ようやく出ます。皆さま、買うてくだされ。
まだ読んだことがなければ、『レッド・マーズ』からどうぞ。この三部作は、三部作ではよくありますが、長い1本の話なので、途中から読むとあまり楽しくありません。『ブルー』では昔起きたことの「真相」が明かされたりします。
その代わりといっては何ですが、最後までいけば長い時が経った実感が湧いてきます。プルーストを読み通したとき、最終巻で味わえるあの感覚に近い。とあたしは思います。ある長さの小説を読むことでしか得られない感覚、快感と呼んでいいものです。むろんよくできた小説でなければなりませんが。
とまれ、肩の荷が降りてほっとしています。これが出ないうちはどこか引き止められていて、先へ進むことができない気がしていました。
あとは、この三部作の準備のために書かれたノヴェラ版「グリーン・マーズ」を出せれば完璧ですね(訳文はできてる)。時代としてはこの『ブルー』の後になるかな、オリュンポス山の断崖絶壁を登る話。(ゆ)
コメント
コメント一覧 (6)
思えば、『レッド・マーズ』をH書房に持ち込んで(まさかの)ボツをくらってから早24年。当時のレジメを見るとなかなか感慨深いものがあります。
ノヴェラ版いいですねえ。主人公が下痢で尻を寒風というより凍風にさらしながら用を足すところが印象的。ひたすら山を登る話は小島烏水とかも凄いですけど、なんといっても太陽系最大の山ですから、登り甲斐があるでしょう。いっそのこと「山渓」にでも持ちこんでみますかねえ。
「カトマンドゥからの脱出」のシリーズは大好きなんで、ほんとは1冊のまま出て欲しいですが。
ノヴェラ「グリーンマーズ」は200枚強というところです。
『カトマンドゥ』の書籍版は四半世紀まえにT社にレジメ出してますが、残念ながらボツでした。SFというより秘境冒険ものだからかも。なんかロビンスンには縁がないんですよね・・・
でも『永遠なる天空の調べ』があるじゃないですか。あれは『2312』のさらに後の時代の同じ宇宙とも読めるのでは。
『カトマンドゥ』はユーモアがいいですねえ。落着いたドタバタっていうのもヘンですけど、さあ笑えって迫るんじゃなくって、ふふふと笑いながらいい気持ちになれる。どうもサイバーパンクこの方、ああいうさりげないユーモアが流行らなくなっちゃった感じで、SFってそこがいいところでもあるはずなんですがねえ。