というイベントを今月23日、休日の昼間に下北沢のブック&カフェ B&Bでやります。くわしくはこちらをどうぞ。

 uillean pipes はご存知、アイルランド伝統のバグパイプです。これの日本語での読み方はいろいろあって、ここにある「イーリアン・パイプス」というのが一番普及しているようです。これはまあこの原綴の英語読みですね。

 "uillean" はアイルランド語で「肘」の意味で、アイルランド語では「イリン」または「イレン」または「イルン」が近い表記です。アイルランド語で "pib uillean" と書けば「ピーブ・イリン(イレン、イルン)」になります。

 "uillean pipes" もアイルランド語読みなら「イリン(イレン、イルン)・パイプ」になりますが、これはいわば「重箱読み」。RTE のアナウンサーでも「イリアン・パイプス」と発音しているのを聞いたこともあるので、英語読みすれば「イーリアン・パイプス」でもいいんでしょう。

 ぼくらは昔「ウィリン・パイプ」と読んでいたりもしました。

 バグパイプはヨーロッパ各地にあって、それぞれに特徴的な音を持っています。イリン・パイプも1音聞けばこの楽器とわかる音で、アイリッシュ・ミュージックを象徴する楽器でもあります。だけでなく、19世紀以降、ハープに代わってアイリッシュ・ミュージックの中心的楽器にもなっていて、他の楽器がこの楽器の音色や奏法をお手本にしてもいます。パッツィ・トゥーヒ、ジョン・ドゥラン、レオ・ロウサム、ウィリー・クランシィ、シェイマス・エニス、パディ・モローニ、リアム・オ・フリン、パディ・キーナン、デイヴィ・スピラーン、マイケル・マクゴールドリック、ブライアン・マクナマラ、ジョン・マクシェリィと並べてみれば、パイパーがアイリッシュ・ミュージックの軸になってきたのは明らかです。

 ですので、アイリッシュ・ミュージックを聴いていれば、いやでも耳に入ってくる楽器でもありますし、その歴史といい、操作法といい、いろいろと面白い楽器でもあります。

 嬉しいことに、最近のわが国の若い人たちによるアイリッシュ・ミュージック演奏の隆盛の中で、優れた演奏家も出現しました。ついには楽器メーカーまで現れて、まことにめでたいかぎりです。

 今回は、わが国トップ・プレーヤーのひとり野口明生さんと一緒にこの楽器についていろいろ話をしようというわけ。ふだんわからないような楽器の基本、だいたいどうやってあれを身につけ、音を出すのか、というところから、演奏者としての醍醐味、苦労まで、とにかくこの楽器だけの話をする予定です。

 もちろん名プレーヤーたちの録音や映像も一緒に聴いたり見たりして、それぞれにどこが凄いのか、とか聴きどころなんかも話をします。

 これは春に上梓した『アイルランド音楽 碧の島から世界へ』の中身をライヴで再体験しようというシリーズの一環として各楽器にスポットを当てるで、バゥロンに続く第2弾です。

 ホストはこのシリーズの仕掛人のトシバウロンで、二人の生演奏もあるはず。

 それにしても、この楽器シリーズも瓢箪から駒なんですが、ぼくもたいへん勉強になり、また楽しいです。演奏者に直にいろいろ聞けるのはなんといってもありがたいです。

 ということで、12月23日の午後に下北沢でお目にかかりましょう。(ゆ)