拙訳の『聴いて学ぶアイルランド音楽』の版元、アルテスパブリッシング全点フェア開催中の東京・千駄木の古書ほうろうさんでのアイリッシュ・ミュージック・イベントは
05/23(日)15:00〜
ということになりました。
ご近所でもある芸大のアイリッシュ・ミュージック・サークル G-Celt のご協力が得られたので、まずアイリッシュ・ミュージックのライヴを楽しんでいただき、16:00から小生のおしゃべり、ということになりました。
何をしゃべるか、というのはおいおい考えますが、せっかくライヴがあるので、ふだんあまり聴けないような音源を聴いていただこうかと思っています。やはり、うた、ですかね。昨年、医科歯科大で「授業」させていただいたときもシャン・ノースをかけたら、かなり反応が良かったし。
入場料等は無料ですが、G-Celt のメンバーには、よろしければ投げ銭、おひねり、差し入れなどをしていただければ、演奏にも身が入ると思います。
昨日はその打ち合わせにアルテスパブリッシングの鈴木さんとほうろうに伺ってきました。古本屋に入るのすら久しぶりでしたが、この店は神田あたりの店とちがって、妙にゆったりしています。空間も本のならべ方もゆるい。そのせいか、ほんとうに久しぶりにゆきあたりばったりに本を買いたい気分が湧いてきて、ちょうど篠田一士の『音楽の合間に』(音楽之友社、1978)が千円であったのをみつけて買ってしまいました。以前、篠田の本を集めた時にもこれだけは手に入らなかったのでした。
鈴木さんには近所の往来堂という、こちらは新刊書店にも案内されました。いや、興奮しました。本を買いたくなる棚というのを、これまたほんとうに久しぶりに見ました。もう四半世紀近く昔になるのかな、宮仕えしていた頃、営業で回っていた都内の店のいくつかを思いだしました。今泉さんがいた池袋・リブロとか、松田さんがいた銀座・旭屋とか、その棚の前に立つだけでわくわくしてくるような本屋さんがありました。むろん、アマゾンなど無い、いやネットもケータイも無い時代ですから、今と同列にはなりませんが、むしろ今でもやり方次第ではこういうこともできるのです。
往来堂は外見はごく普通のどこにでもあるような本屋さんですが、品揃えはどこにもない、こんな本があるんだという「発見」に満ちたものです。ここに来なければ、こういう「発見」はできない。少なくともそう思わせる。ほうろうもそうですが、この「発見」や「出会い」の体験は、ネットではまだできませんし、当分、不可能でしょう。
読んだことのある、あるいは読んではいないが内容はある程度知っている本の隣に、まったく知らない書き手の知らない本がある。隣に並んでいる、というのがミソなわけです。棚から抜きだして、表紙を見たり、目次を眺めたり、あちこちパラパラ読んでみたり。そうして、新たな世界が開ける。
しかも、この店は、例えば飯田橋の深夜プラス1のような「専門店」の看板を掲げているわけではなく、一見、そんじょそこらにあるような、ごく普通の店です。とりわけ本好きや好書家が集まるわけではない。どこにでもあるベストセラーもちゃんとある。このさりげなさがいい。この店のためにわざわざ遠方からたずねてくるようなことはないけれど、このあたりに来たら、必ず寄る。たとえ何も買わなくても、気分は上々、晴れ晴れとして店を出られる。
ああ、こういう本屋が近所にあればねえ、と鈴木さんと二人、溜息をついたことでした。ほうろうや往来堂のような店がある、というのは、その街の文化の質の良さの現れだろうと思いました。
この日は「しのばずブックストリート一箱古本市」の日で、鈴木さんはほうろうの前に「出店」していたので、くっついて打ち上げにまでもぐりこませてもらいました。実行委員会にアイリッシュ・ミュージック関係で昔からの仲間の中濱さんがいて、これまた久しぶりに再会。最近、フランスのワイン産地の土壌、地形とできるワインの関係を詳細に分析、記録した本の飜訳を上梓されてます。ほうろうに現物があって拝みましたが、とんでもない代物で、ワイン好きにはたまらないでしょう。
打ち上げ式では、実行委員会が委嘱した人たちが全店を歩いて、その中から各々の視点からユニークと見た「箱」つまり店の表彰がありました。コメンテイターの方々の話や、表彰された店主さんたちの話も味のあるものでした。ここで感心したのは、表彰の基準が優劣ではないこと。表彰の基準はあくまでもコメンテイターの個人的な思い入れや判断で、何ら「客観的」な基準があるわけではない。売上冊数と金額のベスト3の発表もありましたが、こちらは特に表彰もなし。それだけの売上を挙げたこと自体で十分表彰になっていると思うという、司会の南陀楼綾繁さんの言葉が印象的でした。北海道からの参加者もあり、全国各地から参加者があるそうな。その様子を見、さらにその後の宴会でいろいろ話を伺っていると、いっちょ、参加するかな、という気になってきました。さいわい、というか、売るものには困らないし(^_-)。問題は、ぼく自身が超強力な雨男ということ。
南陀楼綾繁さんにもついにお目にかかれたし(『一箱古本市の歩きかた (光文社新書)』も買いました)、なんだかすごく気分がよくなって、どうやら飲みすぎたようでありました。(ゆ)
05/23(日)15:00〜
ということになりました。
ご近所でもある芸大のアイリッシュ・ミュージック・サークル G-Celt のご協力が得られたので、まずアイリッシュ・ミュージックのライヴを楽しんでいただき、16:00から小生のおしゃべり、ということになりました。
何をしゃべるか、というのはおいおい考えますが、せっかくライヴがあるので、ふだんあまり聴けないような音源を聴いていただこうかと思っています。やはり、うた、ですかね。昨年、医科歯科大で「授業」させていただいたときもシャン・ノースをかけたら、かなり反応が良かったし。
入場料等は無料ですが、G-Celt のメンバーには、よろしければ投げ銭、おひねり、差し入れなどをしていただければ、演奏にも身が入ると思います。
昨日はその打ち合わせにアルテスパブリッシングの鈴木さんとほうろうに伺ってきました。古本屋に入るのすら久しぶりでしたが、この店は神田あたりの店とちがって、妙にゆったりしています。空間も本のならべ方もゆるい。そのせいか、ほんとうに久しぶりにゆきあたりばったりに本を買いたい気分が湧いてきて、ちょうど篠田一士の『音楽の合間に』(音楽之友社、1978)が千円であったのをみつけて買ってしまいました。以前、篠田の本を集めた時にもこれだけは手に入らなかったのでした。
鈴木さんには近所の往来堂という、こちらは新刊書店にも案内されました。いや、興奮しました。本を買いたくなる棚というのを、これまたほんとうに久しぶりに見ました。もう四半世紀近く昔になるのかな、宮仕えしていた頃、営業で回っていた都内の店のいくつかを思いだしました。今泉さんがいた池袋・リブロとか、松田さんがいた銀座・旭屋とか、その棚の前に立つだけでわくわくしてくるような本屋さんがありました。むろん、アマゾンなど無い、いやネットもケータイも無い時代ですから、今と同列にはなりませんが、むしろ今でもやり方次第ではこういうこともできるのです。
往来堂は外見はごく普通のどこにでもあるような本屋さんですが、品揃えはどこにもない、こんな本があるんだという「発見」に満ちたものです。ここに来なければ、こういう「発見」はできない。少なくともそう思わせる。ほうろうもそうですが、この「発見」や「出会い」の体験は、ネットではまだできませんし、当分、不可能でしょう。
読んだことのある、あるいは読んではいないが内容はある程度知っている本の隣に、まったく知らない書き手の知らない本がある。隣に並んでいる、というのがミソなわけです。棚から抜きだして、表紙を見たり、目次を眺めたり、あちこちパラパラ読んでみたり。そうして、新たな世界が開ける。
しかも、この店は、例えば飯田橋の深夜プラス1のような「専門店」の看板を掲げているわけではなく、一見、そんじょそこらにあるような、ごく普通の店です。とりわけ本好きや好書家が集まるわけではない。どこにでもあるベストセラーもちゃんとある。このさりげなさがいい。この店のためにわざわざ遠方からたずねてくるようなことはないけれど、このあたりに来たら、必ず寄る。たとえ何も買わなくても、気分は上々、晴れ晴れとして店を出られる。
ああ、こういう本屋が近所にあればねえ、と鈴木さんと二人、溜息をついたことでした。ほうろうや往来堂のような店がある、というのは、その街の文化の質の良さの現れだろうと思いました。
この日は「しのばずブックストリート一箱古本市」の日で、鈴木さんはほうろうの前に「出店」していたので、くっついて打ち上げにまでもぐりこませてもらいました。実行委員会にアイリッシュ・ミュージック関係で昔からの仲間の中濱さんがいて、これまた久しぶりに再会。最近、フランスのワイン産地の土壌、地形とできるワインの関係を詳細に分析、記録した本の飜訳を上梓されてます。ほうろうに現物があって拝みましたが、とんでもない代物で、ワイン好きにはたまらないでしょう。
打ち上げ式では、実行委員会が委嘱した人たちが全店を歩いて、その中から各々の視点からユニークと見た「箱」つまり店の表彰がありました。コメンテイターの方々の話や、表彰された店主さんたちの話も味のあるものでした。ここで感心したのは、表彰の基準が優劣ではないこと。表彰の基準はあくまでもコメンテイターの個人的な思い入れや判断で、何ら「客観的」な基準があるわけではない。売上冊数と金額のベスト3の発表もありましたが、こちらは特に表彰もなし。それだけの売上を挙げたこと自体で十分表彰になっていると思うという、司会の南陀楼綾繁さんの言葉が印象的でした。北海道からの参加者もあり、全国各地から参加者があるそうな。その様子を見、さらにその後の宴会でいろいろ話を伺っていると、いっちょ、参加するかな、という気になってきました。さいわい、というか、売るものには困らないし(^_-)。問題は、ぼく自身が超強力な雨男ということ。
南陀楼綾繁さんにもついにお目にかかれたし(『一箱古本市の歩きかた (光文社新書)』も買いました)、なんだかすごく気分がよくなって、どうやら飲みすぎたようでありました。(ゆ)
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