ネビュラの最終候補が発表になる。長篇賞、最近おなじみの名前が並ぶなかで、Rebecca Roanhorse と C. L. Polk が目新しい。

 6本のうち Locus の SF 部門にタイトルが上がっていたのはマーサ・ウェルズだけで、モレノ=ガルシアが Horror。他の4本は Fantasy。

 全員女性は近年の傾向だが、それだけ SFWA の会員に女性が増えたのだろう。これもパラノーマル・ロマンス・ショックの一つか。

 ノヴェラ部門で
“Tower of Mud and Straw,” Yaroslav Barsukov (Metaphorosis) は Locus Recommended に無い。

 ノヴェレットのうち3篇
“Stepsister,” Leah Cypess (F&SF 5-6/20)
“Where You Linger,” Bonnie Jo Stufflebeam (Uncanny 1-2/20)
“Shadow Prisons,” Caroline M. Yoachim (serialized in the Dystopia Triptych series as “The Shadow Prison Experiment,” “Shadow Prisons of the Mind,” and “The Shadow Prisoner’s Dilemma,” Broad Reach Publishing + Adamant Press)
が Locus には無し。

 短篇では
“Advanced Word Problems in Portal Math,” Aimee Picchi (Daily Science Fiction 1/3/20)
が無し。

 アンドレ・ノートン賞では5本のうち
Raybearer, Jordan Ifueko (Amulet)
A Game of Fox & Squirrels, Jenn Reese (Holt)
が無し。

 もっとも Locus の Young Adult のリストにあるのは
A Wizard’s Guide to Defensive Baking, T. Kingfisher (Argyll)
だけで、
Elatsoe, Darcie Little Badger (Levine Querido)
Star Daughter, Shveta Thakrar (HarperTeen)
は First Novel に入っている。

 今気がついたが、ネビュラにはノンフィクション部門が無い。「作家」が対象で、学者は入らない、ということか。

 Samuel R. Delany, The Motion of Light in Water 着。この本、ヒューゴーを獲っていたのだった。扉前の写真のギターを抱えた18歳のディレーニィのシャープなこと。この人、ぎっちょらしい。写真が左右反転でなければ。とすると、ジミヘンと同じ。ひょっとすると、フォーク界のジミヘンになっていたのかも。ミュージシャンから作家へ転身したのはシェパードも同じ。先日亡くなった Kathleen Ann Goonan のナノテク・カルテットは音楽がモチーフだが、彼女自身はミュージシャンではたぶんなかっただろう。


 散歩の供は The John Renbourn Group, A Maid In Bremen。1978-02-14 ブレーメンでのライヴ。ラジオ放送用に録音されたものらしい。コンサートをまるまる録っている。ファーストとセカンドの間でスー・ドラハイムが抜けて、チェロの Sandy Spencer が入っている。このチェロが効いている。このメンバーでの録音のリリースは初めてだろうか。

A Maid in Bremen -Digi-
Renbourn, John -Group-
Mig
2021-02-26



 レンボーンがこのグループをやったのは、ひとつには自分ももっと歌いたかったからではないかとも思う。しかし、ジャッキ・マクシーがいる以上、聴く方としてはそれを期待するので、レンボーンの声が出てくるとずっこける。別に悪いわけじゃあ全然ないんだが、シンガーとしての格が違いすぎる。本人の意識としてはともかく、レンボーンはギターに手足がついた人なので、シンガーとしてはどうしてもB級になる。

 バンドとしての演奏はすばらしい。とりわけトニィ・ロバーツのフルートがライヴで活き活きと躍動するのは楽しい。ケシャヴ・サテのタブラがもう一つなのは、これもやむをえないか。時代の制約かもしれない。今ならもっと質の良いパーカッショニストがいくらでもいるはずだ。あの頃、この手の打楽器奏者でこういうアンサンブルに入ってみようという人は見つけるのが難しかっただろう。結局レンボーンはアンサンブルを諦めてソロに行ってしまう。それはそれで文句のつけようもないけれど、こういう録音を聴くと、もっと後であらためて試みてほしかったとも思う。

 一方で、そのタブラも含めて、この音楽はやはり貴重だ。宙ぶらりんのところがいい。ベンタングルよりもざっくばらんで、メンバーが各々に自分の演奏、アンサンブルとしての演奏を愉しんでいる。あの時代にしか生まれなかったというところもよくわかる。

 リスニング・ギアはサンシャインのディーレン・ミニを貼りつけた KOSS KSC75 と FiiO M11Pro。(ゆ)