ということで、今年も Jaben のブースでくだを巻いておりました。時々は隣の Rudistor の方もサポートしてました。
    
    入場者数はまた増えたそうで、実際、7階などは正午前に入ったときにはもう人が詰まっていて、移動もたいへんという状態でした。Jaben などのブースがあった9階でちょうどよいくらいでした。イベントが始まるとすいて、終わるとどっとやってくる、という感じ。イベントも貴重ではありましょうが、イベントをやっている間の方が、じっくり試聴できたのではないかと思いました。
    
    今回印象的だったのは、これまでに比べて女性のお客さん、とりわけ一人で見えている方が増えたこと。これまではカレに引っぱられてきた、という感じの方がほとんどという印象でしたが、今回はあきらかにご自分が興味があって来ているという方が増えていました。
    
    ごくお若い方で、Jaben の Cricri をじっくり聴きこんだ末に、どうしても違いがわからない、とおっしゃる方がいました。アンプがなくても楽しく聴けるなら、それでもいいのでは、と申しあげたら、
    「違いがわかる女になりたいんです」
    とのお答え。
    それではと VestAmp を薦めたところ、これもじっくり聴き比べた末に、
    「違いがわかりました」
    と輝くような笑顔になられたのには、こちらも嬉しくなりました。
    
    一方で Cricri が良いとおっしゃる、こちらも一人で見えていた女性の方もいました。たしか前回も見えていたと思います。回を重ねて、Jaben のブースも、「常連さん」ができてきたようです。
    
    Cricri はやはり好評で、サイズ、軽さを別にして、音だけで勝負しても、かなりよい線までいくと思います。前回も来られた JustAudio のでかいアンプをウエストポーチで持ち歩いておられる方も、Cricri には感心されてました。サイズを比べると、ほとんど象とネズミです。
    
    アンプでは GoVibe Mini Box が、ぼくは面白かったです。Hippo Pipe の後継で、iPhone/iPod のヘッドフォン・ジャックにつなげ、音量はプレーヤー側で調節する、単純な増幅だけのものです。これが外見に似合わずしっかりした音で、オモチャとは完全に一線を画しています。出典側の方、つまりプロでお一人、やはりこれは凄いと感心されていましたから、ぼくだけの「錯覚」ではないでしょう。価格は5,000円以下の由。
    
    Jaben のウィルソンおやじは、とにかく新製品開発が好きで、開発ばかりしているので、スペックとか、中身に何を使っているか、とかという情報はほとんどわかりませんが、音はどれもりっぱなものです。そういう情報が無いのは不安だ、とか、そういう情報ばかり食べて、肝心の音がおろそかになっている向きには合わないかもしれませんが、音楽をちゃんとした音で聴きたい方には、どれも良い製品と思います。
    
    「重低音」ドカドカの製品が売れることはおやじもわかっていますが、自分が出すものではそういう流行の音ではなく、基本に忠実、つまり音楽をしっかり奏でる、音楽を聴くのがより楽しくなる製品を出しています。そういうところが、ぼくは好きですし、信頼もしてます。
    
    もう一つの「サプライズ」は、これも新製品のミュージック・プレーヤー Biscuit です。音楽ファイルはマイクロSDカードに収めたMP3を再生する、いたって小型のもの。名前のとおり、ビスケットの1枚くらい。まだ単純再生しかできませんが、音はさすがに後発だけあって、ちょっと聴いたことのないレベルのものでした。比べると iPod の音が平板に響くくらい。ささきさんも書いておられますが、おおいに期待します。次はディスプレイを装備し、ランダムないしシャッフル・プレイもつける由。これも今のところ5,000円ぐらいになるらしい。
    
    Micro SD カードというのも、大容量のカードが出てくれば、どんどん増やせるので、iPod よりも便利ですね。規格では2TBまでできるそうですから、そうなると楽しいな。
    
    ルディさんのところでは、新製品の DAC X3 はさすがでした。フジヤさんのレポートにもありますが、RPX-303 との組み合わせはまさに圧倒的で、バランス接続した Chroma MD1 で聴くのは、これはこれでひとつの究極の世界でありましょう。
    
    ぼくとしてはそれよりも、フジヤさんの写真で RPX-35 の上にのっかっている、これもばりばり新製品の Shockwave X15 が気に入りました。Shockwave は Linearossa の後継シリーズで、その第一弾の小型アンプ。XJ03II 同様、小型ながら、ポータブルというよりはデスクトップで、脚もちゃんとしてます。形としては W3 の後継でしょう、長細いものですが、面白いのはジャックがミニではなく、標準ジャックなこと。そして音が、さすがルディさん。400ドルくらいになるそうですが、これは欲しい。充電池入りで、ふだんは単独で使えます。
    
    あんまり気に入ったので、Jaben のブースに来る方にも薦めていたら、とうとう、クロージング近くなって、売れてしまいました。
    
    もう一つ、唸らされたのが、音茶楽さんの新作イヤフォン。製品版ということで、わざわざ Jaben のブースまでお持ちいただき、試聴させてもらいました。正直、そのまま持って帰りたかったです。ものすごく情報量が多いし、その一つひとつを丁寧に鳴らすので、相当に粘りがあるように聞こえる一方で、少しもしつこくない。音楽がさらさらと耳に入ってきます。これといって特徴がないのが特徴、つまり理想の無色透明です。音楽がより密接に、身近になります。気持ちいい。当日特売では1時間で売り切れたそうですが、当然でしょう。とはいえ、これが売れるようなら、わが国のイヤフォン市場の未来も明るい(^_-)。6月に3万くらいで正式発売されるとのこと。をー、カネを作るぞ。
    
    というわけで、くたびれたけど、いろいろ楽しいことでありました。ブースにお越しいただいた方、素人の相手をしていただた皆様、まことにありがとうございました。
    
    それにしても、こうなってくると、もう少しのんびりと、じっくりと試聴したり、おしゃべりしたりできるようなイベントも欲しくなります。それも予約制とかではなくて、ふらりと行けるような。

    さて、今週末の日曜日は、今度は小生のイベントです。先日出させていただいた訳書『ギネスの哲学』(先日、日経に書評が載ったそうな)にからめて、トークとアイリッシュ・ミュージックのライヴという組み合わせ。もちろん、ギネスを飲みながら。日曜の午後のギネスもまた、楽しからずや。根津の古書ほうろうにて。15時スタート。(ゆ)


ギネスの哲学――地域を愛し、世界から愛される企業の250年
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