「21世紀をサヴァイヴするためのグレイトフル・デッド入門」のために、デッドのライヴ音源を延々と聴くわけですが、それには何を使っているのか。
あたしはスピーカーではまず聴かず、もっぱらヘッドフォンとイヤフォンで聴いてます。基本的に家ではヘッドフォン、外ではイヤフォン。なんだかんだで、知らないうちに増えていて、数えてみるとヘッドフォンは8本、イヤフォンも同じくらい。細かくて、正確にはもうわからん。取っ替え引っ替え使うわけですが、みんな均等にというのではなく、自分の中でも流行り廃りがあります。
デッドのある曲を手許に溜まってきたライヴ音源の公式リリースから拾って聴いてゆくのは少々手間がかかります。一つのフォルダにまとめてこれを次々に再生してゆくのは、いつも使っている DAP は案外不得手で、これまでの経験で一番楽なのは MacBook Pro で再生する方法。ただし、Audirvana Plus はこういう時ほとんど役に立ちません。まずまず音が良くて使い勝手が良いのは Decibel。
MacBook Pro から Chord Mojo に USB で出し、Analog Square Paper 製 STAX 専用真空管ハイブリッド・アンプで SR-L300 というのが最近の昼間の定番。だったんですが、選曲も佳境に入ったところで、朝、かぶろうとしたら SR-L300 のプラスティックのヘッドバンドがバキッと音を立てて真っ二つ。

幸い、問い合わせたら修理できそうなのでほっとしました。ヘッドバンド交換だけですから、そんなに高くはないんじゃないかと期待。1本聴くごとに外したりかぶったりしていたからかなあ。
マス工房 model 428 が来て以来、これで聴くことも多いんですが、デッドのライヴ音源は真空管をかませて聴きたいんですよ。デジタルでしか出ていないこの音源を聴くために『ステレオ』編集部が作った真空管ハーモナイザーをかますと、ヴォーカルやガルシアのギターがそれは艷っぽくなる。ところが 428 は入力がペンタコンだけなので、ハーモナイザーの RCA 出力からつなぐケーブルがまだありません。
それと Decibel は最近アップデートしたんですが、それからどうも今ひとつ音にキレがなくなった感じ。ハイレゾ音源もちゃんと認識しないようだし。というんで、手持ちの機材をあれこれ組み合わせて落ちついたのがこのセット。

OPUS#1s からは Reqst の光ケーブルで Mojo につなぎ、Mojo と PHAntasy はラダーケーブル製ラダー三段のミニ・ミニ・ケーブル。
Listen Pro は Focal のヘッドフォンを何か使ってみたくて買ってみたもの。現行製品では一番新しくて、ダントツで安い。これはすばらしいです。箱から出したてで、100時間鳴らした DT1770 Pro とタメを張ります。DT1770 よりもすっきりした音で、この辺はドイツとフランスの違いですかね。Listen Pro に比べると DT1770 の方が粘りがあり、音場が丸い。Listen Pro の音場は広がりと奥行があって、円盤型。分解能も高いですが、細かいところまでムキになって出すのではなくて、各々の音量と位置をさりげなく、適確に示します。入っている音は全部出ているけれど、本来のバランスは崩れず、音楽に没入できます。ギアとして存在を主張するのではなくて、音楽を聴くツールに徹してます。モニターというのはそういうものでしょう。
DT1770 と比べてどちらがベターというよりは音の性格の差でしょう。オールマンなら DT1770 で、デッドなら Listen Pro というと近いか。フェアポートなら DT1770 で、スティーライなら Listen Pro かな。まだ、試してないけど。ジャズならハードパッブは DT1770 で、ECM は断然 Listen Pro。ルーツ・ミュージックだと、ソロの歌や演奏は DT1770 の方が案外合うかもしれませんね。でもハイランド・パイプのピブロックのような倍音系は Listen Pro で聴きたい。
先ほどの組合せに戻ると、ヘッドフォンやイヤフォンのテストに使っているアウラの〈アヴェ・マリア〉を、きちんと聴かせてくれました。ベスト盤の《ルミナーレ》にも入っているこの曲は、ソプラノ3人がめいっぱいハイトーンで唄っていて、たいていのヘッドフォン、イヤフォンでは、少なくとも2ヶ所でビビります。スピーカーではまったく問題ないんですが、ソプラノが上の方で2人、3人と重なるところは、小さな振動板にはきついんでしょう。
いわゆる「カッシーニのアヴェ・マリア」と呼ばれるこの曲は、実際はソ連の作曲家 Vladimir Vavilov の作品で、ただ「アヴェ・マリア」を繰り返すだけですけど、アウラのこのヴァージョンでは歌詞を加えていて、そこがまた良い。オーディオ・テスト用だけではなく、演唱としてすばらしいので、ヘッドフォン・マニアの方は持っていて損は無い曲でしょう。
というわけで、今日の本番ではこれを使って PHAntasy の代わりに真空管ハーモナイザーを経由して店のPAにつないでみようと思ってます。問題は音量調節なんですが、それは現場で担当の方と相談。(ゆ)


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