実に久しぶりにアイリッシュ・ダンスのサイト Air の掲示板を覗いたら、『リバーダンス』のオリジナル・ビデオが YouTube に上がっているという書き込みがある。
この書き込み自体今年の3月で、YouTube へのアップは2016年1月なので、まったく何を今さらではあるのだが、念のため、書いておく。
これは明らかに最初に出た初演時の公式ビデオそのままで、テープでしか出ていなかったので、よくぞアップしてくれたと感謝にたえない。アメリカでは PBS で放映されたようで、これはその録画なのかな。
マイケル・フラトリーが出ている唯一のビデオで、やはり彼のダンスは華がある。スケールが大きい。マリア・パヘスと絡み合うシーンはハイライトの1つだが、これが可能だったのはフラトリーだけで、プリンシパルがコリン・ダンに交替してからはこのシーンは消えてしまった。替わりに加えられたのが「タップの応酬」のシーンで、あれはあれでいいんだが、フラトリーとパヘスの「対決」はやはり並べられるものがない。
もう1つ、これはアイルランド製作で、後のビデオのようなアメリカン・マーケット向けではない。つまり1つのカットが長いのである。おちついて見られる。
その他にもモイア・ブレナック、デイヴィ・スピラーンが出ているのもこれだけだし、ゴスペル・シンガーのグループもここにしかいない。ロシアン・ダンスのチームもこの時がベストだと思う。
1999年に初来日するまで、上演されている現地で見ることができた幸運な例外を除いて、われわれはこのビデオを「擦りきれるまで」見るしかなかった。しかし、まあ、何度見たことだろう。音楽ビデオでもそう何度も見ることはあたしはまず無いが、これだけは最低でも50回は見ている。そして何度見ても、冒頭、フィドルのリフに導かれて最初の集団のステップがじゃらんと鳴った途端、背筋がぞぞぞとする。続いての多人数のステップと、ビル・ウィーラン畢生の音楽が相俟って胸が熱くなる。一度集団が引っこむ入れ替わりにフラトリーが飛びだしてきて展開するソロの華麗さ。そして、その後、フラトリーを先頭に集団がずあああと出てきてのダンスのスリル!
これはやはり歴史に残るパフォーマンスなので、こうしていつでも見られるようになったのはまことに嬉しい。ニューヨーク版やジュネーヴ版しか見たことがなければ、ぜひ一度はご覧あれ。(ゆ)
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