『みすず』4月号。大熊ワタルさんの連載「チンドン・クレズマーの世界冒険」が始まる。第1回は「NYにエコーしたイディッシュの記憶」。「遠い島国で、記録と想像だけで育ててきたチンドン・クレズマー」に対する Forward紙の評価には、自分の生まれ育ったものではない伝統音楽に身も心も奪われつづけてきた人間にとって身震いするほど嬉しいものがある。
「ユニークだったのは、この演奏が感傷や懐古なしにこの音楽を活気づけ歓喜させたこと。そのことでイディッシュ音楽が、それに属する人々を絶滅させる試みで中断されなければ、どのように自然に進化しただろうかと想像できたことだ」
そうなのだ。「伝統」とはこのように、一見まったく縁もゆかりも無いと思える飛躍や断絶によって新たにつながり、再生し、生き延びてゆくのだ。
フランク・ロンドンが来月来日して「ジンタらムータ」とツアーするそうな。見に行くぞ。
余談だが、昨年最も興奮したアクトの一つだったふーちんぎどのふーちんとギデオン・ジュークスは何のことはない、ジンタらムータのメンバーだった。これはますます楽しみ。しかも東京公演は梅津和時、巻上公一、関島岳郎といった面々がゲスト。いやはや。(ゆ)
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