相変らず高い水準で安定している。それでも、ライヴの度に新たな面を見せてくれるのが彼女たちの楽しいところだ。今回のテーマはテンポ。同じ曲をテンポを変えて、たいていははじめゆっくりと、次に速い、いわば本来の速さでやる。これが面白い。テンポによって曲の感じががらりと変わる。
それが最も顕著に出たのは成田さんの〈Smoky Leaf〉。佳曲だが、これはまだ録音がなく、ライヴでしか聴けない。先日の豆のっぽでもやっていたが、カルテットでゆっくりやると、どこか神秘的な、謎めいたけしきが出る。不気味な味わいと言ってもいい。この味わいは、これまでのきゃめるには無いもので、あるいは案外、本質のところに根差すかもしれない。本人たちも意識してはいないキャラクターだ。ところが、後半、速く演奏されると、その味わいが消えて、フツーの曲になる。フツーといっても、きゃめるなりにフツーなので、この曲はハイライト。
やはりテンポが変わって面白かったのが、アンコール。前半のスローなところでのバゥロンがかなり良い。もう一つが〈Northern Lights Set〉で、はじめスローでやり、後半速くなる。その変わり目のところにブレイクを入れたのは工夫。
そして3曲目で〈Butterfly〉をゆっくり演ったのも新鮮だ。
テンポというよりもビートだが、冒頭〈高知の正月〉と最後のアンコールその2〈そして終電〉 b パートのシンコペーションは快感だった。
もう一つ、愉しかったのが、クラシックのバロックの風味を感じたこと。2曲目の〈乾杯ポルカ〉の a と c のパート、それにアンコールその2の〈そして終電〉の a パート。彼女たちはもともとはクラシックの訓練を受けてはいるが、それとのつながりではないようにも思える。どちらかといえば、むしろカロラン経由ではなかろうか。
会場は渋谷の再開発の一環で、宮下公園と明治通りをはさんだ反対側に新たにできた複合ビルの1階のカフェ。こういう所はライヴになるとテーブルを片付けるところが多いが、今回は普段のままのゆったりとした席の配置だったのは、ありがたかった。半分強がきゃめるのライヴ初体験だったのは、先日の酒井さんの結婚披露フェスのおかげかな。
今年はきゃめる十周年で、さてこれからどんな音楽を聴かせてくれるか。(ゆ)


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