Folk Radio UK の Folk Show の最新版 40, 2018-09-28 が出ていたので、聴いてみる。
選曲、原コメントは Alex Gallacher
00:00:00 June Tabor & Martin Simpson – Strange Affair
1980年の《A Cut Above》から。久しぶりに聴くと、こんなに手の込んだことをやっていたのか、と驚く。当時シンプソンはまだアルバム1枚出したくらいで、このアルバムでギタリストとしての評価を確立したと記憶する。あの頃は情報も少なく、テイバーとシンプソンの組合せには驚いたものだ。後のテイバーの傑作《Abyssinians》の布石でもある。このトンプソンのカヴァーもいいが、掉尾を飾る Bill Caddick 畢生の名曲〈Unicorns〉は衝撃だった。
00:05:35 Fairport Convention – Days Of 49
フェアポートのディラン・カヴァー集《A Tree With Roots: Fairport Convention And The Songs Of Bob Dylan》から。このヴォーカルはニコルだね。トンプソンのギターもばっちりだし、すばらしい。ディランをカヴァーするとみんなディランになると言うが、それはたぶんアメリカ人の話で、イギリス人はやはり別ではある。
00:11:50 Karan Casey – Hollis Brown
11/02リリース予定の新作《Hieroglyphs That Tell The Tale》から。このカランもディランじゃないねえ。すばらしいじゃないですか。
00:16:17 Stevie Dunne – The Yellow Wattle / The Maids at the Spinning Wheel / The Meelick Team
アイリッシュ・バンジョーの名手。こりゃあ、ええ。こりゃあ、ええでよ。バゥロンすげえなと思ったら、ジョン・ジョーじゃないですか。その他もほとんど鉄壁の布陣。買いました。
00:21:43 Shooglenifty & Dhun Dhora – Jog Yer Bones
11/09リリース予定の新作から。Dhun Dora はラジャスタンのグループだそうだが、ショウ・オヴ・ハンズとも共演していて、面白い連中。これもシューグルニフティと波長がぴったりで、実に面白い。この曲は Roshan Khan がシューグルニフティのメンバーの Ewan MacPherson の iPhone に吹きこんだ唄をベースにしていて、それと Laura Jane Wilkie のペンになる〈Jump Yer Bone〉をカップリングしている由。各種パーカッションを凄く細かく使っているのも楽しい。
00:26:31 Ushers Island – The Half Century Set
昨年のデビュー・アルバムから。まあ、文句のつけようもない。念のため、メンバーは Andy Irvine, Donal Lunny, Paddy Glackin, Mike McGoldrick, John Doyle。これで悪いものができるはずがない。
00:32:12 LAU – Far from Portland
00:39:56 Breabach – Birds of Passage
10-26リリース予定の《Frenzy Of The Meeting》から。スコットランドの5人組。プロデュースは Eamon Doorley なら信用できる。この唄はいい。曲はギターの Ewan Robertson と Michael Farrell の共作。
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00:43:49 Hannah Rarity – Wander Through This Land
もう一昨年になるのか、Cherish The Ladies と来日したスコットランドのシンガーで、昨年の BBC Scotland Young Tradition Award 受賞者の初のフル・アルバム《Neath The Gloaming Star》から。昨年出したミニ・アルバムよりもぐっと落着いた歌唱。また1枚剥けたらしい。この人の声はゴージャスですなあ。
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00:47:50 Chris Stout & Catriona McKay – Seeker Reaper
デュオの昨年のアルバム《Bare Knuckle》から。凄いなと思うのはクリス・スタウトのフィドルで、この人も思えばずいぶん遠くまで来たもんだ。
00:53:53 Rachel Newton – Once I Had A True Love
最新作、出たばかりの《West》から。これは文字通り、一人だけで作ってます。曲は有名な伝統歌。一切の虚飾を排した演奏。緊張感が快い。
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00:57:05 Steve Tilston & Maggie Boyle – Then You Remember
今回はテイバー&シンプソンはじめ、懐しい録音がいくつもあるけど、これもその一つ。1992年の《From Of Moor And Mesa》から。どちらもソロとしてもすばらしいけど、コンビを組むと魔法を生む。選曲者も言ってるように、探すに値するアルバム。
01:00:15 Thom Ashworth – Crispin’s Day
この人はあたしは初めて。《Hollow EP》から。イングランドのシンガー。いいですねえ。顔に似合わず声は若い。ギターはじめ、楽器も全部一人でやってるそうな。歌詞はT・S・エリオットの『四つの四重奏』の一つ「バーント・ノートン」のアジャンクールの戦いをほのめかしたところからとっている由。その戦いは聖クリスピンの日に戦われた。
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01:03:47 Kelly Oliver – The Bramble Briar
この人も初めて。3作め《Botany Bay》から。前2作と違い、全曲トラディショナルで、故郷の一帯から、Lucy Broadwood が蒐集したものをメインとしている由。これも確かに有名な曲。最近の若い人はまず伝統歌を唄い、それから自作に向かうが、この人は逆をやったわけだ。ジャケットの写真は3枚のなかで一番ひどいが、唄はいい。
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01:07:48 Fairport Convention – Percy’s Song
ああ、サンディの声は聴けばわかる。うーん、この声とこの唄は、やっぱり他にはいないねえ。すげえなあ。これも前記フェアポートのディランのカヴァー集から。なるほど、こういうのも入れてるのか。原盤は《Unhalfbricking》(1969) ですね。しかし、全然古くないねえ。まるで昨日録音したみたい。とてもディラン・ナンバーに聞えん。イングランドの伝統歌だ。
01:13:10 Steeleye Span – Sheep-Crook And Black Dog
これも全然古くない。1972年の《Below The Salt》から。マディ・プライアに言わせれば、この前の3枚はハッチングスの作品で、ここからがスティーライ本来の姿だ、ということにになるのかもしれない。しかしこの頃のプライアの声はまさに魔女、異界からの声だ。
01:17:49 Nic Jones – Billy Don’t You Weep For Me
例の交通事故で音楽家生命を断たれる前のニック・ジョーンズの未発表録音、大部分はライヴを集めた《Game Set Match》(Topic Records) から。こういうのを聴くにつけ、彼が順調に成熟していっていたなら、どんな凄いことになっていたのか、悔やしさがぶくぶくと湧いてきて、だから、あまり聴く気になれない。演奏がすばらしいのはわかってたけど、こんなに録音が良かったんだ。
01:22:39 Dick Gaughan – Crooked Jack
ゴーハンの4作め《Gaughan》(1978)から。この歌は Dominic Behan の作品で、ゴーハンは Al O'Donnell から習った。アル・オドンネルはアイルランドのシンガー、ギタリストで、ゴーハンにとってはヒーロー、だけでなく、広い影響を与えている。1970年代にLPを2枚出していて、どちらもすばらしい。2015年に亡くなっていたとは知らなんだ。《RAMBLE AWAY》(2008) が最後の録音になるのか。ゴーハンはアコースティック・ギターは神様クラスだが、エレクトリックはほんとダメだねえ。この曲はまだマシな方。こうなるともう相性が合う合わない以前で、「持ってはいけない」クラスなんだが、本人はたぶん憧れてるんだよなあ。
01:27:42 Jarlath Henderson – The Two Brothers
この人も初めてお眼に、いやお耳にかかる。はじめ、シンプルなギター伴奏のシンガーだが、妙に力が抜けた唄い方がポスト・モダンだけど、しっかり歌をキープして悪くない、と思っていると、途中からがらりと変わる。このイリン・パイプは凄い。しかもこれがデビュー作だと。BBC Young Folk Musician Award 最年少受賞はダテじゃない。こいつは買わねば。
01:32:35 Martin Carthy and Dave Swarbrick – Polly on the Shore
懐しいものの一つ。選曲者がこれのソースの《Prince Heathen》(1969) は Martin Carthy & Dave Swarbrick の second album と言ってるのは、何か勘違いしてるので、実際には5作め、第一期の最後。このアルバムはカーシィとしても一つの究極で、どれもいいが、何といっても有名なバラッド〈Little Musgrave and Lady Bernard〉(フェアポートの〈Matty Groves〉の原曲)の9分を超える無伴奏歌唱が圧巻。その昔、初めてこれを聴いた時、スピーカーから風圧、音圧じゃないよ、風圧を感じた。
01:36:19 Duncan Chisholm – Caoineadh Johnny Sheain Jeaic / The Hill of the High Byre (Live)
をー、この録音が出てたのは知らなんだ。買わねば。《Live At Celtic Connections》(2013) から。今、いっちゃん好きなスコットランドのフィドラー。このライヴは20人編成のストリングスとブラス・セクションまで参加してるそうだ。
MacBook Pro 13-inch 2016 で Mojave の Safari で FRUK のサイトで再生してるけど、純正の USB-C アダプタから iFi iDefender3 経由で Mojo > LadderCraft 7製ミニ・ペンタコン変換ケーブル> マス工房 428 で AudioQuest NightOwl に onso のケーブルつけてバランス駆動で聴くと桃源郷にいる気分。(ゆ)
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