ドーナル、あなたは偉い。
ボシィ・バンドのあの切迫感きわまるビートを生みだしていたのは、あなたのブズーキだったのだね。
ということは、この40年間のアイリッシュ・ミュージックのビートを生みだしたのは、あなたのブズーキだったのだ。
古希も近くなって、おさまりかえることなどみむきもせず、若いとき以上につっこんでゆく様には熱くなる。
あなたの演奏を生で体験する恩恵には何度もあずかってきたけれど、これほど切迫感、緊張感に満ちた演奏は初めてだった。あなたの核心にある熱い塊に触れた実感をもてたのも、これが初めてだった。
それにはおそらく、パディのまったるこゆるぎもしないフィドルのせいもあるのだろう。そのおちつきはらった演奏によって、全体の切迫感がさらに強くなる。
これもまたまぎれもなくアイリッシュ・ミュージックの本質にちがいない。アイリッシュ・ミュージックの核心にあるビート、メロディの奥底に潜む熱い鼓動を、誰の眼にもあきらかな形で引き出してみせるのが、あなたのブズーキなのだ。
その様子を見ていると、こちらの方が先にいってしまいそうだが、どうか、80になっても90になっても、その熱いビートを、鼓動をたたきつづけられんことを。
この姿をまのあたりにする機会をもうけてくれたのざきようこさんに感謝する。(ゆ)
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