・マンドリンでどうやって野菜をスライスするのだ、と思ったら、楽器と同じ名前の、そういう道具があるのだった。なるほどあれば便利だが、包丁でできないことじゃないな。
・シンガポールの Jaben が Hippo ブランドで出した新しい小型PHA CriCri が楽しい。先に出た DAC 付きの CriCri+ の弟分で DAC 無しのアンプだけ。ゲインの切替とベース・ブースト付き。弟分なのだが、アンプとしての音は兄貴よりも良い。
まず驚いたのはサウンド・スペースの広さで、サイズと反比例している。その広い空間の隅々までディテールが明確。音の性格も素直で色付けがなく、いわゆる聴き疲れしない。ベース・ブーストは入れない方がいいと今のところは思う。
これとファイナル・オーディオの PIANO FORTE II という組み合わせは散歩のお供の定番になったのだが、この頃は家の中で、すわって聴くときにも活躍している。これ以上、何も要らないよ。やはり軽くて小さくて安くて音が良い、というのがデジタルの最大の利点ではないか。
メーカーや販売店は価格の高い据置きを薦めるけれど、それは「商売」を別にすれば、旧来の「オーディオ」の思考法を引きずっているので、必ずしもデジタルの特質を十分に展開したものではない。それでしか聴けない音がある、というのは「昔は良かった」の言い換えにすぎない。
それにしても、今世に出ているデジタル・オーディオ機器のデザインは芸が無さすぎる。例外は iOS機器と CEntrance の DACPort ぐらい。Go-Vibe Volante もデスクトップ真空管アンプの新しい形を提案している。どれも面だけでなく音も良い。
デザインに芸が無いのはPCも同じだが、モニタ画面が不要なのだから、オーディオ機器はもっとデジタルを活かすカタチを追及すべきだ。
・Tor Books が7月から eBooks をすべて DRMフリーにする、と発表した。Baen Books や Night Shade Books はすでに DRMフリーで eBooks を販売しているが、いわゆる「ビッグ6」と言われる大手の一角では初めて。と Boing Boing に出た。と思ったら CNET にも出ていた。
世界はどんどん進んでいるが、わが国はまるで江戸時代だ。21世紀に入ってからのこの国は、時代を逆戻りして幕藩体制に移行しているように見える。そのうち鎖国するはずだ。そうして二百年ばかりすると関ヶ原で家康が負け、秀吉が光秀に殺され、その光秀を本能寺で討った信長が天下を統一するのだろう。まるで山田風太郎の『魔天忍法帖』そのままになるにちがいない。
eBooks の販売にまで国境の制限があるのは、そのせいか。全部ではないが、特に新刊で、あんたの国では買えないよと言われることがある。紙の本は買えるのに、eBooks は買えない、というのはワケわからん。Kindle 版は国境制限は無いようだが、Nook や iBooks の版は制限がある。そして制限のあるものには Kindle 版が無い。
向こうで出たものをすぐ読みたい時、一番速いのはもちろん eBooks だ。在庫が確保されて送られてくるのを待つ必要がないのだから。まあ、そう頻繁にあるわけではないが、たまにはすぐ読めないと読書意欲が雲散霧消することもあるのだ。
・これに関連して、ある大手出版社の重役らしい人物が自分がアマゾンから買った eBook のDRMをはずしたことを、匿名でネットで告白しているのが、やはり Boing Boing に出ていた。
eBook を買うことはその本を読む「ライセンス」を買うことで、中身そのものを買うんじゃない、というのはバカげてる。だから自分で買った eBook が、機器が別だと読めない、て? 冗談じゃない。それで DRM をはずしたが、おかげで DRM がいかにクソッタレかよくわかった。DRM で利益を得ているのは eBooks を売っている連中だけで、出版社にとっても著者にとっても読者にとっても、DRM はクソッタレだ。
DRM をはずすのは別に難しいことじゃない。情報はネット上にいくらでもある。ちょっと調べて、あとはトラブってもあきらめない根気がいるだけだ。罪の意識? はずしたものをネットにばらまけば罪だろうが、自分だけで読むんだから、どこが悪い。
・エドガー・ライス・バロウズが Library of America に入った。というのは、いざそうなってみるとうなずけるけれど、やはり驚く。ラヴクラフトが入った時も驚いたが、それ以上の驚きだ。ただしいつものフォーマットではなく、『ターザン』と『火星のプリンセス』それぞれのハードカヴァー版、というのは、やはり他との差別化のためだろう。さすがにヘンリー・ジェイムズやフォークナーの隣に ERB が同じ形で並ぶ、というのは避けたかったか。
前者は未読だし、後者は一度邦訳を何とか読みとおしたが、さっぱり面白くなかった。原書で読みなしてみると、違うかもしれない。
こうなってくると、ハインラインやアシモフや、あるいはティプトリーやル・グィンが LOA に収められる日も近いのかもしれない。ん、それよりはE・E・スミスの方が先か。
もっともこの LOA そのものが、いかにもアメリカ的な、ヨーロッパへの対抗心の現れにも見える。
・生協を通じて買っている秋田の黒瀬農舎の米に付いていた「提携米通信」によると、関東地方の精米所で出た糠から作られた「米糠ペレット」が放射能汚染されていた由。やはりそこらで売られている米は汚染されとるな。
・放射能の影響のような微妙な問題について、ふだん冷静な人が急にある主張を断定的にわめきちらしだすのは、直接の利害関係があるからなのだろう。その落差の大きさに、問題の根の深さをあらためて思い知る。
それにしても、わが国社会にこういう深刻な亀裂を生みだしたということでも、電力業界と原子力ムラの罪は重い。(ゆ)
・シンガポールの Jaben が Hippo ブランドで出した新しい小型PHA CriCri が楽しい。先に出た DAC 付きの CriCri+ の弟分で DAC 無しのアンプだけ。ゲインの切替とベース・ブースト付き。弟分なのだが、アンプとしての音は兄貴よりも良い。
まず驚いたのはサウンド・スペースの広さで、サイズと反比例している。その広い空間の隅々までディテールが明確。音の性格も素直で色付けがなく、いわゆる聴き疲れしない。ベース・ブーストは入れない方がいいと今のところは思う。
これとファイナル・オーディオの PIANO FORTE II という組み合わせは散歩のお供の定番になったのだが、この頃は家の中で、すわって聴くときにも活躍している。これ以上、何も要らないよ。やはり軽くて小さくて安くて音が良い、というのがデジタルの最大の利点ではないか。
メーカーや販売店は価格の高い据置きを薦めるけれど、それは「商売」を別にすれば、旧来の「オーディオ」の思考法を引きずっているので、必ずしもデジタルの特質を十分に展開したものではない。それでしか聴けない音がある、というのは「昔は良かった」の言い換えにすぎない。
それにしても、今世に出ているデジタル・オーディオ機器のデザインは芸が無さすぎる。例外は iOS機器と CEntrance の DACPort ぐらい。Go-Vibe Volante もデスクトップ真空管アンプの新しい形を提案している。どれも面だけでなく音も良い。
デザインに芸が無いのはPCも同じだが、モニタ画面が不要なのだから、オーディオ機器はもっとデジタルを活かすカタチを追及すべきだ。
・Tor Books が7月から eBooks をすべて DRMフリーにする、と発表した。Baen Books や Night Shade Books はすでに DRMフリーで eBooks を販売しているが、いわゆる「ビッグ6」と言われる大手の一角では初めて。と Boing Boing に出た。と思ったら CNET にも出ていた。
世界はどんどん進んでいるが、わが国はまるで江戸時代だ。21世紀に入ってからのこの国は、時代を逆戻りして幕藩体制に移行しているように見える。そのうち鎖国するはずだ。そうして二百年ばかりすると関ヶ原で家康が負け、秀吉が光秀に殺され、その光秀を本能寺で討った信長が天下を統一するのだろう。まるで山田風太郎の『魔天忍法帖』そのままになるにちがいない。
eBooks の販売にまで国境の制限があるのは、そのせいか。全部ではないが、特に新刊で、あんたの国では買えないよと言われることがある。紙の本は買えるのに、eBooks は買えない、というのはワケわからん。Kindle 版は国境制限は無いようだが、Nook や iBooks の版は制限がある。そして制限のあるものには Kindle 版が無い。
向こうで出たものをすぐ読みたい時、一番速いのはもちろん eBooks だ。在庫が確保されて送られてくるのを待つ必要がないのだから。まあ、そう頻繁にあるわけではないが、たまにはすぐ読めないと読書意欲が雲散霧消することもあるのだ。
・これに関連して、ある大手出版社の重役らしい人物が自分がアマゾンから買った eBook のDRMをはずしたことを、匿名でネットで告白しているのが、やはり Boing Boing に出ていた。
eBook を買うことはその本を読む「ライセンス」を買うことで、中身そのものを買うんじゃない、というのはバカげてる。だから自分で買った eBook が、機器が別だと読めない、て? 冗談じゃない。それで DRM をはずしたが、おかげで DRM がいかにクソッタレかよくわかった。DRM で利益を得ているのは eBooks を売っている連中だけで、出版社にとっても著者にとっても読者にとっても、DRM はクソッタレだ。
DRM をはずすのは別に難しいことじゃない。情報はネット上にいくらでもある。ちょっと調べて、あとはトラブってもあきらめない根気がいるだけだ。罪の意識? はずしたものをネットにばらまけば罪だろうが、自分だけで読むんだから、どこが悪い。
・エドガー・ライス・バロウズが Library of America に入った。というのは、いざそうなってみるとうなずけるけれど、やはり驚く。ラヴクラフトが入った時も驚いたが、それ以上の驚きだ。ただしいつものフォーマットではなく、『ターザン』と『火星のプリンセス』それぞれのハードカヴァー版、というのは、やはり他との差別化のためだろう。さすがにヘンリー・ジェイムズやフォークナーの隣に ERB が同じ形で並ぶ、というのは避けたかったか。
前者は未読だし、後者は一度邦訳を何とか読みとおしたが、さっぱり面白くなかった。原書で読みなしてみると、違うかもしれない。
こうなってくると、ハインラインやアシモフや、あるいはティプトリーやル・グィンが LOA に収められる日も近いのかもしれない。ん、それよりはE・E・スミスの方が先か。
もっともこの LOA そのものが、いかにもアメリカ的な、ヨーロッパへの対抗心の現れにも見える。
・生協を通じて買っている秋田の黒瀬農舎の米に付いていた「提携米通信」によると、関東地方の精米所で出た糠から作られた「米糠ペレット」が放射能汚染されていた由。やはりそこらで売られている米は汚染されとるな。
・放射能の影響のような微妙な問題について、ふだん冷静な人が急にある主張を断定的にわめきちらしだすのは、直接の利害関係があるからなのだろう。その落差の大きさに、問題の根の深さをあらためて思い知る。
それにしても、わが国社会にこういう深刻な亀裂を生みだしたということでも、電力業界と原子力ムラの罪は重い。(ゆ)
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