ローカスの2015推薦リストが出てしまった。別に出てしまって悪いわけじゃない。むしろ、これだけ早く出してもらえるのはありがたい。
これは同時に始まったローカス賞の投票の参考用ではあるが、ローカス周辺や業界の読み手たちによる推薦だから、好みに合う合わないはあってもまったくの大外れは無いはずだ。ヒューゴーのノミネートにしても、このあたりから手をつけるのがまずは妥当だろう。
自分でちゃんと読んでいて、このリストにも即座にケチをつけられるくらいであるのが理想であるわけだが、第2言語で書かれたものをそんなにたくさんは読んでいられない。第1言語で書かれたものだって、そうそうは読めないのだ。ジョー・ウォルトンは家でベッドに入ったまま他に何もしないときには1日で4、5冊かたづけるそうだが、あたしにはそんな芸当は不可能だ。だいたい本ばかり読んでもいられない。音楽も聴かねばならないし、ライヴにも出かけなければならない。しっかしまあ、みごとに一つも読んでいないぞ。まあ、去年はとにかくグレイトフル・デッドに明け、グレイトフル・デッドに暮れていたし、このところ旧作ばかり読んでいるから当然の結果ではあるわけで、今年はその逆をいってみようというのが後からとってつけた意図ではある。
だから、こういうリストを参考に、今年前半は昨年の収獲を消化、消費ではない、消化することに努めよう。もっともアンソロジーの中の年刊傑作選はいずれも一昨年の作品を収録しているから、これらを読めば2年分の上澄みは味わえる。そう言えばこの選考者の中には年刊傑作選の編者もドゾアとホートンとストラハンと3人も入っている。
個人的にはノンフィクションの部門に関心がいくのはやはり年のせいか。とりわけイリノイ大学出版局が出しているサイエンス・フィクション作家のモノグラフ・シリーズは全部読んでみたい。こんなのが出ているのも今回知って、ジョン・ブラナーは注文してしまった。これは昨年のではない。2013年刊行だ。こういう旧作を見つけてしまうのも困ったものだ。
LETTER TO TIPTREE はキンドル版が安かったので買ってしまった。しかし、これはよくぞ作ってくれたものだ。あたしとしては第二部のル・グィンとラスとの往復書簡が一番関心があるが、第一部も面白い試みだ。わが国の作家たちの書簡集も出してほしい。『SFの国』展で展示されていた半村良から小松左京への書簡を読むと切実に思う。
さあて、まずは中短編の手許にあるやつからかな。(ゆ)
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