには見えます。
JASRACがイニチアティヴをとって作っているシステムが独占状態を生み出している、ここまではまあJASRACのせいではないと言えないこともない。しかし、公取委の指摘は、それを放置することで、結果的にあなたたちのやってることは独占状態を固定している、ということ。そして独占禁止法に照らしてその状態は認められないからシステムを改善しなさい、と命じた。
独占状態を生みだしているのが故意かどうかは問われていない。まあ、故意であろうという心証を公取委はもっていると見えないことはないですが、それはひとまず置いてある。故意であろうとなかろうと、独占状態はまずいことで、それは是正されなければならない。独占を生んでいるのはJASRACのシステムなのだから、独占を生まないようなシステムに変えるべし。
これに対してJASRACは独占状態であることは暗黙のうちに認めているにしても、それがまずい状態であるとは言っていない。言わないままに、今のシステムを変えるつもりはない、とは言っている。独占状態を改善するために、何か他の手だてを考えてみるとも言わない。
これは要するに、独占状態には眼をつむって、包括契約が妥当かどうかに問題をすりかえようとしている、と見えます。ここに、独占状態を問題からはずしたいという意図を見ないほうが無理というものでしょう。独占状態が問題とされているところで、当の問題を議論からはずそうとすれば、無理がうまれます。この無理を通すためにまず手っ取り早いのは、強硬姿勢をとってみせることではありましょう。JASRACが公取委の命令に反発してみせていることは、このように解釈できますね。
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