先月27日のヴァンクーヴァー国際ジャズ・フェスティヴァルの録音がアップされた。今年のライヴとしては42本目、今月5本目の録音。

    ゲストはなく、演目も最新作《ALREADY FREE》からの曲を中心としたレパートリィ。演奏順は変わるが、曲目にはそれほど変化がないのはいつもの通り。この頃では珍しくもヨンリコが1曲リード・ヴォーカルをとっているらしい。


    dTb のライヴは自由に録音し、公開することをバンド自体が認めている。かれらのライヴの録音、公開、ダウンロードは「違法」にはならない。
   
    ここが著作権システムの妙なところなのだ。いったいにある行為が法律に違反するかどうかは法律自体に書きこまれている。つまり違法かどうかの判断は立法府による検討を経て、公権力によって下される。少なくとも原則的にはだ。
   
    ところが著作権関連の法律では、ある行為、たとえばネット上に音源を公開する、公開されたものを入手することが違法かどうかは、当の音源の著作権所有者または管理者が、そのことを許可しているかどうかで変わってくる。つまり法律違反かどうかの判断は「私人」の匙加減ひとつによるのだ。
   
    法律という「公」のための規則に違反するかどうかが「私」の「気分」で決定される。
   
    となると著作権(知的所有権と広く言ってもいい)とはいったい何なのだろうか。
   
    ということを思ったりするが、dTb も無制限に音源の録音、公開を認めているわけではない。

    公開を認めていないのは以下のものだ。
   
    まず、1991年のデモ録音とすべてのスタジオ録音。
   
    2008年9月17日のミネソタ州ミズーラと2008年9月21日のカリフォルニア州サンタ・バーバラでのライヴの録音。
   
    《Alive Now》EP 収録のライヴの録音。

    2001年12月31日以後のサウンドボード録音。ただしこの制約が発表された時すでに公開されていたものの公開は認められる。すなわち2002年1月25日、1月26日、2月1日、5月19日、11月16日の各録音。


    なお、dTb がライヴ音源の録音、公開を認めたのは2002年12月7日付のあるファンからのメールによる問い合わせに対する返答においてだ。

    公式サイトには特に「テーピング・ポリシー」は掲げられていないが、会場が禁じないかぎり、マイクによるライヴ録音を認めている。ただし、動画記録は認めていない。


    以上が Internet Archives に掲げられた「ポリシー」の要点であるが、会場が禁じないかぎり、という制約については、施設のガードマンが禁じても、バンドのマネージメントが介入して録音が許された例も報告されている。

    また、《SONGLINE LIVE》DVD として公式発売されている 2006-01-28 シカゴは Park West でのライヴの録音と公開は認められており、実際に公開されている。