10回もやってれば少しは慣れるかと思いきや、毎回、なにかあったり起きたりして、意表をつかれます。これもまたおもしろい体験、とは思ったりもしますが、とはいえ、何年かして、また同じことを繰り返したくはないですね。
    
    4月はじめに抗がん剤治療を始めて半年過ぎたということで、前回から飲み薬が半減しました。消化剤などがなくなり、残ったのは痺れを軽くする漢方薬と、便を柔かくする酸化マグネシウム(胃の働きをよくする効果もあり)、それに夜寝る前に飲む胃の粘膜保護のタケプロン錠剤。
    
    また、今回は投与開始前恒例の血液検査と主治医の面談のその前に、超音波エコーとCTによる検査を受けました。午前中に検査を受け、午後の面談の時、結果を見ての主治医の判断は、明確な転移は無し。
    
    もっとも、今の段階で、転移があったらそれはたいへんなわけで、やはり判断を聞くときには緊張します。
    
    細かく言えば、問題がまったく無いわけではありませんが、それは定期的に検査をして経過を見ていかなくては判断できないとのことです。
    
    もうひとつ、今回は点滴開始直後に、痒みどめの薬が出ました。体のあちこち、たとえば首筋から肩にかけてとか、足首とかが、ときどきむしょうにかゆくなっていたのですが、これも副作用のひとつだったらしい。洗い方がまずいのかと、入浴の際、念入りに洗ってもみましたが、あまり効果がなかったのでした。
    
    こういう薬はたいてい眠くもなるもので、とりわけ1日めは異様なまでに眠くて、食事に起きるのもやっと。ほとんど眠っていました。2日めはそれほど眠くもなく、音楽を聴いたりしていました。
    
    ただ、帰宅してからドーンときました。こうなると、抗がん剤の副作用なのか、副作用をおさえる薬の副作用なのか、わからなくなります。まあ、どちらにしても辛いことに変わりはありません。
    
    退院した金曜日もだるさが強かったのですが、土曜日の午後になると、とても起きていられなくなりました。結局日曜日も、食事の他は終日ひたすら寝ていました。うつらうつらと眠っては、トイレに起き、また眠っては食べ、という状態。月曜日の朝になって、ようやく霧が少し晴れてきて、ゴミ出しにちょっと外へ出たら、そのわずかの運動で体が動きだしました。午後にはまずまず普通に起きていられるようになりました。
    
    もっとも、その後は、比較的すっきりしています。前回まではなんとなく頭の中に靄がかかったような状態が続いたのですが、今回は頭ははっきりしています。体の方はやはり鈍くて、動きはゆっくりしてます。ちょっと動くと動悸がなかなかおさまりません。
    
    吐き気はやはり順調に強くなってきていて、腹はけっこう減るのですが、食慾はまったく無いという不思議な感覚です。退院する朝の朝食はとうとうおかずを半分残しました。それまではすべて完食していたので、我ながらちょとショック。味噌汁に入っていたネギがひどくおいしかったのが救い。帰宅してからも、空腹になると不快になるのが、日曜まで続きました。
    
    こういう時は特定のものがうまく感じられて、酸味のあるもの、塩味の強いものなら食べられます。手足の先の痺れと同じく、末梢神経が抗がん剤でやられて、味覚が鈍くなっているのかもしれません。
    
    手術を待っていた頃、絶食で栄養は点滴だけ、という状態の時、食事のたびに病院のメシは食いたくなあいとわめいて、看護師やヘルパーさんたちの手を焼かせていた爺さんがいて、なんというわがままなやつだと思ってました。今はその爺さんの気持ちがよくわかります。
    
    手足の痺れは、ゴシャジンキガンのおかげで、指先の軽いものにとどまっています。投与の間隔が長いこともあるのでしょう。冷たい水などは辛くなるよと言われてますが、今のところはまだ米も研げます。
    
    口内炎もまだありません。あるいは歯磨き励行のおかげか。ぼくはイオン歯ブラシで、何もつけずに、歯の根元の歯茎をマッサージするように、みがいてます。
    
    とにかくあと4回。で、なんとか終わってほしい。
    
    体は冷えると免疫力が低下します。とにかく、暖かくするのが第一。食事も鍋とかシチューとか、暖まるものを多くしたい。(ゆ)