4月10日・土
先日の DNB のフリー配信の Sir Victor Gollancz。遺産額28,603GBP。あの大出版人としてはささやかなものではないか。ペンギン帝国を築いた Allen Lane は121,647GBP。4.25倍。
先日の DNB のフリー配信の Sir Victor Gollancz。遺産額28,603GBP。あの大出版人としてはささやかなものではないか。ペンギン帝国を築いた Allen Lane は121,647GBP。4.25倍。
B5判で26、A4判で30、A5判で20個の穴が穿けられているルーズリーフの紙は日本のみのものらしい。これは一体、いつ、どこで、誰が考案したのか。ISO で決まっているのは二穴のみ。スウェーデン、スペインでは四穴がスタンダード、ドイツでも四穴だが、穴は等間隔ではなく、二つずつ別れる。北米ではレター・サイズに三穴がスタンダード。日本だけがダントツに多い。もちろん穴は最低二つ、せいぜい三つか四つあればすむ。こんなにたくさん穿ける必要はない。用紙もバインダーも製作に手間とコストがおそらく数倍はかかる。原材料もムダだ。
わが国でルーズリーフの普及が今一つなのも、この穴の多さが原因ではないか。バインダーに綴じこむのが結構な手間だ。安いバインダーのリングは上端が固定されて半分が回転し、開いてリーフを入れ、閉じて下端のラッチをはめるものが多い。リングの半分を横に開くためには平らに開かねばならず、スペースをとる。スペースをとらないレバーでリングが開閉する方式は高くなる。いずれも標準では厚さも不足で100枚綴じるのはきつい。リーフを入れる時、3個ないし4個の穴に入れるよりも神経を使う。つまり使い勝手が悪い。デジタル時代が始まる直前にバイブル・サイズのシステム手帳が大流行したのも、あちらは穴が6個で格段に綴じやすいことも原因の一つではなかったか。
穴の数が多いことによるメリットとしては、サイズの異なる紙を一つのバインダーに綴じられることがある。アメリカの文具屋でメーカーの Levenger にはそういうシステムがある。わが国でもまったく無いわけでもない。サイズと位置を合わせて穴の穿けたカードも売っている。が、システム展開をしているとは見えない。
アメリカなどでは子どもたちのノートはルーズリーフがデフォルトだったそうだ。もう30年前だが、ロサンゼルスに半年仕事でいた時も、UCLA の門があるウェストウッドあたりの文房具屋に行くと三穴のルーズリーフの紙、レターサイズという少し幅のある A4 の大きさのものが300枚、500枚の束でまさに二束三文の値段で山積みになっていた。バインダーはダンボール剥出しのものから、高級な革製品まで千差万別。厚さも様々で、大きいのは300枚ぐらいまで優に綴じられた。
もう今さら紙のノートなど必要ない、既存のシステムで充分なのかもしれないが、紙に書くための筆記具は新製品が絶えないし、ノートの人気も衰えないようだ。3種類ないし4種類の文字を混用する日本語の表記は、手書き文字認識の進化にもかかわらず、デジタル化に抵抗しているようにみえる。スマホ、タブレットの時代にあっても、毎年シーズンには手帳、日記、ノートで大騒ぎする。バイブル・サイズのシステム手帳も根強いらしく、文具の売り場では結構なスペースをとっている。日本語のためのルーズリーフのシステムも、どこか「再発明」してくれないか。
たとえば穴の位置はそのままで数だけ四つないし三つに減らしたバインダーとそれに合わせた紙。紙質は多少落としてもいい。リーガルパッドぐらいで充分。書き味などはそんなに気にならない。筆記具との組合せにもよるんだし。
C. J. Cherryh, The Paladin 着。『サイティーン』Cyteen の陰に隠れてしまっているが、『サイティーン』の2ヶ月後に出た珍しく独立のファンタジィ長篇。チェリィにはまったくの独立の長篇は4本しかない。ローカス賞での Best Fantasy Novel 第2位(1位はオースン・スコット・カードの Red Prophet)というのは、ファンタジィではチェリィにとっては最高位。もしこの年こちらも1位になっていれば、SFとファンタジィのダブル・クラウンになっていた。ちゃんと調べたわけじゃないが、ローカス賞のSFとファンタジィのダブル・クラウンはまだいないだろう。ローカス賞はSFとファンタジィとホラーは分けていて、重複選出はしないから、ハードルはとんでもなく高い。それに最も近いか。それにしても、チェリィは一時期は毎年複数の長篇を出し、それが軒並ローカス賞選考で上位入賞している。それもSF、ファンタジィ双方でだ。こんな書き手は他にはまずいないだろう。(ゆ)
コメント