聴いて学ぶ アイルランド音楽 (CD付き)    今朝 NHK-FM で放送されたピーター・バラカンさんの「ウィークエンド・サンシャイン」のトラック・リストです。個々のミュージシャン、音源についてはいずれ詳しく書きます。今、ちょっととりこみ中なので。

    今回は『聴いて学ぶアイルランド音楽』刊行記念ということで、本の内容にちなんだ選曲をしています。ページ数は本の該当ページです。





01. 025pp.,  The Hills Of Coor/ Junior Crehan's - Hornpipes, Anders Trabjerg & Tak Tamura, FOR THE SAME REASON, 2004, Junior Crehan
    本書冒頭のセッションを主宰するジュニア・クリーハン作曲のホーンパイプ。1曲めは故郷クーアを記念したもの。演奏するのはデンマーク人アコーディオン奏者と日本人フィドラー。アイルランドで出会ったふたりの共演。

    アナス・トラビェアはてっきりオランダ人と思いこんでいたので、番組中でもそう言っていますが、あらためて調べてみたらデンマーク人でした。お詫びして訂正します。


02. 030pp., The Drunken Gauger (Jig), Ronan Browne & Peter O'Loughlin, THE SOUTH WEST WIND, 1988, Trad.
    なかなか教えてくれない師匠から、ジュニア・クリーハンが友人の協力で「盗んだ」ジグ。フィドルとパイプの演奏。


03. 032pp., The Girl That Broke My Heart, Martin Hayes & Dennis Cahill, WELCOME HERE AGAIN, 2007, Trad.
    ジュニア・クリーハンが奥さんをくどいた曲。同じくクレアのマーティン・ヘイズの演奏。


04. 043pp., George Brabazon/ Planxty Hewlett, Anne-Marie O'Farrell & Cormac De Barra, DOUBLE STRUNG, 2005, Turlough O'Carolan
    カロランのハープ・チューンの現代的演奏。2台のハープによる形は新しい。


05. 045pp.,  Silent, O Moyle, Anuna, ANUNA 2002, 2002, Thomas Moore & Trad.
    ここからはしばらくうたを聴きます。まずは19世紀に出版され、後世に大きな影響をあたえたトマス・ムーアの代表曲。ムーアの曲はいわゆる「アイリッシュ・テナー」によってうたわれることが多いのですが、ここでは珍しく女性ヴォーカルで。

    この曲の下になったのはリアの娘フィヌーラの物語。フィヌーラは継母のイーファによって白鳥に姿を変えられ、アイルランドの川や湖を何百年もさまよわねばならなかった。その呪いを解いたのはアイルランドにやってきたキリスト教のミサを告げる鐘の音だった。

    これはアイルランドでは有名な伝説ですが、トマス・ムーアはこれをもとにして、英国からの解放の鐘が鳴るまで苦しみつづけるアイルランドの姿を白鳥に投影しています。
モイルはアイルランド北部アントリム州の北端バリキャッスル周辺の地域名。

Joanna Fagan: lead vocals
Denise Kelly: harp


06. 061pp., The Foggy Dew, The Alias Acoustic Band, 1798 - 1998 IRISH SONGS OF REBELLION, RESISTANCE & RECONCILIATION, 1998, Trad.
    歴史ぬきにアイルランド音楽は聴けません。最終的に英国からの独立につながった1916年のイースター蜂起のうた。

Ron Kavana: vocals, guitar
Andy Martyn?: slide guitar
Miriam Kavana?: fiddle
Brian McNeill?: mandolin
Tomas Lynch: uillean pipes


07. 113pp.,  The Grey Cock, Chris Foster, JEWELS, 2004, Trad.
    ここから著者が参加したゴーリーン・シンガーズ・クラブのセッションでうたわれたうたを再体験してみます。これは最初の若者がうたう「ナイト・ヴィジティング・ソング(夜這いうた)」の代表曲。うたうのはイングランドのシンガーですが、ソースはバーミンガムに住んでいたアイルランド移民セシリア・コステロ。


08. 119pp.,  Tá Bó Agam Ar An tSliabh (Away upon the mountain blow), Micho Russell, CEOL AGUS FOINN SCOIL SAMHRAIDH WILLIE CLANCY, 1990, Trad.
    アイルランド語と英語の歌詞を交互にうたうマカロニックのうた。うたうのはウィリー・クランシィとともに、クレアの寒村ミルタウン・モルベイを伝統音楽のメッカにしたマイコ・ラッセル。ウィリー・クランシィ・サマー・スクールでのライヴ録音。アイルランド語でもこういうユーモラスなうたもあります。


09. 119pp.,  Siúil A Rún, Hajime Chitose 元ちとせ, 蛍星, 2008, Trad.
    これもマカロニックの〈シューラ・ルーン〉。元ちとせがチーフテンズと共演した録音。

    アイルランドの伝統曲ではかなりの有名曲で、たくさんの人が歌っています。ピーター・ポール&マリーのヒット曲「虹に消えた恋」の原曲であり、こちらのカヴァーもたくさんあり、比較的最近ではボニー・レイットも歌っています。

    十七世紀末、名誉革命でイングランドを追われたジェイムズ二世がプロテスタント側のウィリアム王の軍とアイルランドで戦ったことを題材に成立した歌といわれます。その時ジェイムズ側に参戦したアイルランドの兵士が戦い破れて大陸に渡らねばならなくなり、その兵士の恋人が兵士への想いを歌うのがテーマ。リフレイン部分はアイルランド語で、タイトルの意味は「道中ご無事で」。この部分だけがアイルランド語のまま残っているのは、詩の美しさのゆえと思われます。


10. 120pp., Done With Bonaparte, Niamh Parsons, HEART'S DESIRE, 2002, Mark Knopfler & Trad.
    マーク・ノップラーの手になるナポレオン・ソング。うたうのはアイルランド現役最高のシンガーのひとり。彼女がこのうたを知ったのはゴーリーン・シンガーズ・クラブのジェリー・オライリィがうたうのを聞いたことによります。オライリィは本文にも出てくるテリィ・モイランから詞を見せられて、シェイマス・エニスが演奏していた伝統曲〈Valentia Island〉に乗せました。ここではそちらの版。

Niamh Parsons: vocals
Mick Kinsella: harmonica
Graham Dunne: gutiar


11. 147pp.,  The Parting Glass, Joe Holmes & Len Graham, A LIVING THING, 1979,  Trad.
    レン・グレアムとうた仲間のジョー・ホームズのデュエット。ユニゾンではなく、コーラスとも言いがたい、ふしぎな共演。後半はリルティングになります。

    アイルランドではパブの閉店の音楽として有名ですが、ふたりがうたっているのは他では聞いたことのない版で、レン・グレアムのライナーによれば、40年ぶりにカナダから帰ってきたアントリム出身の友人から教わった由。とすれば、カナダ版かもしれません。


12. 158pp., Riverdance, Brendan Power, PLAYS THE MUSIC FROM RIVERDANCE, 1997, Bill Whelan
    アイルランド音楽の最先端の例として、『リバーダンス』の音楽から。演奏するのはオーストラリア生まれのハーモニカ奏者。

Brendan Power: harmonicas
Des Moore: guitar
Jim Higgins: bodhran, percussion
Ken Edge: sax
John Hogan: sax
Geoff Castle: keyboards
Chris Haigh: fiddle
George Petrov: gadulka


13. An Mhaighdean Mhara (Mermaid), Shanachie, TIME BLUE, 2008, Trad.
    近年、急速に力をつけてきている日本人ミュージシャンのなかから、実例をふたつ。こちらは大阪の女性ばかりのカルテット。曲はアイルランド語のうたで、アルタンやアヌーナがとりあげて有名。

河原のりこ: vocal
みどり: fiddle
Aki: percussions (djembe, conga, cuiro, claves maracas, tamboruien)
上原奈未: synthesizer, organ, harp


14. Abbey Reel Set, Modern Irish Project, MIP LIVE, 2008, Trad.
    こちらは東京の、フィドル、ギター、ドラムスのトリオ。3曲のリールのセット。

大渕愛子: fiddle
長尾晃司: guitar
田嶋友輔: drums


15. 025pp.,  An Buachaill Caol Dubh (The Dark Slender Boy), Willie Clancy, The Pipering Of Willie Clancy, Vol. 2, 1973, 2:21, 17 / 24, , Trad.
はじめにかけたジュニア・クリーハンの親友で、ウィリー・クランシィ・サマー・スクールのもととなったパイパー/ホイッスル奏者/シンガーによるパイプ演奏でお別れ。曲は有名なスロー・エアで、ルナサのキリアン・ヴァレリィもよく演奏しています。