iTunes での音楽再生を別次元の音質にしてくれる BitPerfect が Ver. 0.30 になってパフォーマンスが格段に改善されました。AppStore で450円。
    
    これまでは音は良いんだけど、再生中音が跳んだり、数秒前にもどったりすることが頻繁で、常用する気にはなれなかったんですが、今回のヴァージョンではぼくの環境では今のところ、スムーズに再生されてます。
    
    ぼくのところは MacBook Pro Early 2011 + MacOS X 10.7.1 + iTunes 10.4.1。メモリはデフォルトの 4GB。ライブラリはUSB接続の外付け2TB HDD に入れてます。再生中はなるべく他のアプリは立ち上げないようにしてます。それと再生中は iTunes で他の作業はしません。まあ、あまりそういうことをする人はいないでしょうが。
    
    こうなると、音の良さと iTunes の使い勝手の良さが両立して、他のプレーヤーが霞んできます。
    
    特筆すべきは ACC や MP3 の再生音の良さです。昔、CDからリッピングしたままの 128Kbps の ACC でも、こんな音が入っていたのかと驚いたり、いい音だなあとうっとり聴きほれたり、何もかも忘れて聴きいったりすることが屡々。かつては iTunes のリッピングのデフォルトが 128kbps の ACC でした。実を言えば、CD を直接聴くのをやめて、iTunes に移行することに決めたのは、デフォルトのフォーマットが MP3 から ACC になった時で、その音の良さにこれなら十分と思ったからでした。
    
    その後、ロスレスの音に慣れるとやはり ACC からはだんだん離れて、リッピングもすべてロスレス以上、XLD を使うようになってからは flac にしてます。
    
    それが BitPerfect を通じて聴く128ACC は下手なロスレスにも負けない。そりゃ、良質の録音をじっくり聴き比べれば違いはわかりますが、少くとも生楽器の小編成のアンサンブルやヴォーカルや楽器のソロなどでは、256kbps VBR の LameMP3 であればそれ以上何を望むのか(笑)。256の VBR は現在の iTunes でのリッピングのデフォルトでもあるし。ロスレスに比べてファイル・サイズはぐんと減りますから、ライブラリが少々膨れても、HDD を頻繁に増設しなくてもすむ。何より手元の CD をあらためてリッピングしなおす手間から解放されます。なんだかんだで溜まってもいるので、とてもやる気になれないでいたのでした。
    
    むしろ、DAC やアンプ、ヘッドフォン、イヤフォンなどをある程度整えることに気を使った方が良いとも思えます。
    
    ちなみにぼくの今のハードは MacBook Pro> JAVS nanoV> GoVibe Peak> HiFiMAN HE-300 または Chroma MD1。MacBook Pro と nanoV の間は nanoV 付属の USBケーブル。nanoV と Peak の間はベルデン88760のミニ→ RCAペア
    
    ロスレス以上のファイルで音が良いのは当然なので、何度も書いているように、MP3 や AAC がネット上のデフォルトである以上、こうした圧縮音源もちゃんとした音で聞かせてくれないで、PCオーディオでござい、と言われてもね。MP3 でしか配布されていない音源も少なくありません。
    
    ネットやコンピュータ用音源のファイルのデフォルトが、例えば DSD になればまた話は別ですが、その時には PCM を前提としている今の DAC などは戦艦大和以上の無用の長物、お払い箱にするしかないでしょう。ですからやはり DAC にウン十万もかける気にはどうしてもなりません。せいぜいが5万以下、まあ3万までは許せる、できれば1万以内。
    
    高価なハードは圧縮音源もちゃんと良い音で聞かせてくれるのでしょうが、そのためにコンピュータ本体以上のカネを出せというのもいささかムリがあります。だいたいオーディオの世界は価格と性能(と音質)は比例しない、というのが昔からの法則ですし。
    
    その点では Schiit Audio から今月末発売予定の Bifrost はちょっと面白い。DAC オンリーですが、将来的にカードの差し替えでアップグレードができるようになっている、というもの。価格も USB入力抜きで 350USD で、今なら送料入れても3万を切ります。D/A チップが旭化成製で32bitというのも、珍しいし。
    
    なお、ここで「良い音」というのは、聴いていて気持ちが良く、何時間聴きつづけても疲れず、飽きず、どんどん音楽が聴きたくなる、楽《らく》な音、というほどの意味です。「楽」というのにはいわゆる脳内変換が必要ないということも含まれます。良い生演奏に近く、より自然な、バランスの良い音。切れば血が出るような音。ハイスピードでレスポンスの良い音。重低音などは問題外。だいたい本物の低音は羽毛のように軽いものです。ドンシャリではなく、どちらかと言えばカマボコでしょう。つまりフラットに近いという意味です。
    
    フラットというのは何もすべての周波数が真っ平らというのではありません。人間の聴覚はもともとカマボコ、つまり中域が最も良く聞こえ、低域と高域はそれほど聞こえない。この曲線に沿ったものがフラットです。計器などで計ると真っ平らになっているようなら、ドンシャリになるわけです。
    
    むろん個人差がありますし、年齡によっても変わります。年をとるとまず高域が聞こえなくなります。ですから、老人にとって気持ち良い音は若者には高域がキンキンしすぎるように聞こえたりします。
    
    当然これはぼくにとって良い音なので、聴く音楽によっても良い音の内実は変わります。ぼくが聴いているものはだいたいは Last.fm にスクロブルしてます。
    
    
    BitPerfect の基本的な使い方を書いておきます。
    
    立ち上げるとメニュー・バーにアイコンが出ます。常駐ソフトというんでしょうか。クリックして "Launch iTunes" で iTunes を立ち上げます。この順番で立ち上げないと BitPerfect の効果が出ません。
    
    出力装置は Preference> General で指定します。Integer Mode は Lion では使えないので、ぼくははずしてます。チェックを入れていると、音飛びなどの症状が出ることがあるようです。
    
    Preference> Sound でアップサンプリングなど指定できますが、アップサンプリングにチェックを入れるとぼくの環境では音がぶつぶつに切れてしまって、使いものになりません。また Ver. 0.29 では "Output in max bit depth" を外したら、音飛びなどの症状が減りました。0.30 では入れていてもスムーズ再生です。
    
    BitPerfect をかませることで iTunes の反応が鈍くなる場合には Preference> iTunes で "iTunes Response Speed" を "Fast" 側にスライドさせると治ることがあるそうです。ぼくのところでは特に鈍くならないので、試していません。デフォルトのままです。
    
    BitPerfect は再生だけを iTunes から「横取り」します。他の機能には触れませんし、iTunes そのものを変更することもありません。
    
    開発者主宰のフォーラムはこちら

    公式ブログはこちら

    Mac での再生音を良くするコツの一つ。Finder を落とします。Finder を終了させるには TinkerTool などを使います。(ゆ)