直前になってしまいましたが、下北沢・風知空知で明日の19時スタートです。今回はカヴァーを聴きます。カヴァー曲というのは、何をカヴァーするか、いかにカヴァーするか、によって、ミュージシャンの性格、特性が明瞭に出るものでもあります。

 グレイトフル・デッドはすばらしい曲をたくさん作ってますが、同時にカヴァーにもまさにデッドにしかできないような演奏がたくさんあります。レパートリィの2割くらいはそうしたカヴァーでしょう。カントリー、R&B、ブルーズ、フォーク、これまたデッドらしく何でもありで、ディランやビートルズなんかもやってます。中には定番として数百回演奏されたものも少なくありません。実はデッドのレパートリィ全体で演奏回数の最も多いものはママス・アンド・パパスの John Phillips 作の〈Me And My Uncle〉のカヴァーで、620回演奏されています(Deadlists による)。




 こうしたカヴァー曲はほとんどがスタジオ録音には収録されていません。ライヴ音源でしか聴けません。ということで、デッドならではのカヴァーを原曲と聞き比べてみます。

 何を聴くかは明日のお楽しみ。その選曲を一応一昨日の深夜に終えました。一応というのは、ベスト3ヴァージョンを選んだわけで、ここから明日何をかけるかは、ひょっとすると明日その場の選択になるかもしれません。

 もともとは2、3分の曲が、デッドの手にかかると10分、20分となる場合もあって、しかも演奏回数が多いものは手許にあるだけで30、40のヴァージョンになるので、年末から毎日ひたすら聴いていました。他のことは何もできませんでしたが、こうして同じ曲を年代順に聴いてゆくのは、実に面白い。いろいろなことがわかります。曲がだんだんできあがっていって、完成し、また変形してゆく様子やメンバーの交替によって演奏が変わる様子が手にとるようにわかります。その時期のバンドの性格なんかも見えてきます。チャンスがあればそういうところをみんなで聴いてみたいです。

 とまれ、明日は、これがこうなるのかという驚きと、デッドの演奏のすばらしさ、そして多様な側面をお楽しみいただけるよう、努めます。もちろん、おしゃべりのメインはピーター・バラカンさんで、あたしはなるべくでしゃばらないようにします。(ゆ)