7月1日・金
Centipide Press や Subterranean Press はモノはいいんだが、送料がバカ高くて困る。かれらのせいではないかもしれないが、本体とほぼ同じとか、本体より高い。PS Publishing も直販オンリーだが、イングランドは大英帝国の遺産で、送料は上がってきてはいるものの、相対的に安い。

ファファード&グレイ・マウザーの5冊めにして、唯一の長篇。本文は複数持っているが、今回これを買ったのは付録のため。オリジナルは1968年1月、Ace Books からペーパーバック・オリジナルとして出た。この時、Ace の編集者ウォルハイムの要請で、ライバーは「エロが過ぎる」とされた個所を削除した。その顛末を詳細に綴り、削除した部分も載せたのが "Sex and the Fantasist" で、1982年に Fantasy Newsletter に2回に分けて発表。今回はそれ以来初めて活字になった。初出誌は今さら手に入るはずもなし(こういうもの、国内で揃えてるヤツなんかいるのか)、これはまことにありがたい。それにしてもこのエッセイのシリーズ、全部ちゃんと読みたいぞ。Locus にライバーが長いこと連載していたエッセイのシリーズもまとまっていない。Locus がまだタイプ原稿を版下にしていた頃からだから、電子化もままならないか。
ここにはさらに "The Mouser & Hisvet" なるセクションがあり、ISFDB にも記載が無い。Centipede の仕事は徹底していて、ヒューストン大学図書館所蔵のライバー関係書類の中にある Swords のオリジナル原稿にもあたったらしい。すると、上記エッセイで触れられているもの以外にも削除された部分があることが判明した。こちらはまとまった削除ではなく、分散しているので、それを含む8章と13章の各々の個所を削除されたテキストをゴチックで復刻して提示したもの。マウザーとヒスヴェットのラヴ・シーン。
もう一つ、最後の "The Tale of the Grain Ships" は書き始めて途中で放棄した長篇の冒頭部分。大長編になるはずだったらしい。後1960年に名編集者シール・ゴールドスミスのために "Scylla's Daughter" として書きなおし、ウォルハイムの要請でこれをさらに加筆改訂して本書の長篇になる。この断片は New York Review of Science Fiction, 1977年5月号に発表されて以来の活字化。
Centipede のこのシリーズは年1冊のペースだから、あと2年。付録に何が入るか楽しみではあるが、完結まで生きていられるか。(ゆ)
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