4月3日・土
モノを探して書庫をひっくり返すと副産物で Jeff VanderMeer の Dradin In Love 初版著者サイン本が出てくる。どこかで売れるかな。各章の扉として1ページのモノクロ・イラストが挿入されている。クレジット頁によれば Buzzcity Press は The Silver Web という雑誌をメインに出している。シリーズ・エディタは Ann Kennedy となっていて、今のヴァンダミア夫人。いつ、どこで買ったか、まったく覚えがない。出た当時に買っているはずで、Mark V. Ziesing あたりだろうか。この時にはまだまったく海のものとも山のものともわからなかったはずだ。


モノを探して書庫をひっくり返すと副産物で Jeff VanderMeer の Dradin In Love 初版著者サイン本が出てくる。どこかで売れるかな。各章の扉として1ページのモノクロ・イラストが挿入されている。クレジット頁によれば Buzzcity Press は The Silver Web という雑誌をメインに出している。シリーズ・エディタは Ann Kennedy となっていて、今のヴァンダミア夫人。いつ、どこで買ったか、まったく覚えがない。出た当時に買っているはずで、Mark V. Ziesing あたりだろうか。この時にはまだまったく海のものとも山のものともわからなかったはずだ。


エアコンのリモコンにフィルタ異常と出るので、生協経由で掃除を申し込む。夜、連絡があり。据付を調べると2007年と判明。10年以上経つので部品が無く、故障した場合は直せない。とのことで、キャンセル。買換えを計画せざるをえない。今のところ、まだ動いてはいる。
散歩の供はまず Ale Moller, Hans Ek, Lena Willemark, Vasteras Sinfonietta, The Nordan Suite。アレ・メッレルとリェナ・ヴィッレマルクが ECM から出した Nordan と Agram の2枚はスウェーデンと言わず、およそルーツ・ミュージックから生まれた最高の音楽のひとつで、これはその続篇というよりも、コンパニオン、対になるアルバムだろう。ECM の2枚は贅肉を削ぎおとした最小限のアンサンブルで、悽愴なまでに美しいが、こちらはフルオケとルーツ楽器、ヴォーカルとの協奏曲の形式による荘厳な作物。どちらも聴くたびに違って聞えるぐらい、おそろしくダイナミックな音楽でもある。
協奏曲とは言っても、ヴォーカルとフィドル、パイプ、セリフロイト、マンドーラなどをオケが支えるホモフォニーに終っていないところがいい。例によってCDがどこかにまぎれこんで確認できないが、まあ、アレが中心になって編曲しているのだろう。クラシック用とされている楽器、管や弦が水を得た魚のように活き活きとルーツ楽器と対等に五分に渡り合い、ほんもののポリフォニーを作ってゆく。それを切り裂くリェナの「牛呼び」の声。
録音もばっちりで、こいつは歩きながらだけでなく、腰を据えて、フルサイズのヘッドフォンでも聴こう。どこかのオーディオ屋にもっていって、スピーカーの試聴と称して聴いてもみるかな。
続いては Bandcamp で買ったアンディ・アーヴァインの Rainy Sundays…Windy Dreams。CD化された時と同じ、LPでは裏面に使われていた写真を表にしたジャケットは同じ。確かにこちらの方が写真としては面白い。1980年に、その前のポール・ブレディとの共作とほぼ同じメンバーで作ったアンディの初のソロ。出た時の鮮烈な印象は忘れられない。

それまで聴いていたクリスティ・ムーアやポール・ブレディのソロは例えばニック・ジョーンズ、ヴィン・ガーバット、ディック・ゴーハンといった人たちのソロの直系の子孫と聞くこともできた。ポール・ブレディなどは少なくともこの当時はこうしたイングランドやスコットランドのシンガーたちへの憧れというよりもコンプレックスが明らかだ。フランスのガブリエル・ヤクーもそうだが、1970年代にはイングランドやスコットランドのロゥランドがお手本だった。
けれどもアンディのこのソロは違った。ひどく新鮮で、地の底から湧いてくるような熱気をたたえて迫ってきた。冒頭の15分を超える移民のうたのメドレーの生々しさに吹っ飛ばされた。ちょうど同じ頃、ドロレス・ケーン&ジョン・フォークナーも Farewell To Eirinn を出してアイルランドにとって「移民」の持つ重さを感じだしてもいた。この2曲目、Farewell To Old Ireland のリフでのドーナルのブズーキとアンディのマンドラ(とクレジットにはある)のシンコペーションのカッコよさ! CDを買いそこねたので、聴くのは本当に久しぶりだが、みずみずしさは少しも損われていない。
それにしても声が若いのを除けば、音楽的にはもうこの時点で完成しているのは、あらためて凄い。ドーナルのプロデュースに隙はなく、エネルギッシュなのだが、隅々まで丁寧に作っている。聴き直して今回面白かったのは本来ラストだったアンディの自作のタイトル曲で、ガーヴァン・ギャラハーのベース、ポール・バレットのシンセに、キース・ドナルドのサックスという、この中では変則的で後のムーヴィング・ハーツの原型のような編成。このドナルドのサックスがすばらしい。その後、あちこちでこの人の参加した録音は聴いているが、これがベストではないか。こんなに吹ける人なら、もっとちゃんと聴いてみたい。
B面のルーマニアの Blood and Gold から Paidushko Horo の流れも後の East Wind や『リバーダンス』でのロシアン・ダンス・シークエンスをこの時点で完全に先取りしている。Blood and Gold はその後あちこちでカヴァーされているけれど、Bandcamp にあるアンディのノートによると、この曲は本来16分の5拍子なのに、みんな8分の6拍子のジグにしてしまっているとあるのは笑える。アンディはやっぱり最高だ。自伝を書いてるそうで、早く読みたいぞ。
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