Birdland Cafe は二度め。ここは音が良い。
    
    距離が近いからか、店の構造が原因なのか、わからないけれど、フィドルもギターも、バンジョーもハープも、はっきりと、しかもバランス良く聞こえる。ノーPAでは埋もれがちなヴォーカルも、よく通る。
    
    あるいは座った場所のおかげかもしれない。
    
    先日の、豊田さん&干川さんの時と同じく、それはそれは気持ち良く音楽にひたれる。これだけコーヒーが旨くて、音も良い店は、他にどれくらいあるだろう。
    
    20人も入れない狭い場所のせいもあるのかもしれないが、内藤さんも城田さんも、いつも以上にリラックスしていた。お二人のおしゃべりも、いつも以上に笑いを誘われる。こちらのコンビとしての息も合ってきている。どちらがボケで、どちらがツッコミか、わからない。というより、こちらも音楽同様、ぽんぽんと替わる。それがまた楽しい。
    
    音楽はもう何を言うこともない。黙って、いつまでもひたっていたい。
    
    あえて言えば、内藤さんのハープがまた一段と良くなっている。当初から相当なレベルにあったから、フィドルの進化の痕は微妙なもので、それはそれでぞくぞくするのだけれど、ハープの上達は目に見えてわかるのが、追いかけている方としては何とも楽しい。わがことのように嬉しくなってくる。
    
    まあ、フィドルについても言うならば、どこかたくましさが感じられるようになってきた。芯は通っているけれどどこか細さも漂っていたのが、全体に太さが増してきたように思える。城田さんの「煽り」に立ち向かうような姿勢も見えていたのが、向きあう姿が自然体になってきた、と言おうか。
    
    後半、二人が位置を入れかえてから、たまたまギターを弾いている城田さんの顔が正面から見えた。その顔が良かった。左右に引き伸ばされて、微笑みになる寸前で止まっている口。左手を見下ろして、つむったようにみえる眼。「哲人」とか「名人」と言いたい気もするが、そう言ってしまっては何かこぼれてしまう。でも、そこにあったのは「威厳」としか言いようのないものだった。「気品」とか「品格」とかの言葉をもってきても、うまくはまらない。けれど、そういう言葉に含まれる最良のものがそこにはあった。もっと「ねーんげん的」なのだ。
    
    モカはやはり絶妙で、これを飲むためだけに来たくなる。近頃は皆さん苦味がお好きなようで、ブレンドなども酸味中心が少ない。Birdland Cafe が豆を仕入れている店は、ウチから歩いても20分ぐらいのところらしいから、豆だけならば手に入るだろうが、ウチで淹れてもあの味にはならないだろう。それに音楽もそうだが、自宅以外のところで飲むから旨いということもある。
    
    絶品の音楽とコーヒーで日曜の午後を過ごせる幸せよ。(ゆ)