牧みいめさんのお誘いで、海外SF同好会「アンサンブル」の例会にお邪魔させていただく。ファンダムとはまったく縁が無いままにこれまで来たので、そういう場にお邪魔して大丈夫かとも思ったのだが、そこはまあ亀の甲より年の功で、何とか馬脚をあらわさずにすんだ。しかし、どうやらあたしが最年長クラスなんだよなあ。
Nさんが持参された Locus の最新号を拝借してパラパラ。定期購読はとうにやめているので、本誌を見るのは久しぶり。コーンブルースの伝記が出ていて、Gary K Wolf が誉めている。本人だけではなく、当時のアメリカSF界の様子もきっちり書かれているようだ。こいつは読まなくては。
と言ったらみいめさんが、翻訳だけじゃなくて研究もなさるんですか。
研究なんてものではないが、興味のある作家の伝記は読みたいじゃないですか。ウルフも比較に挙げているティプトリーの伝記はまことに評価が高いけれど、これもウルフが指摘するようにSF界の外の話の方を、たぶん面白く読んでしまいそうで、後回しでいいや、という気分。それに比べるとコーンブルースの伝記は、アメリカの一角でSFが地歩を固めてゆく過程も見えるのではないかと期待。そういえば、メリルの伝記も出ていたよな。
それに浅倉さんお気に入りの作家のひとりとして、コーンブルースの面白さをきちんと咀嚼して伝えるためにも、伝記は押えておかなくてはならない。
牧さんだって、マイク・アシュリーのアメリカSF雑誌の歴史の第2巻 Transformations の翻訳をあげられたそうじゃないですか。あれはやっぱり一番面白いところでしょう。なんといっても、F&SF と Galaxy から New Worlds にいたる、SFの疾風怒涛の時代を扱っているのだから。
あそこはSF雑誌の黄金時代で、先の2誌と Astounding を中心として、どれもこれもキャラの立った雑誌が妍を競っていた。そのドラマが面白くないはずはない。これが第3巻になるとオリジナル・アンソロジーの時代になり、Asimov's の創刊はあるにしてもSF創作における雑誌の力は相対的に落ちる。
ところで福島正実はホレース・ゴールドなんですよ、あの第二巻を読むとよくわかる、と思わず牧夫人に力説してしまう。福島本人はキャンベルをモデルとして、自ら日本のキャンベルを任じていたことは確かだけれど、編集者としての資質、SFに対する考え方、好みの作品の傾向、それにキャリアと、どこから見てもゴールドなのだ。『ギャラクシー』が元気だったら、SFM は『ギャラクシー』日本語版として出ていたはずであることは『未踏の時代』を見てもわかる。F&SF は選択肢の二番目だったのだ。そういえば、ゴールドの伝記も出ていなかったっけ。
Terry Dowling の Amberjack も迷っているのだが、やはり買うべきか。ダウリングがまだ本邦未紹介というのでちょとびっくり。
それにしても、牧真司さんはいきなりクノー『はまむぎ』のレジュメを配りはじめるし、ペレック、イシグロ、プルースト、ジョイス、ミルハウザー、ダイ・シージエなどの名がとびかい、二次会ではペレーヴィンの話題からサミット・バスの名前まで出てきて、いや刺激的な会ではある。サミット・バスはどこかで紹介したいねえ。とまれ、英訳からだいぶ時間差はあるにしても、ペレーヴィンの翻訳がどんどんと出るのはめでたいことである。うーん、本を読もうとい気力がむくむくと湧いてくるぞ。
二次会でなぜか突然眼鏡の交換会がはじまったのには、これも浅倉さんが訳されたライバーの傑作中篇「影の船」を思い出してしまうのは、哀しいマニアの性か。
往復には出たばかりのSFM 8月号の「浅倉久志追悼特集」を読む。こちらについてはまた後日。(ゆ)
Nさんが持参された Locus の最新号を拝借してパラパラ。定期購読はとうにやめているので、本誌を見るのは久しぶり。コーンブルースの伝記が出ていて、Gary K Wolf が誉めている。本人だけではなく、当時のアメリカSF界の様子もきっちり書かれているようだ。こいつは読まなくては。
と言ったらみいめさんが、翻訳だけじゃなくて研究もなさるんですか。
研究なんてものではないが、興味のある作家の伝記は読みたいじゃないですか。ウルフも比較に挙げているティプトリーの伝記はまことに評価が高いけれど、これもウルフが指摘するようにSF界の外の話の方を、たぶん面白く読んでしまいそうで、後回しでいいや、という気分。それに比べるとコーンブルースの伝記は、アメリカの一角でSFが地歩を固めてゆく過程も見えるのではないかと期待。そういえば、メリルの伝記も出ていたよな。
それに浅倉さんお気に入りの作家のひとりとして、コーンブルースの面白さをきちんと咀嚼して伝えるためにも、伝記は押えておかなくてはならない。
牧さんだって、マイク・アシュリーのアメリカSF雑誌の歴史の第2巻 Transformations の翻訳をあげられたそうじゃないですか。あれはやっぱり一番面白いところでしょう。なんといっても、F&SF と Galaxy から New Worlds にいたる、SFの疾風怒涛の時代を扱っているのだから。
あそこはSF雑誌の黄金時代で、先の2誌と Astounding を中心として、どれもこれもキャラの立った雑誌が妍を競っていた。そのドラマが面白くないはずはない。これが第3巻になるとオリジナル・アンソロジーの時代になり、Asimov's の創刊はあるにしてもSF創作における雑誌の力は相対的に落ちる。
ところで福島正実はホレース・ゴールドなんですよ、あの第二巻を読むとよくわかる、と思わず牧夫人に力説してしまう。福島本人はキャンベルをモデルとして、自ら日本のキャンベルを任じていたことは確かだけれど、編集者としての資質、SFに対する考え方、好みの作品の傾向、それにキャリアと、どこから見てもゴールドなのだ。『ギャラクシー』が元気だったら、SFM は『ギャラクシー』日本語版として出ていたはずであることは『未踏の時代』を見てもわかる。F&SF は選択肢の二番目だったのだ。そういえば、ゴールドの伝記も出ていなかったっけ。
Terry Dowling の Amberjack も迷っているのだが、やはり買うべきか。ダウリングがまだ本邦未紹介というのでちょとびっくり。
それにしても、牧真司さんはいきなりクノー『はまむぎ』のレジュメを配りはじめるし、ペレック、イシグロ、プルースト、ジョイス、ミルハウザー、ダイ・シージエなどの名がとびかい、二次会ではペレーヴィンの話題からサミット・バスの名前まで出てきて、いや刺激的な会ではある。サミット・バスはどこかで紹介したいねえ。とまれ、英訳からだいぶ時間差はあるにしても、ペレーヴィンの翻訳がどんどんと出るのはめでたいことである。うーん、本を読もうとい気力がむくむくと湧いてくるぞ。
二次会でなぜか突然眼鏡の交換会がはじまったのには、これも浅倉さんが訳されたライバーの傑作中篇「影の船」を思い出してしまうのは、哀しいマニアの性か。
往復には出たばかりのSFM 8月号の「浅倉久志追悼特集」を読む。こちらについてはまた後日。(ゆ)
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