昨日は半日、Jaben のウィルソンおやじにつきあっていました。新宿の伊勢丹で昼食を食べた際、おやじが携帯を忘れ、あわててもどってみたら、レストラン入口の椅子の上にちゃんとのっかっていました。30分はたっていたでしょう。こんなことは日本でしかありえない、とおやじはあんびりばぼーを連発し、大喜びで帰っていきました。
先週のポタ研では、Jaben のブースにお越しいただき、御礼申しあげます。
1週間前まではまったく参加を予定していなかったので、まるで準備不足だったんですが、展示したモノはどれも好評で、ありがたく楽しませていただきました。それでも熱気にあてられたか、ヘッドフォン祭のときよりもくたびれました。
今回の展示の目玉はまず Hippo ProOne で、ワンBAドライバーのイヤフォンです。これも木曜日の夜、前触れもなくメールでポスターが送られてきて、これをプリント・アウトしてもってきてくれ。金曜日に無印良品でプラスティックのフレームを買って入れたのが展示したもの。サンプルも1セットしかなく、おやじが持って帰ったくらいのホヤホヤの製品です。それでも来月には発売予定です。
試聴された方にはいずれもかなり好評で、1BAドライバーの音とは思えない、というありがたい評価もいただきました。価格は1万円前後の予定です。この価格に驚かれる方も多かったです。なお、ポスターにあるコンプライ流のフォーム・チップがデフォルトですが、シリコン・チップも用意されてます。
2、3時間聴いたかぎりでは、中高域にフォーカスして、低域もしっかり出してくれます。前面にあるパートや楽器にスポットを当てながら、バランスもよくとれている、というところ。モニター的というよりは、鑑賞用。うたものや生楽器のアンサンブル向きかな。クラシックなら交響曲よりは協奏曲でしょう。もっとも癖がない、すなおな音なので、たいていの音楽はOK。ふだん重低音たっぷりのヘッドフォン、イヤフォンで聴いている音楽も、意外な面を発見できるかもしれません。
ふたつめは xDuoo のポータブル・アンプ2機種。
XD-01 は光、同軸、USBのデジタル入力を備えた DAC &アンプで、主に AK100 などのデジタル出力のあるプレーヤー用です。サイズも AK100 よりすこし大きいくらいで厚さも1センチほど。ゲイン切替、アナログ入力もあります。充電は USB 経由。
XP-01 は Android 用のマイクロ USB 入力のある DAC &アンプ。こちらは厚さは XD-01 と同じで、サイズは一回り大きいです。Android のスマホに合わせてあるようです。
これも Jaben で扱うことは決まっていますが、価格などは未定。そんなに高くはなく、たぶんどちらも300ドル以下になるだろうとのこと。
これについてはささきさんのブログをご参照ください。ささきさんは AK100 で試聴されて、驚いてました。ぼくはこのあたりは無知なので、これから勉強します。これまで Android は無視していたのですが、こうなると未知の世界を探索する気分で面白くなってきます。
もう一つ、お披露目したのはポタ研の趣旨からはちとはずれますが、バランス化した Beyerdynamic T1 と T5p と特製のバランス・アンプです。
これは実は昨秋のヘッドフォン祭の産物です。たまたま Jaben のブースの対面がオーロラサウンドのブースで、そこにオーロラサウンドが「音松」のブランドで出されているバランス・ヘッドフォン・アンプ・キットの完成品が展示されていました。ウィルソンおやじがこれを聴いてみてたいへん気に入り、自分でバランス化して出している T1、T5p(もちろん公認)と組み合わせることを提案しました。オーロラサウンドの唐木さんがこれに乗ってくれまして、キットをベースに、ケース、ヴォリューム・ノブを上質のものに替え、また部品の一部もグレードアップして、音をバランスド・ベイヤー用に調整したものがこの音松アンプです。
バランス・コネクタは4ピン・シングルで、別にシングルエンド用端子もあります。また、ゲイン切替も備えています。入力はアンバランス・アナログRCAです。
バランス化した T1 または T5p と、4ピン・バランス・ケーブル、音松バランス・ヘッドフォン・アンプ、それに CEntrance の DACport をセットにして販売します。セットのみの通販オンリーです。バランド・ベイヤー単体は Jaben のオンライン・ショップでも買えますが、アンプはあちらでもセットのみになります。
国内でも販売します。実際に販売開始をアナウンスできるのはもう少し先になります。価格は20〜25万円を予定しています。予約は受け付けています。氏名、住所、電話番号、メールアドレスを、こちらまでメールでお送りください。お支払いは PayPal が使えます。春のヘッドフォン祭では試聴できるはず。公式発表もそのあたりになるでしょう。今でしたら「早期予約特価」で申し受けます。
先週月曜に、急遽出るから頼むと言われてひええと思ったら、やはり満杯だから出ない、ということになってほっとし、いやなんとかなるそうだレッツゴー、でこんなにあわただしい思いをしたのは、もう何年ぶりでした。
来場者も多く、隣が ONKYO さんで、例の新しいヘッドフォンは興味津々だったんですが試聴できず。結局、トイレに行ったついでにミックスウェーブさんのところで CEntrance の HiFi-M8(ハイファイメイト)をちょっと聴けただけ。これは早期割引につられて予約を入れているので、とにかく楽しみ。あと2ヶ月待ってくれ、と CEntrance のマイケルさんは言ってました。
それにしても、T5p を首にかけて来てる方が目についたのは驚きました。たしかに "p" が付いているように、インピーダンスやプラグからしてモバイル用を意識した製品ではありますし、Ultrasone の Edition 9 を頭にかけた人を駅のホームで目撃したことはありますが、これも日本ならではの現象でしょうねえ。ニューヨークあたりでは考えられない。
白状するとバランス化した T1、T5p を聴いてベイヤーをあらためて見直しました。それにバランス化の効果は想像をはるかに超えていて、さらに音松アンプのおかげで、まさに天国、いわゆる "Nirvana" 状態に入れます。たぶんただヘッドフォンをバランス化してアンプにつなぐだけでは不十分で、その効果を十分に引き出すにはアンプとの相性が大事なんでしょう。
ウィルソンおやじはいま還暦ですが、ヘッドフォンにとり憑かれたのは14歳の時だそうですから、年季は入ってます。コレクションもかなりのもので、かの「オルフェウス」もある由。ベイヤーのバランス化もそういう経験と熱意の賜物でしょう。他にもアレッサンドロの MS1 をバランス化したりしていますし、いくつか公認のバランス化をすすめているものがあるそうです。
それと『ヘッドフォンブック2012』英語版ですが、なんとか国内でも販売できるようにする予定だそうです。Hippo Cricri M が付録です。"M" は "Magazine" の "M" で、これ用に調整したもの。『ヘッドフォンブック2013』も英語版を出します。春のヘッドフォン祭にはたして間に合うか。間に合ったらご喝采。
肝心の音楽も、個人的には聴きたいものがあふれていて、Sam Lee が来るというので舞い上がったり、1941年録音の日本の伝統音楽のCD復刻が国内発売されていたり、スーザン・マキュオンの新作がやたら良かったり、ジェリィ・ガルシア・バンドのライヴ・シリーズ第一弾がハイレゾ配信で出たり、もうてんやわんやです。アルタンの旧マネージャーでその前はダブリンの Caladdagh のマスターをやっていたトム・シャーロック編集の THE OTHERWORLD: Musc & Song from Irish Tradition という、CD2枚付きのみごとな本も出てます。これはあらためて紹介したいですが、アイルランド伝統音楽のなかでも、「あの世」、超自然をあつかったものに焦点をあててます。2枚におさめた計40曲のうたとチューンについて、曲とシンガー、演奏者、それに収集家もとりあげて解説したもの。有名な録音もありますが、ほとんどはこれでしか聴けません。すばらしい写真がたくさん入ってます。一家に一冊。
今朝はまたいちだんと冷え、雪の予報も出てますが、近所では梅が咲きだしました。(ゆ)
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