水無月2日・水曜日
 
 Facebook が利用者がアップロードする写真の撮影場所情報を秘かに収集していることが明るみに出て、iOS や macOS で写真に付属するメタデータをマニュアルで取り除く方法を TidBITS が公開していた。Instagram はじめ、広告を収入源にしているサーヴィスはどれも同じだろう。


 アマゾンに予約していた Samuel R. Delany, Occasional Views, Vol. 1 着。3月に出るはずのものが遅れていた。Vol. 2 が年末に予定されているけれど、ちゃんと出るかな。主に1980〜90年代にあちこちに出たエッセイ、インタヴューなど32本を集める。未発表も数本。既刊の Shorter Views、Longer Views に合わせたタイトル。ウェズリアン大学出版部からの一連のエッセイ、書簡、日記の最新刊になる。索引入れて400頁足らずで、それほど厚くないなと思ったら、活字がこれまでより格段に小さくなって、ぎっしり詰めこんだ感じ。

Occasional Views: More About Writing and Other Essays
Delany, Samuel R.
Wesleyan Univ Pr
2021-03-02

 

 バトラー関連の2本があるので、眼を通す。1997年の Dialogue with と1999年の Introducing。前者は別の人間とのメールのやりとりで、ディレーニィとバトラーの対話というよりはダブル・インタヴュー。Vibe 掲載、というのだが、これかな。後者はあるパーティーの席上での紹介の挨拶。バトラーは前者ではちょうど Talents を書いているところで、後者はそれが出て間もない頃。前者では Talents の1シーンを引き合いに出している。テクノロジー、セックスなどが話題だが、二人とも奴隷制に最もヴィヴィッドに反応している。後者はクラリオンでの出逢った物静かでシャイな若い女性が、それから20年後、堂々たる存在感を持ち、マッカーサー「天才」賞も受賞して、場を共にするのが名誉と思えるような作家になっているバトラーの変化を比較する。こちらは未発表。

 ディレーニィと対照的にバトラーはエッセイが極端に少なくて、バトラー側からディレーニィをどう見ていたかはほとんどわからない。残された日記や書類を精査すれば出てくるかもしれないが。(ゆ)