Clarkesworld の編集長 Neil Clarke が選ぶ年刊傑作選の第1巻が今年7月に出る。その内容が Clarkeのサイトに発表されている。
収録作品は31本で、ローカスの推薦リストとの重複も多いが、重なっていないものが10本ある。
これで年刊傑作選は、ドゾア、ストラハン、ホートンと合わせて4種、加えて、
BEST AMERICAN SCIENCE FICTION (Hill & Adams),
BEST WEIRD FICTION (Koja & Kelly),
WILDE STORIES 2015: Best Gay Speculative Fiction (Berman),
BEST HORROR (Datlow),
BEST DARK FANTASY & HORROR (Guran),
BEST AUSTRALIAN FANTASY AND HORROR (Grzyb & Helene),
FOCUS 2014: Highlights Of Australian Short Fiction (Wessely)
と周辺も含めれば少なくとも11種。史上最多ではないか。それだけこの種のものが売れるというのはわかる気もする。よほど熱心な読者でも、もう追いかけきれないからだ。
試みに、ローカス推薦リスト収録作品発表媒体の上位5つ、Asimov's、Clarkesworld、F&SF、Lightspeed、Tor.com に2015年1年間に発表された新作中短編はトータル293本(英語初訳も含む)。これ以外の雑誌、オリジナル・アンソロジーや個々の中短編集、ウエブ・サイト、ジャンル外の媒体もあるから、昨年1年間に英語で発表されたSFF関連の中短編はおそらく500本前後になるだろう。いかにネイティヴとて、これを全部読むなんてことはそれを仕事にでもしていないかぎり、よほどの精進が必要になる。オーストラリアにはとにかく「全部」読むという活動をしている集団があって、ジョナサン・ストラハンもその年刊傑作選収録作品選出にあたって協力をあおいでいるくらいだ。
第50回ネビュラ賞の候補作が発表された。同時にドラマティック・プレゼンテーションを対象にしたレイ・ブラッドベリ賞、ヤングアダルト作品を対象にしたアンドレ・ノートン賞の候補も発表されている。受賞作発表は5月中旬のネビュラ賞週末。
各部門の候補はアメリカSFF作家協会員(SFWA)のノミネーションと投票によって絞られ、6本の候補が挙げられるのが原則だが、長篇は7本。うちローカスの推薦リストにないものが3本。ノヴェレットで Asimov's 誌から3本入っているが、2本は Asimov's 読者賞の候補にもローカスの推薦リストにも入っていない。ローカスの推薦リストにないものは、ノヴェラで1本、ノヴェレットで3本、短篇で1本。また、アメリカ以外の英語圏からの作品は無い。ネビュラの対象は協会員の作品である必要はないが、アメリカ国内とインターネット上で発表されたものに限られる。アメリカ国外での作品もアメリカで出版されれば対象になるが、英国以外の英語圏で発表された作品のアメリカ版が出るのはまだ稀だ。その点では英語による発表であれば全世界が対象であるヒューゴーの方が範囲が広い。
ローカスによれば、今年は初めて候補になる作家が多い。過去の受賞者は3人で、マイケル・ビショップが16回候補になって3回受賞、アン・レッキーが2回候補になって1回受賞、ケン・リウが8回候補になって1回受賞。未受賞者ではN・K・ジェミシンが4回め、ローレンス・M・ショエンが3回め。次の波が来ているということか。
ビショップは近年、ほとんど作品を発表していなかったので、復活は嬉しい。(ゆ)
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