明日になってしまいましたが、ピーター・バラカンさんとやらせていただいている「21世紀をサヴァイヴするためのグレイトフル・デッド入門」第3回をやります。バラカンさんのファン、グレイトフル・デッドって何だ?という方、アメリカ音楽に関心のある方、いい音楽をいい音で聴きたい方、その他、お暇のある方も無い方も、どうぞお越しください。
この1ヶ月ほど、このための準備に忙殺されていました。今回はデッドのレパートリィの最もコアの部分をとりあげようと言い出したのは自分ですが、ほんとに自分で自分のクビを締めてしまいました。何がコアであるかの基準を演奏回数の多い順にしたからです。
30年間で2,300本以上ライヴをすれば、定番曲の演奏回数が多くなるのも当然です。600回以上演奏された曲が4曲、500回以上600回未満が3曲、400回以上が10曲、300回以上が24、200回以上が26。このうち今回は400回以上の17曲のうち、すでにとりあげた曲を除き、たぶん全部はかけられないので、500回以上は全部、400回以上からは選抜して対象としました。つまり、公式リリースされているショウの音源から対象の曲を抜き出し、あたしが全部聴いてみて、ベストと思われるヴァージョンを3〜4選び、バラカンさんに聴いていただいて一つ選ぶ、という形です。明日かけるのは、こうした選抜過程をくぐり抜けた、ベストの中のベスト、というわけ。
もっとも何をベストとするかは、その時のあたしたちの状態、体調や天候や気分によって左右されますから、これだけがベストというわけではありません。最初にあたしが選ぶときからして、名演力演が並ぶなかで、散々悩むわけです。
それ以前に、手許にある公式リリースのライヴ音源を全部聴くという作業がまず時間がかかります。演奏回数が多いので、収録も多くなります。例えば Playing In The Band は76ヴァージョン。この曲の前半と後半で複数の別の曲をはさむようなサンドイッチは外してです。単純計算で演奏時間は18時間を超えます。これをひたすら聴いてゆきます。
聴いてゆく順番は一応年代順にしました。こうするとある曲が生まれて形を整え、成長し、成熟し、さらに変化してゆく様がよくわかります。めちゃ面白い。多少予測はしてましたが、こんなに面白いとは思いませんでした。病み付きになりそうです。ときには逆に、新しい方から順に聴いてもみます。これがまた面白い。
同じ曲を何度も聴くわけで、歌詞も体に染みこんできますし、曲の構造もわかってくるし、バンドのスタイルの変遷もはっきり見えてきます。1本のショウの中では目立たなかった演奏が、それだけ取出して前後のヴァージョンと聞き比べてみると、突然光り輝きだすこともあります。各メンバーがこんなところでこんなことをやっているのかという発見もあります。作業としてはこんなに楽しいことはありません。
ただ、時間がかかる。
Playing In The Band 76ヴァージョンで18時間超、ですが、これは休まずに連続再生したときの話。実際にはそうどんどんは聴けません。1日のうちでリスニングに割ける時間も限られます。最後の追いこみのここ一週間ほどは毎日5〜6時間聴いてましたが、これが限界。
同じことを各曲に対してやるわけです。結局9曲までやったところで時間切れ。もっともこれだけで単純に合計すると再生時間は90分超えますので、はたして明日全部かけられるか、わかりません。
発見はたくさんあります。中でも面白いのは The Other One の変遷で、これだけでイベントやりたいくらい。
個人的には Jack Straw の再評価。というより、この曲、どうも摑みどころがなくて、あまり好きではなかったんですが、50ヴァージョン以上聴いてみると、いやあ、名曲ですな、これ。
というわけであすはこの9曲のなかから聴いてみます。
China Cat Sunflower> I Know You Rider
Deal
Jack Straw
Me And My Uncle
Playing In The Band
Sugar Magnolia
Tennessee Jed
The Other One
Truckin'
タイトルのアルファベット順にするとこうなりますが、さてどんな順番で聴きますかねえ。やはり回数の多い順でしょうか。
では、明日、下北沢は風知空知でお眼にかかりましょう。(ゆ)
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