試聴用にお預りしていた Schemeclone Project のポータブル・ヘッドフォン・アンプのバーンインがようやくメーカー指定の100時間を超えました。強制的なバーンインはせず、ふつうに使っていって100時間を超えたところです。
試聴といってもぼくの場合、日常的に音楽を聴くのに使うので、特に曲を決めて聞き比べるということはしていません。ただ、これを使いだしてから、よく音楽を聴くようになりました。バーンインをしていたこの数ヶ月はここ数年で一番音楽を聞いているかもしれません。旧譜やすでに散々聴いた音源でも、これで聴いたらどうだろうと聴きたくなるのです。
iPod で聴くのは散歩しながらが一番多いので、このアンプで聴くために、この暑い夏も結構散歩をしていたくらいです。涼しかった7月より暑かった8月の方が散歩の歩数合計が多いにのは我ながら驚きました。
このアンプは初めからかなり良い音で鳴ってくれますが、バーンインが進むにつれて、だんだん音が良くなってくるのがよくわかります。それがまた楽しい。50時間を超えると一段と音楽に艶が出る感じで、8月に聴く時間が増えたのはそのためでしょう。
そう、このアンプの長所を一言で表そうとすると、たぶん、音楽に艶が出る、というのが一番近いと思います。音に艶が出るのではなくて、音楽がより艶やかになるのです。コクが深くもなります。より深く味わえるようになる。聞こえなかった音が聞こえるようになるというのではなくて、聞こえていたけれども気がつかなかったディテールの綾、微妙なニュアンスにふと耳が導かれる。いや、さりげなくさしだされる、でしょうか。好きな音源はますます好きに、それほどでもなかった音源でも悪くないじゃないか、という風に。
ソースは iPod touch 2nd Generation 32GB。ファイルは Apple Lossless, LAME-MP3(ビットレートは様々)。iPod との接続は AUDIOTRAK AT-iacS3 iPodオーディオケーブル3GS。3,000円以下ですが、さすがモガミでしょうか、CP は高いです。今のところ、上のクラスに換えたいという不満はありません。
ところで国内で販売されているドック・ケーブルでこの上となると急に1万円をかなり超えて、中間がありません。不思議。海外のオンライン・ショップでは5,000〜10,000円のものも散見しますが。ポータブル・アンプを使えばドック・ケーブルは必須なはずで、これより安いオヤイデのものばかり売れてるんでしょうか。
ヘッドフォンはオープンはアウトドア用に Yuin G2a、室内用は Sennheiser HD414。クローズドは EXH−313。Audio-technica ATH-A100Ti をベースにここが改造をほどこしたもの。
現在のオーテクの音を受け付けないことはここでも書いてますが、このヘッドフォンは購入前に試聴して納得しました。こちらもエージングが100時間を超えたところで、まことにすばらしい音楽を聞かせてくれます。
もっともこの UST すなわち Ultra Sound Technology がどういうものかは伝聴研の所長さんもうまく説明できないものではあります。実際に施工しているオーディオ・インテルはケーブルが得意だそうですので、内部配線の交換などが含まれるのでしょうが、それだけではない「おまじない」もいろいろ施されているらしい。また、この技術自体も完成しているわけではなく、今も改良を続けていて、今販売されているものは、初期のものからは進化しているそうです。
とまれ、出てくる音はとてもオーテクのものとは思えない(笑)無理や誇張のない自然なもので、細部までの表現力も高いです。これまたちょっと他のものに換える気が起きません。
イヤフォンは例によって BauXar EarPhone M + Comply P-100 slim。これは主に外出時にバスや電車などのノイズの多いところで聴くためです。それと今年のように暑い時は、フルサイズのヘッドフォンでは汗をかいてしまうので、クローズドの代わりに室内で使うこともあります。アンプのこれとの相性はまるでカスタム・メイドのようで、Comply のおかげもあるでしょうが、EarPhone M のレンジが二桁くらい広がった感じです。
うちのヘッドフォン、イヤフォンはそれぞれに傾向が違うと思いますが、このアンプはどれもその能力を十二分に引き出してくれます。前にもちょっと書きましたが、ヘッドフォンやイヤフォン自体の限界がわかってしまうという感じにはなりません。この中で能力的に一番下なのは G2a でしょうが、これも良い相棒を得たと大喜びで鳴っているけしきです。この耳かけ式の能力の高さはこれまでも認めていたつもりでしたが、こんなに良い音を出せるのかと感心することが何度もありました。
どうしてこれが国内販売されないのか、これまた不思議です。価格が安すぎるからでしょうか。G1a にすればさらに良くなるのでしょうが、すっかり耳になじんでしまって、こうなってくると、実売5,000円のこいつでどこまでの音が聴けるか、突きつめてみたくもなってきます。
ノイズ・レベルは低く、背景は真黒。ですが、これはもう当然でしょう。
バッテリーは 6P 1個。MAHA の230mAh、9.6V で約10時間。最初に入っていた充電不可のものはもう少し保ったかもしれません。たまたま手元には 6P タイプはこの MAHA しかなかったので、他は試していません。それにしても、日本のメーカーはどうしてこのクラスのものを出さないのでしょうねえ。皆8.4V、175とか190mAh ばかり。この頃は中国でも MAHA クラスのものを作っているのに。
バッテリーが切れる時は急に音量が小さくなり、音が割れます。青のパイロット・ランプの光も弱まります。
いわゆる周波数特性で言えばフラットだと思います。少なくともどこかを強調したり、補正したりしているようには聞こえません。下から上まで、ごく自然に広がっています。ぼくの聴く音楽はルーツ、ワールド系が多く、この方面の楽器にはダイナミック・レンジが半端でなく広いものがあり、音域も音の性格も多種多様ですが、どれもごくストレートに再生されます。
ということは、相当にレスポンスが鋭敏で、ハイスピードなのでしょう。色付けもありません。
デジタル音源の再生でいわゆる圧縮音源でもきちんと聞かせてくれることは良い装置の必要条件ですが、このアンプはその点でも最高レベルです。簡単に言うと、圧縮と非圧縮の違いがありません。いや、それは同じ音源を圧縮と非圧縮で聞き比べれば当然違いは出ます。ですが、別々の音源で片方が圧縮、もう片方が非圧縮だとしても、音楽を聴く上では差はありません。
圧縮音源でも人間の耳からすれば、少なくともぼくの耳からすれば音楽を細部まで楽しむための十分な情報が入っていることは、すでに体験していました。このアンプはその情報を細大漏らさず、あらいざらい引き出してくれます。圧縮でも(ビットレート192kbps 以上という条件はつきますが)、元の録音の良い音源であれば、余韻や残響、あるいは雰囲気といった、「プラスα」の部分、音楽の本質とはずれるけれど、一歩踏みこんで音楽を楽しむには不可欠の部分もしっかり聞かせてくれます。特に空間表現に長けているのでしょう。クローズド・タイプのヘッドフォンやイヤフォンでも空間の解放感があります。オープンだとさらに広大なスペースが開けます。
5月に試聴機をお預かりして、はじめは Linearossa W3 と並行して、取り替えながら聞いていたのですが、だんだん W3 の出番が減り、気がついてみるとこのアンプばかり聴くようになっていました。これはやはり W3 よりも RudiStor XJ-03 MkII あたりと聞き比べてみたいものです。
思えば、iPod のような携帯プレーヤーで聴くかぎり、DAC は不要です。iPod にマジックテープでくっつけて使うようなポータブルのアンプに DAC を付けるのは蛇足の類でしょう。W3 の場合は準デスクトップとしての使い方を想定しているところもあります。さもなければ突起部分抜きで97ミリという本体の長さはないはず。光、同軸、USB という3系統の入力を備えるためでしょう。ポータブルはアンプに徹して、サイズをできるだけ小さく軽く、かつ音質を追求していただきたい。
お預かりしたアンプは試作品で、販売する際には、充電機能を加え、筐体も設計しなおされるそうです。ただ、発売時期はまだ未定とのこと。想定価格は2万円を切る由。高いカネを払わないと良い音で聴けないというのはやはり困ったことで、この音がこの価格で出るのはグッド・ニュース。ポータブル・アンプ全体の質をまた一段と押し上げるのではと期待します。(ゆ)
試聴といってもぼくの場合、日常的に音楽を聴くのに使うので、特に曲を決めて聞き比べるということはしていません。ただ、これを使いだしてから、よく音楽を聴くようになりました。バーンインをしていたこの数ヶ月はここ数年で一番音楽を聞いているかもしれません。旧譜やすでに散々聴いた音源でも、これで聴いたらどうだろうと聴きたくなるのです。
iPod で聴くのは散歩しながらが一番多いので、このアンプで聴くために、この暑い夏も結構散歩をしていたくらいです。涼しかった7月より暑かった8月の方が散歩の歩数合計が多いにのは我ながら驚きました。
このアンプは初めからかなり良い音で鳴ってくれますが、バーンインが進むにつれて、だんだん音が良くなってくるのがよくわかります。それがまた楽しい。50時間を超えると一段と音楽に艶が出る感じで、8月に聴く時間が増えたのはそのためでしょう。
そう、このアンプの長所を一言で表そうとすると、たぶん、音楽に艶が出る、というのが一番近いと思います。音に艶が出るのではなくて、音楽がより艶やかになるのです。コクが深くもなります。より深く味わえるようになる。聞こえなかった音が聞こえるようになるというのではなくて、聞こえていたけれども気がつかなかったディテールの綾、微妙なニュアンスにふと耳が導かれる。いや、さりげなくさしだされる、でしょうか。好きな音源はますます好きに、それほどでもなかった音源でも悪くないじゃないか、という風に。
ソースは iPod touch 2nd Generation 32GB。ファイルは Apple Lossless, LAME-MP3(ビットレートは様々)。iPod との接続は AUDIOTRAK AT-iacS3 iPodオーディオケーブル3GS。3,000円以下ですが、さすがモガミでしょうか、CP は高いです。今のところ、上のクラスに換えたいという不満はありません。
ところで国内で販売されているドック・ケーブルでこの上となると急に1万円をかなり超えて、中間がありません。不思議。海外のオンライン・ショップでは5,000〜10,000円のものも散見しますが。ポータブル・アンプを使えばドック・ケーブルは必須なはずで、これより安いオヤイデのものばかり売れてるんでしょうか。
ヘッドフォンはオープンはアウトドア用に Yuin G2a、室内用は Sennheiser HD414。クローズドは EXH−313。Audio-technica ATH-A100Ti をベースにここが改造をほどこしたもの。
現在のオーテクの音を受け付けないことはここでも書いてますが、このヘッドフォンは購入前に試聴して納得しました。こちらもエージングが100時間を超えたところで、まことにすばらしい音楽を聞かせてくれます。
もっともこの UST すなわち Ultra Sound Technology がどういうものかは伝聴研の所長さんもうまく説明できないものではあります。実際に施工しているオーディオ・インテルはケーブルが得意だそうですので、内部配線の交換などが含まれるのでしょうが、それだけではない「おまじない」もいろいろ施されているらしい。また、この技術自体も完成しているわけではなく、今も改良を続けていて、今販売されているものは、初期のものからは進化しているそうです。
とまれ、出てくる音はとてもオーテクのものとは思えない(笑)無理や誇張のない自然なもので、細部までの表現力も高いです。これまたちょっと他のものに換える気が起きません。
イヤフォンは例によって BauXar EarPhone M + Comply P-100 slim。これは主に外出時にバスや電車などのノイズの多いところで聴くためです。それと今年のように暑い時は、フルサイズのヘッドフォンでは汗をかいてしまうので、クローズドの代わりに室内で使うこともあります。アンプのこれとの相性はまるでカスタム・メイドのようで、Comply のおかげもあるでしょうが、EarPhone M のレンジが二桁くらい広がった感じです。
うちのヘッドフォン、イヤフォンはそれぞれに傾向が違うと思いますが、このアンプはどれもその能力を十二分に引き出してくれます。前にもちょっと書きましたが、ヘッドフォンやイヤフォン自体の限界がわかってしまうという感じにはなりません。この中で能力的に一番下なのは G2a でしょうが、これも良い相棒を得たと大喜びで鳴っているけしきです。この耳かけ式の能力の高さはこれまでも認めていたつもりでしたが、こんなに良い音を出せるのかと感心することが何度もありました。
どうしてこれが国内販売されないのか、これまた不思議です。価格が安すぎるからでしょうか。G1a にすればさらに良くなるのでしょうが、すっかり耳になじんでしまって、こうなってくると、実売5,000円のこいつでどこまでの音が聴けるか、突きつめてみたくもなってきます。
ノイズ・レベルは低く、背景は真黒。ですが、これはもう当然でしょう。
バッテリーは 6P 1個。MAHA の230mAh、9.6V で約10時間。最初に入っていた充電不可のものはもう少し保ったかもしれません。たまたま手元には 6P タイプはこの MAHA しかなかったので、他は試していません。それにしても、日本のメーカーはどうしてこのクラスのものを出さないのでしょうねえ。皆8.4V、175とか190mAh ばかり。この頃は中国でも MAHA クラスのものを作っているのに。
バッテリーが切れる時は急に音量が小さくなり、音が割れます。青のパイロット・ランプの光も弱まります。
いわゆる周波数特性で言えばフラットだと思います。少なくともどこかを強調したり、補正したりしているようには聞こえません。下から上まで、ごく自然に広がっています。ぼくの聴く音楽はルーツ、ワールド系が多く、この方面の楽器にはダイナミック・レンジが半端でなく広いものがあり、音域も音の性格も多種多様ですが、どれもごくストレートに再生されます。
ということは、相当にレスポンスが鋭敏で、ハイスピードなのでしょう。色付けもありません。
デジタル音源の再生でいわゆる圧縮音源でもきちんと聞かせてくれることは良い装置の必要条件ですが、このアンプはその点でも最高レベルです。簡単に言うと、圧縮と非圧縮の違いがありません。いや、それは同じ音源を圧縮と非圧縮で聞き比べれば当然違いは出ます。ですが、別々の音源で片方が圧縮、もう片方が非圧縮だとしても、音楽を聴く上では差はありません。
圧縮音源でも人間の耳からすれば、少なくともぼくの耳からすれば音楽を細部まで楽しむための十分な情報が入っていることは、すでに体験していました。このアンプはその情報を細大漏らさず、あらいざらい引き出してくれます。圧縮でも(ビットレート192kbps 以上という条件はつきますが)、元の録音の良い音源であれば、余韻や残響、あるいは雰囲気といった、「プラスα」の部分、音楽の本質とはずれるけれど、一歩踏みこんで音楽を楽しむには不可欠の部分もしっかり聞かせてくれます。特に空間表現に長けているのでしょう。クローズド・タイプのヘッドフォンやイヤフォンでも空間の解放感があります。オープンだとさらに広大なスペースが開けます。
5月に試聴機をお預かりして、はじめは Linearossa W3 と並行して、取り替えながら聞いていたのですが、だんだん W3 の出番が減り、気がついてみるとこのアンプばかり聴くようになっていました。これはやはり W3 よりも RudiStor XJ-03 MkII あたりと聞き比べてみたいものです。
思えば、iPod のような携帯プレーヤーで聴くかぎり、DAC は不要です。iPod にマジックテープでくっつけて使うようなポータブルのアンプに DAC を付けるのは蛇足の類でしょう。W3 の場合は準デスクトップとしての使い方を想定しているところもあります。さもなければ突起部分抜きで97ミリという本体の長さはないはず。光、同軸、USB という3系統の入力を備えるためでしょう。ポータブルはアンプに徹して、サイズをできるだけ小さく軽く、かつ音質を追求していただきたい。
お預かりしたアンプは試作品で、販売する際には、充電機能を加え、筐体も設計しなおされるそうです。ただ、発売時期はまだ未定とのこと。想定価格は2万円を切る由。高いカネを払わないと良い音で聴けないというのはやはり困ったことで、この音がこの価格で出るのはグッド・ニュース。ポータブル・アンプ全体の質をまた一段と押し上げるのではと期待します。(ゆ)

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