e92bee3c.jpg    東京医科歯科大・芸術 10/19 の講義補足説明、6番目はシャン・ノース・ダンス。

Paidí Bán Ó Broin & Dessie O'Connor
from《COME WEST ALONG THE ROAD 2》, #24, 1972-12, 2:06
    デシー・オコナーのホイッスル伴奏で踊るパディ・ボーン・オ・ブローン。

    《COME WEST ALONG THE ROAD》の DVD はアイルランド国営放送 RTE/ が永年撮りためた映像の中から伝統音楽関係のものを選んでまとめたもの。1と2があり、3も予定されています。収められているのは、今回紹介した二組のように、他ではまったく無名の人もいれば、マット・モロイ、ドーナル・ラニィのように有名な人もいます。有名無名にかかわらず、パフォーマンスの質はどれも高く、また歴史的に貴重な記録も多いです。アイルランドの伝統音楽に関心があれば、1セットは持っていて損はありません。というより、必見でしょう。
   
    ダンスのシャン・ノースは、これも明確な定義はありませんが、競技会が盛んになる1960年代より前から行われている、男性のソロ・ダンシングをさすようです。
   
    アイリッシュ・ダンスは『リバーダンス』やもうすぐ来日する『ラグース』などですっかり有名になりましたが、あそこで見られるのは競技会向けのステップ・ダンスです。これとは別に、男女ペア二組で踊る、社交的なダンスもあり、こちらはケイリ・ダンスと呼ばれます。「ケイリ ceili」はいろいろな意味を持つアイルランド語ですが、ダンスを中心としたパーティが一番よく使われる意味です。映画なら『タイタニック』の有名な三等船室のパーティや、『麦の穂をゆらす風』の前半にあるパーティが実例です。
   
    競技会は、器楽にもあり、うたにもありますが、全アイルランド・チャンピオンのタイトルをめざすもので、毎年地方大会から全国大会へと盛りあがります。ここでの入賞をめざして幼い頃からダンス・スクールに通うのが、『リバーダンス』に出演するダンサーたちによくあるパターンです。
   
    シャン・ノースはこれとは別に、ローカルなパブなどで、地元や旅回りの、ふつうは男性ダンサーがソロで披露してきたタイプ。紹介したビデオではダブリンのスタジオに造られたセットで、音がよく鳴るように特別の床になっていますが、ふだんはパブの扉をはずして床に置き、その上で踊られたそうです。「古い様式」と呼ばれますが、もちろん現在でもこのタイプを踊る人は少くありません。
   
    ここでのパディのダンスは競技会向けの要素がかなり入っていて、どちらかというとモダンな感じです。映像として手に入りやすいものとしては、ダーヴィッシュのライヴ・ビデオ《MIDSUMMERS SESSION》でゲスト・ダンサーが踊っています。そちらはもっとゆったりとしたダンスです。(ゆ)