シンガーでブズーキ奏者のショーン・コーコランが5月3日に74歳で亡くなったそうです。JOM の記事では死因は明かされていません。追記:別の記事では短期間病床にあって、穏かに旅立った由。なお、8年前に今の奥さんの Vera と結婚してイングランドに住み、亡くなったのは北イングランド、ダービーシャの Buxton というところでした。 

 コーコランはぼくらにとってはまず何よりも Cran のメンバーであり、来日もしました。ぼくは残念ながら行けませんでしたが、東京でのコンサートはすばらしかったそうです。



 JOM の記事によるとコーコランはミュージシャンだけでなく、音楽のコレクターであり、出身地ラウズ州はじめノーザン・アイルランドの音楽を精力的に集めました。この方面では Mary Ann Carolan (1902–85) の発掘が大きな功績でしょう。この人は良い歌をたくさん伝えましたが、ぼくにとっては〈Bonnie Light Horseman〉の別ヴァージョンのソースとして忘れられません。Topic盤のコーコランのライナーによれば二つのヴァージョンは南版と北/西版があるそうで、カロランは南版。ドロレス・ケーンが歌っているのが北/西版になるらしい。

 


 また過去のコレクターについての研究家でもあったそうです。Edward Bunting やオニールのような有名人だけでなく、John Sheil (1784–1872) や Rev. Richard Henebry (1863-1916) といった隠れた存在にも光を当てました。テレビ、ラジオのドキュメンタリー番組へも貢献しています。

 わが国にも来てくれた縁のあるミュージシャンが亡くなるのは格別の寂しさがあります。冥福を祈ります。合掌。(ゆ)