晴暖。
 Grimdark Magazine がヒューゴーを狙うぞと、昨年出した T. R. Napper の作品集 Neon Leviathan から The Weight of the Air, The Weight of the World をフリーでダウンロードできるようにして、投票を呼びかけているので、早速ダウンロード。オーストラリアの作家だそうだ。ついでにその作品集をアマゾンで注文。

Neon Leviathan
Napper, T R
Grimdark Magazine
2020-02-15

 

 正午に出て公民館で本をピックアップ。リクエストを出す。散歩代わりに歩いて駅前。歩いていると沈丁花があちこちで満開。木蓮に似て少し小さい白い花もいくつも見かける。辛夷だろう。チャバッタでパンを買い、有隣堂、成城石井でヨーグルトなど買物。ヨーグルトはずっと共進牧場のジャーマン・ヨーグルトだったが、ここのところよつばのバターミルク・ヨーグルトもちょいちょい食べる。慶福楼で昼食。

 歩くお供は Eilis Kennedy, Westward, 2016。彼女を「発見」したセカンド《One Sweet Kiss》2005 以来11年ぶりの3作めで、これが出た時は喜んだ。最上級の天鵞絨の手触りはこういうものかと思われる声のテクスチャは健在で、歌唱には一層磨きがかかり、その声にぴったり合うように選びぬかれた選曲、William Coulter の練達のプロデュース、わざわざアレンジャーもクレジットされたすばらしいアレンジとくれば、現在、アイルランド最高のシンガーの宝物。ラストはこともあろうにドヴォルザーク『新世界より』第二楽章のあのメロディに詞をつけたものだが、この人がうたえば立派なアイリッシュ、どっしりと地に根を張ったフォーク・ソングになる。録音もすばらしい。リスニング・ギアはサンシャインのディーレン・ミニを貼ったKSC75 > M11Pro。

Westward
Eilis Kennedy
Imports
2017-03-10

 

 慶福楼で昼食を食べながら、借りてきた小平邦彦『怠け者数学者の記』を読みだす。やはりべらぼうに面白い。

 有隣堂のレジで Bun2 というPR誌を拾う。ニューヨーク文具レポートに出ていたカキモノのノートをチェックするが、薄すぎる。オリジナルのノートを作れるというが、ページ数は増やせないようだ。

 同じニューヨーク文具レポートに

日本の文具には機能に加えて、ユニークな付加価値のあるものが多い。

とあるが、基本となる機能が不充分なので、何かくっつけてなんとか商品にしようとしているものが多い。機能だけで真向勝負という商品はごく稀だ。

 ノートにしても、アメリカのごく普通の三穴のルーズリーフのようなものがない。バインダーが頑丈で、リングも大きく、大量に入る。A4を幅広くしたレターサイズのリフィルも300枚500枚が束になって安く売られていて、がんがん書ける。紙質なんて気にしない。ノートは紙質よりもがんがん書ければいいのだ。今どきだからどこかにないかと思っているが、国内でふつうに売られているところは見当らない。あってもバカ高かったりする。ふうむ、ダイソーにあるらしいが、少し前の情報。近くの100円ショップに行ってみるか。三穴のパンチは普通に売っているから、これと A4 のコピー用紙を買うのが現実的かもしれん。

 トンボ初の油性ボールペンはいかにもチープだ。定価180円ではこんなものだろうが、先の細いボールペンを主に買うのは若者で、若者は安くないと買ってくれないとこういう定価設定にしているのか。

 夜、C. S. E. Cooney, Jack o' the Hills を読む。第一部 Stone Shoes は発表2作めで、第二部 Oubliette's Egg を加えたノヴェラ全体は10作め。ブラック・ユーモアをたたえたコミカルな基調のお伽話。ちびのジャックと、石でできた靴をはかせることでかろうじてその動きを抑えられるほどの巨人のその兄プディングの、地下牢王女に縛り首王子に父親はギロチン王を相手にした冒険。二人の出生にはそれぞれ不思議ないきさつがあるらしい。シンプルなプロットとほとんど抱腹絶倒なまでに過剰な描写、それによって描かれる鮮烈なイメージはすでに確立している。この人の話はどれもほぼこのパターンなのだが、一方で1作ずつが独立したスタイルと味わいを備えて、それぞれに異なる楽しみを体験できる。読んでいて実に楽しい。

Jack o' the Hills: (Wonder Tales) (English Edition)
Cooney, C. S. E.
Papaveria Press
2016-03-31