以上、47人の書き手による50点の候補作のデータをまとめておく。

書き手の性別
    女性18人
    男性29人

書き手の年齢
    最年長 ウィリアム・トレヴァー 1928年生
    最年少 セシリア・アハーン 1981年生

生年代別の人数
    1920年代生 1
    1930年代生 4
    1940年代生 3
    1950年代生 11
    1960年代生 11
    1970年代生 7
    1980年代生 1
    生年不明 10名
   
物故者 2名

邦訳のあるもの 11点
該当作以外に邦訳のある作家 14人

発行年別点数
    2001    2
    2002    3
    2003    2
    2004    6
    2005    5
    2006    8
    2007    9
    2008    12
    2009    3

ノンフィクション 12点
長篇小説 31点
短篇集 2点
ジュヴナイル/ヤングアダルト 5点(すべて長篇)うち4点邦訳あり

    アイルランド2000年代を代表する本としては、圧倒的に小説、ということらしい。それだけ創作、出版ともに盛ん。とりわけ若い読者向けのものの隆盛は際立つ。
   
    邦訳がこの分野に多いのは、ひとつには「ハリポタ」の後遺症でもあるので、必ずしも作品の質が成人向けのものより平均して高い、というわけでもなかろう。
   
    ノンフィクションの中では、回想録・自伝類が半分の6点。歴史ものが2点。もっともこの片方は伝記の一種ではある。経済関係が、経済人の回想録も含めれば2点。政治関係が1点。哲学思想も含むものが1点。自然科学が無いのは、あるいはハナからはずしたのか。詩、韻文関係が作品そのものは無くて、シェイマス・ヒーニイのインタヴューによる自伝1冊というのも、ちょと解せない。詩や詩人の地位は高いし、日本語の詩よりも公の場で接する機会ははるかに多いが、実際に詩集を読む人はそれほど多くない、ということか。

    書き手の3分の1というのは、やはり女性が多いと言うべきだろう。これが1990年代ならば、女性の比率はもっと減ったのではないかと思う。今の勢いなら、2010年代はさらに女性の書き手が増えそうだ。最年長が男性、最年少が女性、となったのはおそらく偶然だろうが、象徴的ではある。専門的な分野でも増えると期待。
   
    ということで、これから未読の48点を実際に読んでみることにする。邦訳のあるものは後回し。
   
    まずは、サッカーのワールド・カップ南アフリカ大会中ということもあり、ポール・マグラアの自伝からかな。(ゆ)