悪意の森 (上) (集英社文庫)    Irish Book of the Decade 候補作のおさらい その37。

    この人は1973年生まれで、Irish Book of the Decade を受賞したデレク・ランディTenderwireクレア・キルロイと同年。なお、この50選中で生年がわかる人では他に『縞模様のパジャマの少年』のジョン・ボインと架空作家のロス・オドリスコル・ケリィの黒子ポール・ハワード、それにロイ・キーンが70年代生まれ。
   
    ジュリア・ケリィケヴィン・バリィデレク・ランディとともにこれもデビュー作。エドガー賞受賞作。さすがに邦訳が出ている。翌年第2作 The Likeness を出す。ただし続篇やシリーズではない。
   
    公式サイトによると、著者はトリニティ・カレッジ・ダブリンで俳優の訓練を受け、そちらでも活動している由。アイルランド、イタリア、アメリカ、マラウィで育ち、1990年からはダブリン在住。
   
    このデビュー作も第二作も、事件の設定が風変わりでおもしろい。いずれも探偵役の主人公はダブリンの警察の刑事だが、アイルランドならばこんな事件があってもおかしくないと思わせる。
   
    それにしても、アマゾン・ジャパンの読者評、最後まで一気に読ませれば、それは優れた小説の証として十分ではないかと思うが、皆さん、どこかでケチを付けないと気がすまないのか、素直に誉めるのは沽券にかかわるということなのか。(ゆ)