4月8日・木
 「感性を刺激する音」とか「憧れのマークレビンソン」とか、PhileWeb の記事のタイトルに笑ってしまう。いやしくもオーディオ市場に出ている製品の音で「感性を刺激」しない音はあるのか。今のマークレビンソンが、かつて憧れの的だった「あの」マーク・レヴィンソンとその製品とは縁もゆかりもないことは、オーディオファイルなら常識ではないか。要するに語彙の貧困。書き手は文章についてのインプットが不足している。つまり本を読んでいない。ああ、しかし、人のフリ見て我がフリ直せ。もっと本を読みたい。

 THX Onyx。今どき USB B のコネクタってどうなのよ、と思いながらも M11Pro で THX AAA の実力を日々思い知らされている身としては、気にならなくもない。しかあし、その M11Pro があるからには、買う必要無し。と言い聞かせる。

 しかし M11Pro に続いて M15 も生産完了だそうだ。半導体の世界的不足のためらしい。M11Pro は大事に使わねば。 

 Le Guin, Annals Of The Western Shore, LOA着。LOA のル・グィン5冊め。LOA はやはりル・グィンを全部出すつもりらしい。今年は『アースシー』以外の残りの長篇かな。
 





 散歩の供は Paul Downes & Phil Beer, Life Ain’t Worth Living The Old Fashioned Way。1973年の2人名義のファースト。2人それぞれにとってもレコード・デビューらしい。デュオとして3枚あるうちこれのみ2016年に Talking Elephant から CD化されていた。アナログではこれのみ手に入らなかった。他の2枚もぜひデジタル化してほしいものだ。アナログでの記憶は後の2枚もすぐれもので、とりわけ2枚組ライヴ盤は傑作だった。

 
Life Ain't Worth Living in the
Paul Downs & Phil Beer
Imports
2016-12-16


 二十歳のビアがやせている! もっとも細く見える角度から撮ったか。ビアとダウンズが1曲ずつ書いている他は伝統歌。どれも有名どころではあるが、どれもなかなかに聴かせる。ビアの声が若い。ダウンズはほとんど変わらない。ダウンズの声は太く低いバリトン、ビアの声は表面柔かいが時々シャープにもなるテナー。ビアは楽器の腕はすでに一級。やはり天才だ。ビアはここでもショウ・オヴ・ハンズと同様の立ち位置。というより、ショウ・オヴ・ハンズはダウンズがナイトリィに替わっただけ、と言えないこともない。といってダウンズがシンガーとしてナイトリィに劣るわけでもない。ソングライターとしてはナイトリィの方に分がある。セカンドではなんとナイトリィの曲を数曲とりあげていた。ここに1曲入っているダウンズの曲は結構面白いが、書くのは好きではないのか。違いがあるとすればそこだろうか。ライヴを聴くかぎりは、この2人でずっとやってもよかったのではないかと思えた。

 これはどうやらLPからの起こしらしい。ぷちぷちと針音がするところがある。散歩しながらの時はわからなかったが、M11Pro > 428 > T3-01 で聴くと明らか。もっとも全体の音は良い。元の録音が優秀なのだろう。しかし、となると、他の2枚もマスターテープ紛失か。(ゆ)