本誌今月号は鋭意編集中です。明日には配信できるでしょう。
月曜日の講義でかけた音声・映像資料はこういうものでした。
04〜09はDVD、ほかはCDです。
一応タイトルを「ポスト構造主義時代の音楽としてのケルティック・ミュージック：アイルランドを中心に」としました。大学の講義ということで、それらしいものをと考えたんですが、ちと、背伸びしてます。まあ、少し背伸びすることが向上の秘訣と、田中幸一氏も言ってますし、これで考えているうちに、思いついたこともあり。
参考文献をあげてくれとのことで、以下の３冊。
内田樹『寝ながら学べる構造主義』文春新書
タイトルのヒントになった本。音楽を離れても、ひじょうにおもしろい。構造主義がこんなにおもしろくていいのか、と思うくらいおもしろい。構造主義を通して自分の住む社会や文化を見る眼を学ぶのは、新鮮でスリルに満ちた体験。
ドロシア・ハスト＆スタンリー・スコット／おおしまゆたか＝訳
『聴いて学ぶアイルランド音楽』アルテスパブリッシング
ぼくは好きなものを好きなように聞いてきただけなので、体系的な把握が弱い。その点をきっちり押えて、もっと深く入りたい場合のガイドとして。
テレンス・ブラウン／大嶋豊＝訳
『 アイルランド—社会と文化1922~85年』国文社
手前味噌だが、アイルランド共和国の社会文化史として出色。わが国との比較社会学的な素材としても良いのでは。
英語が苦にならなければ原書は改訂版が出ているのでそちらを推薦。
Terence Brown
Ireland: A Social and Cultural History 1922-2001
HarperCollins
加えて講義の最後に、あれば便利というものとして、これをあげました。絶版ですが、古書で入手可能。
Geoff Wallis & Sue Wilosn, eds.
The Rough Guide to Irish Music
Rough Gudes, 2001
01. 英語の無伴奏歌唱
Rosie Stewart〈Do Me Justice〉
from ADIEU TO LOVELY GARRISON, 1998, 3:48
02. アイルランド語の無伴奏歌唱（シャン・ノース）
Darach Ó Catháin〈Tomás Bán Mac Aogáin〉
from TRADITIONAL IRISH UNACCOMPANIED SINGING, 1975, 3:41
03. マウス・ミュージック
Dolores Keane & John Faulkner〈Mouth music〉
from BROKENHEARTED I'LL WANDER, 1981, 2:06
04. カン・ハ・ディスカン
Loened Fall〈A live track from a Festoù-noz〉
from DIWAR IOGODENN 'VEZ KET RAZH, 2006-10, 5:00
05. ウォウキング・ソング
Julie Fowlis〈Hùg air a' bhonaid mhòir> Da Thàbh air an Fharaidh
(Celebrate the great bonnet!> Two Spoon Nets in the Loft〉
from CUILIDH, 2008, 3:25
06. シャン・ノース・ダンス
Paidí Bán Ó Broin & Dessie O'Connor
from COME WEST ALONG THE ROAD 2, #24, 1972-12, 2:06
07. ホイッスル
Dennis O'Brien〈Ni ar Chnoc no ar Isleacht> Finbar Dwyter's〉
from COME WEST ALONG THE ROAD, 38, 1981-05, 4:00
08. イルン・パイプ
Gay McKeon〈Bean Dubh a' Ghleanna> The ace and duece of pipering〉
from GEANTRAI/, 12, 3:05
09. セッション
The Chieftains《ウォーター・フロム・ザ・ウェル》08, 1999, 6:23
10. 貧乏人同士の結びつき
Salsa Celtica〈Auld lang syne〉
from EL AQUA DE LA VIDA, 2003, 4:30
教養課程なので、学生さんは大部分、1989年とか1990年とかの生まれのはずで、そうすると、物心ついたときにはすでにアイリッシュ・ミュージックとかケルティック・ミュージックとかは特に物珍しいものではない世代。試みに、初めに、アイリッシュ・ミュージックとかケルティック・ミュージックとかを、まったく聞いたことのない人に挙手をお願いしたところ半分くらいでした。
今回はアイリッシュ・ミュージック、ケルティック・ミュージックのエッセンス、本質部分、とぼくが考えるものを紹介することにしました。なので、この比率はこちらとしては理想的で、そこでまずほっと胸をなでおろしました。
これが何回か連続ならば、たとえば『聴いて学ぶアイルランド音楽』を教科書にして、敷衍する手もありますが、90分一本勝負なので、一人では、気づきにくいような素材を体験していただくことにしました。
とは言っても、やはりそれなりにモダナイズされているところは出てきます。ドロレスの録音からハーモニーについての質問が後で出されたのは、思わぬ収穫でした。
説明のポイントは、これは「貧しき人びと」の音楽であること、日常生活に織りこまれていること、に置きました。いや、置いたつもりですが、うまく話せたかどうか、まるで自信なし。まあ、ぼくのつたない言葉より、音楽の実例の方がはるかに雄弁に「語って」くれたのではないか、と期待しています。
実際、声の力が再認識されたようだったのには、内心にやりとしました。
ということで、講義は無事終わり、短いながら質疑応答の時間も持てました。これからレポート提出があるそうなので、それは楽しみです。もっとも、なにかテーマを考えてくれと頼まれていたのですが、これがもうさっぱり何も思いつかず。共通テーマになってしまったのは、ちと残念。もし次の機会があれば、今度は何かひねり出したい。
個々の音源、映像についての詳しい説明はまた明日。（ゆ）
月曜日の講義でかけた音声・映像資料はこういうものでした。
04〜09はDVD、ほかはCDです。
一応タイトルを「ポスト構造主義時代の音楽としてのケルティック・ミュージック：アイルランドを中心に」としました。大学の講義ということで、それらしいものをと考えたんですが、ちと、背伸びしてます。まあ、少し背伸びすることが向上の秘訣と、田中幸一氏も言ってますし、これで考えているうちに、思いついたこともあり。
参考文献をあげてくれとのことで、以下の３冊。
内田樹『寝ながら学べる構造主義』文春新書
タイトルのヒントになった本。音楽を離れても、ひじょうにおもしろい。構造主義がこんなにおもしろくていいのか、と思うくらいおもしろい。構造主義を通して自分の住む社会や文化を見る眼を学ぶのは、新鮮でスリルに満ちた体験。
ドロシア・ハスト＆スタンリー・スコット／おおしまゆたか＝訳
『聴いて学ぶアイルランド音楽』アルテスパブリッシング
ぼくは好きなものを好きなように聞いてきただけなので、体系的な把握が弱い。その点をきっちり押えて、もっと深く入りたい場合のガイドとして。
テレンス・ブラウン／大嶋豊＝訳
『 アイルランド—社会と文化1922~85年』国文社
手前味噌だが、アイルランド共和国の社会文化史として出色。わが国との比較社会学的な素材としても良いのでは。
英語が苦にならなければ原書は改訂版が出ているのでそちらを推薦。
Terence Brown
Ireland: A Social and Cultural History 1922-2001
HarperCollins
加えて講義の最後に、あれば便利というものとして、これをあげました。絶版ですが、古書で入手可能。
Geoff Wallis & Sue Wilosn, eds.
The Rough Guide to Irish Music
Rough Gudes, 2001
01. 英語の無伴奏歌唱
Rosie Stewart〈Do Me Justice〉
from ADIEU TO LOVELY GARRISON, 1998, 3:48
02. アイルランド語の無伴奏歌唱（シャン・ノース）
Darach Ó Catháin〈Tomás Bán Mac Aogáin〉
from TRADITIONAL IRISH UNACCOMPANIED SINGING, 1975, 3:41
03. マウス・ミュージック
Dolores Keane & John Faulkner〈Mouth music〉
from BROKENHEARTED I'LL WANDER, 1981, 2:06
04. カン・ハ・ディスカン
Loened Fall〈A live track from a Festoù-noz〉
from DIWAR IOGODENN 'VEZ KET RAZH, 2006-10, 5:00
05. ウォウキング・ソング
Julie Fowlis〈Hùg air a' bhonaid mhòir> Da Thàbh air an Fharaidh
(Celebrate the great bonnet!> Two Spoon Nets in the Loft〉
from CUILIDH, 2008, 3:25
06. シャン・ノース・ダンス
Paidí Bán Ó Broin & Dessie O'Connor
from COME WEST ALONG THE ROAD 2, #24, 1972-12, 2:06
07. ホイッスル
Dennis O'Brien〈Ni ar Chnoc no ar Isleacht> Finbar Dwyter's〉
from COME WEST ALONG THE ROAD, 38, 1981-05, 4:00
08. イルン・パイプ
Gay McKeon〈Bean Dubh a' Ghleanna> The ace and duece of pipering〉
from GEANTRAI/, 12, 3:05
09. セッション
The Chieftains《ウォーター・フロム・ザ・ウェル》08, 1999, 6:23
10. 貧乏人同士の結びつき
Salsa Celtica〈Auld lang syne〉
from EL AQUA DE LA VIDA, 2003, 4:30
教養課程なので、学生さんは大部分、1989年とか1990年とかの生まれのはずで、そうすると、物心ついたときにはすでにアイリッシュ・ミュージックとかケルティック・ミュージックとかは特に物珍しいものではない世代。試みに、初めに、アイリッシュ・ミュージックとかケルティック・ミュージックとかを、まったく聞いたことのない人に挙手をお願いしたところ半分くらいでした。
今回はアイリッシュ・ミュージック、ケルティック・ミュージックのエッセンス、本質部分、とぼくが考えるものを紹介することにしました。なので、この比率はこちらとしては理想的で、そこでまずほっと胸をなでおろしました。
これが何回か連続ならば、たとえば『聴いて学ぶアイルランド音楽』を教科書にして、敷衍する手もありますが、90分一本勝負なので、一人では、気づきにくいような素材を体験していただくことにしました。
とは言っても、やはりそれなりにモダナイズされているところは出てきます。ドロレスの録音からハーモニーについての質問が後で出されたのは、思わぬ収穫でした。
説明のポイントは、これは「貧しき人びと」の音楽であること、日常生活に織りこまれていること、に置きました。いや、置いたつもりですが、うまく話せたかどうか、まるで自信なし。まあ、ぼくのつたない言葉より、音楽の実例の方がはるかに雄弁に「語って」くれたのではないか、と期待しています。
実際、声の力が再認識されたようだったのには、内心にやりとしました。
ということで、講義は無事終わり、短いながら質疑応答の時間も持てました。これからレポート提出があるそうなので、それは楽しみです。もっとも、なにかテーマを考えてくれと頼まれていたのですが、これがもうさっぱり何も思いつかず。共通テーマになってしまったのは、ちと残念。もし次の機会があれば、今度は何かひねり出したい。
個々の音源、映像についての詳しい説明はまた明日。（ゆ）
コメント
コメント一覧 (2)
レポート提出とは別に、出欠を兼ねて、その場で感想を10分間くらいかけて書いてもらうと、いろんな意見があって面白いですよ。
なるほど。そこまでは見ているだけではわかりませんでした。ぼくも結構アガってしまっていました。
> レポート提出とは別に、出欠を兼ねて、その場で感想を10分間くらいかけて書いてもらうと、いろんな意見があって面白いですよ。
ライヴのアンケートですね。たしかにそれは面白そう。今回は質疑応答の時間を作るのが精一杯でしたが、「次」があれば、そこまで考慮してプログラムを組んでみます。