Facebook には書きましたが、ここは今、Facebook と連動していないので、おおしまの個人的な宣伝をさせてください。
2つあります。一つはシンコーミュージックのムック『フェアポート・コンヴェンション』に寄稿しました。アシュリー・ハッチングス関係とフェアポートのアルバム解説の一部です。世界で初めて活字になったものなど、インタヴューがたくさん収録されているので、買って損はないでしょう。
シンコーミュージック
2017-09-19
これを書くために久しぶりにあれこれ関連のを聴きなおしたり、新たに買って(ギャラよりた〜か〜い資料代)聴いたりしましたが、やはり偉い連中だとの想いを新たにしました。〈Tam Lin〉や〈Matty Groves〉はバラッドを現代にどう歌うかのお手本として、リスナーはもちろん、歌ったり演ったりする方にとっても大いに参考になると思うし、〈Flatback Capers〉でのホーンパイプの処理は、躍動感にあふれることではいまだにこれを超えるものは無いんじゃないか。これをロック・バンドがやったというのは凄いことだけど、あるいはロック・バンドだからできたのかもしれません。といって、並のロック・バンド、たとえばゼペリンには到底不可能なことも確かで、これ1曲でフェアポートは現代音楽の歴史に名を刻んだといってもいい。
それにしてもサンディ・デニー。ルーカスがもう少ししっかりしていたら、とどうしても思ってしまいます。あるいは他に男はいなかったのか。いや、たぶん、もの凄く手のかかる人間だったろうことは推測もつきますがね。生き延びてさえしていたら……。
もう一つは以前訳した『ギネスの哲学』の電子版が出ました。
皆さま大好きなギネスの歴史ですけど、あたしが言うのもなんですが、面白いです。ギネスって、今は合併ででかくなっちゃってますけど、20世紀半ばまで家族企業で、しかも事実上「ギネス」という唯一の商品しか売っていない。それで世界企業になっちゃった。なんで? とは誰しも思うところでしょう。他のものは、ビールとかスタウトとかの銘柄の一つですが、ギネスだけはギネス。これも不思議。
それとアイルランドの酒なんだけど、大英帝国の飲物にもなっちまった。帝国の端っこのヒマラヤの麓でギネスの壜をみつけて「故郷の味」だと大喜びするイギリス人の話も出てきます。ギネス家はもちろんプロテスタントですけど、ギネスはアイルランドでもブリテンでも、信仰に関係なく、好まれた。これまた不思議。
それだけでなく、この会社はただ金が儲かりさえすりゃいい、という近頃の風潮とは無縁で、稼いだカネをどう使うかという点でも実に先進的。というよりも、カネってこういう風に使うために稼ぐんだよな、と思わされる。あるいは、儲けたカネの使い方のお手本、というべきか。カネというのは、儲けるだけでは人間をダメにする。儲けたカネはこうして世界をベターにするために、みんなが暮らしやすくなるように使って初めて儲ける意義があるのだとわかります。こういう本を読んでから呑むとギネスは一層旨くなるのですよ。
もう過ぎちゃいましたが9月24日はギネス創業者のアーサー・ギネスの誕生日で、毎年、世界中のギネスを売ってる店ではお祝いがあるらしい。今年はギネスの醸造最高責任者が来日して、いろいろ実演するらしいです。この本もそれを祝って期間限定で3割引きになってます。どうぞ、買うてくだされ。年越しできるかどうかがそれにかかってます。年越しできないと、来年3月の「アイリッシュ・フィドル講座」もできない。どうぞ、よしなに。
宣伝ばかりではつまらないので、こちらをどうぞ。(ゆ)
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