もちろん付録の Luxman の作ったヘッドフォン・アンプめあて。

 付録は48KHz までサポートする USB-DAC 付きヘッドフォン・アンプで、Luxman 製ということで、少し期待したのだが、甘かった。USB電源のみで、入力も USB だけ。音は焦点がぼやけてもいるが、長所もない。

 Stereo はいまだにヘッドフォンを「アクセサリー」扱いしていることからして、ヘッドフォン・アンプや PCオーディオなど使ったことのない読者にとっての入門が目的なのだろう。加えて、あたしのようなヘッドフォン・ファンを釣ることも目論んでいたはずだ。

 もっとも、この雑誌の読者はまともなヘッドフォンなんて持ってないんじゃないか。もしそうなら、ここで持ち上げられている Shure とか、表紙のオーテクあたりに手を出すのであらふ。あたしなら Beyerdynamic T1 とか Final Audio Design Piano Forte XX を薦めるところだが、まあこんなところは見ていないわな。

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 しかしなあ、Luxman のアンプってこーゆー音なの? いくら雑誌の付録とはいえ、基本的な性格は変わらんでしょう。まあ、ヴォーカルがしっかりきれいに聞こえるのはいいんですけどね。

 結論はもう少し、使いこんでからと思うが、使っていてあんまり楽しくないのよねえ。

 むしろ、いろいろ部品を交換していって、音が変わるのを楽しむアイテムというところ。んだが、そういうことをしているカネと暇があれば、1曲でも音楽を聴きたいと思う今日この頃である。


 とはいえ、こういう雑誌でも収獲はあるもので、「私の特選! ミュージック・ファイル」というコーナーで OTOTOY が配信しているハモニカクリームズの新作《IN + OUT = SEA》がとりあげられているのは嬉しい(201pp.)。ただし、筆頭にあげられている、オールマンのフィルモア・ライヴの192KHz 音源がすでに OTOTOY のサイトから消えているのは、どちらが悪いのか。HDTracks で配信されているのは 96KHz なので、192だったら聴いてみたかった。

 12/24訂正。オールマンのフィルモアを配信しているのは e-onkyo で OTOTOY ではありませんでした。失礼しました。それにしても、これは DSD マスターということなんだが、そのマスターをそのまま配信する計画はないのかね。これを DSD で聴けるなら、DSD 環境を整備するぞ。

 ところで、これには1992年にプロデューサーのトム・ダウド自身がミックスしなおして、それまで未発表だった録音も入れて出しなおした《TNE FILLMORE CONCERTS》がある。これも良い録音で、むしろ空間の広さや楽器のバランスはこちらの方が好きだが、これのハイレゾというのは無いのか。

Fillmore Concerts
Fillmore Concerts


 日本語のオーディオ雑誌を見ていつも思うけど、ソフトの扱いが軽すぎるよなあ。アメリカのハイエンド・オーディオ専門誌の雄、The Absolute Sound は全体の半分がソフトの話で、録音面だけでなく、音楽、演奏についても正面からとりあげていた。オーディオは「音」を聴くもんじゃない、聴くのはあくまでも「音楽」だ、という筋がどーんと通っていた。大部分はクラシックとジャズだったけど、ジェニファ・ウォーンズの《FAMOUS BLUE RAINCOAT》が出た時、当時の編集長自ら、シンガー本人とプロデューサーを招いて、長時間インタヴューをして特別記事を書いた。その原稿の質と量は、どんなハードウェアのものよりも多く、高かった。

ソング・オブ・バーナデット 〜レナード・コーエンを歌う
ソング・オブ・バーナデット 〜レナード・コーエンを歌う


 それはともかく、なによりもかによりも仰天したのは、「海外ブランド・インタビュールーム」の「アバンギャルド」というドイツのスピーカー・メーカーの頁(142pp.)。David Browne というインターナショナル・セールス・マネージャーが出ているのだが、


アイルランド出身で、アイリッシュ音楽の大ファン。かつて百人規模で踊るグループイベントのPA技術者として来日し、2ヶ月以上滞在したこともあるのだという。音楽業界の最前線でPAや録音機材と深く関わり、アバンギャルドの製品に惚れ込んだことがきっかけで、2011年秋セールス・マネージャーに就任。

 な、な、何だって。『リバーダンス』のPA担当者が売っているスピーカー?

 「私が購入したアバンギャルドの製品は、ウノG1 です。繊細さと生々しさに圧倒され、強く惹かれました。特に低域のレスポンスが最高、しかも小音量再生に強い。また、その音は生音にきわめて近い性質を持っていて、大音量再生中でも普通に隣の人と会話ができる。そんなことは他社製スピーカーではありえません」

 聴いているのは、当然アイリッシュ・ミュージックが多いはず。その人がこう言うとなると、気にするなという方が無理だ。おまけにだ。

 そこまで話したあと、彼は意外なCDを取りだした。まず、1956年録音のジャズボーカル・アルバム『エラ・アンド・ルイ・アゲイン』。そして、それが終わると次にジューン・テイバー『アップルズ』から「センド・アス・ア・クワイエット・ナイト」をかけた。

 ぎょえー! スピーカーの試聴にジューン・テイバー! ちなみにこの曲は《APPLES》最後のトラックで、遠めで控え目のピアノ伴奏を文字通りバックにジューンが手前でゆっくりとうたう。途中から、ハイノートのドローンが入る。第2連だけ、ヴォーカルにわずかにリヴァーヴをかけている。確かに、よい録音ではありますよ。

アップルズ
アップルズ


 代理店のエソテリックのスタッフが
「私たちが普段行なっているデモでかけないようなソフトが、かなり異なる音量で再生されました。こんな魅力もあったんですね」
と言うのも無理はない。

 写真を見ると、ホーン・システムではないか。それにサブ・ウーファーを組み合わせたアクティヴ・スピーカー。値段もハンパじゃないが、スピーカー、サブ・ウーファー、アンプがセットと思えば、そんなに無法なもんじゃない。いや、そりゃ、買えるか、となると話は別。それにこうなるとセッティングにも気を使う必要がある。

avantgarde duo Ω(omega) G2(ペア) (価格問い合わせ)
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 しかし、しかし、だ。このブラウン氏が惚れ込んで、製品の音決めにまで参加しているスピーカーとなると、聴かないわけにはいかないだろう。

 どこかで聴けないか、と思ったら、かの吉祥寺の「メグ」のシステムに使われている。「いーぐる」の後藤さんによれば、首をかしげるところもあるらしいし、「メグ」では「いーぐる」とは違って、アイリッシュをかけてもらうわけにもいかないだろうが、試聴室よりは、実際に使われている形で聴いてみたい。

 uno は G2 になっているが、エソテリックのサイトには Solo という、同軸ユニットを使ったさらに小型の製品がある。ただし、生産終了。後継機は出ないのか。(ゆ)


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