10月23日・金
先日の PhileWeb で野村ケンジが薦めていた有線イヤフォンのうち、JVC HA-FW7 を買った。
夜、開梱。まず1曲聴き、夕食の間にピンクノイズのエージングをかけて、夜また聴く。かなり良い。クリアで見通しがよく、音に存在感がある。イヤチップをSpiralDot++に交換。サウンドステージが広がり、音の雑味が減る。簡単なエージングでここまで良くなるのなら、ちゃんとかければ立派になるだろう。
アコースティックも良いが、デッドも良い。エレクトリックでもデッドの演奏では透明なアコースティックに近い音から、暴力的でノイジーな音まで、実に多種多様な音が響くが、各々にちゃんとリアリティがある。ということは、余計なことはしていないのだろう。もっともプレーヤーが良いのもあろうが、それにちゃんと応える。
これだけの音を聞かせてくれるなら、イヤフォンはこれを使って、その分プレーヤーに奢る、という手もある。一方で、エントリーでこれならば、ハイエンドはどうなのだ、というのも気になってくる。スピーカー・オーディオと違って、イヤフォン、ヘッドフォンはこう気になるとそのハイエンドに手が届いてしまう。エントリーは数万で、ハイエンドは数百万なんてことはない。
この音がダメだというのはわからん。好みでかたづけられる問題でもないような気がする。あるいは耳の問題かもしれない。オーディオでよく言われることに、1番大きな問題は機器ではなく部屋だ、というのがある。が、その前に、耳がいかれていてはどうにもなるまい。耳というのはハードウェアだけではない。鼓膜から来た信号を解釈する脳の中のソフトウェアとの組合せだ。ウォークマン難聴はハードウェアの問題だが、そこはクリアしているとしても、ソフトウェアがバグっていたり、仕様が最初から間違っていては、まともな動作はしない。あるいはディープラーニングで AI を鍛えるのに、不適切なデータを使うようなものだろう。
良い音かどうか判断するソフトウェアは、良い音をふだんから聴いて鍛える必要がある。良い音とはすなわち生演奏の音、それも生楽器の生の音、PAを通さない音だ。生楽器は演奏する人間による音の変化が大きいから、できるだけ名手の演奏を聴く必要もある。クラシックとは限らない。アイリッシュ・ミュージックでも、ジャズでも、インド古典音楽でも、コラでもいい。自然音でもいいかもしれないが、音楽は自然に鳴るものではないから、やはり演奏の方がいいと思う。鳥や虫の鳴き声はいいかな。
##本日のグレイトフル・デッド
10月23日には1966年から1989年まで、7本のショウをしている。公式リリースは3本。
1. 1966 Las Lomas High School, Walnut Creek, CA
開演午後3時。もとは Walnut Creek Library で予定されていた。セット・リスト不明。
2. 1970 McDonough Arena, Georgetown University, Washington, DC
5ドル。開演8時半。第一部は50分弱のニュー・ライダーズ・オヴ・パープル・セイジ。ガルシアがペダルスティール。第二部が1時間半弱のエレクトリック・デッド。FM放送されたが、テープは無いそうだ。ショウは最高だった由。
3. 1971 Easttown Theatre, Detroit, MI
このヴェニュー、2日連続の1日目。8時開演。ニュー・ライダーズ・オヴ・パープル・セイジも出ている。WABX で FMライブ放送されている。
4. 1972 Performing Arts Center, Milwaukee, WI
このヴェニュー、2日連続の1日目。骸骨をフィーチュアしたポスター。7時半開演。ショウは良かったそうだが、既存のメディアにとっては、ほとんどしゃべらずに黙々と演奏するのが異様に映ったらしい。MC を聴衆と結びつくために使うミュージシャンは多いが、デッドは音楽だけでどんなミュージシャンよりも強力な結び付きを聴衆と結んでいた。
5. 1973 Metropolitan Sports Center, Bloomington, MN
前半7曲目〈Black-Throated Wind〉が2015年の《30 Days Of Dead》でリリースされた。
警備員が横暴で、トラブルが絶えず、終演後、クロイツマンがその一人と喧嘩になったといわれる。
珍しくキースがオルガンを弾いていて、なかなか良い。これならもっと弾いてもらいたい。キースのはずだが、あまりかれらしく聞えない。
6. 1980 Radio City Music Hall, New York, NY
8本連続の2本目。第一部アコースティック・セット全部が《Reckoning》2004年の拡大版で、第二部5曲目の〈Althea〉が《Beyond Description》中の《Go To Heaven》ボーナス・トラックでリリースされた。
第一部〈Cassidy〉のガルシアのソロがいい。抒情たっぷりの〈China Doll〉がいい。これにチェンバロを使うことを思いついたのは誰だろう。ミドランドか。確かにこの歌はピアノではない。
7. 1989 Charlotte Coliseum, Charlotte, VA
2日連続の2日目。開演7時半。前半ラストの2曲〈Tennessee Jed〉〈Let It Grow〉が2010年の、オープニング2曲目〈Feel Like A Stranger〉が2020年の《30 Days Of Dead》でリリースされた。
〈California Earthquake (Whole Lotta Shakin' Goin' On) 〉がオープナー。2度目で最後の演奏。ちなみにこの歌はロドニー・クロゥエルのデビュー・アルバム掉尾を飾るワルツ。コーラスのラストの1行
"We'll build ourselves another town you can tear it down again."
には励まされる。
会場周辺でのデッドヘッドと地元警察との軋轢が悪化していた時期だが、ここはことさらに悪かったらしい。
ショウは前日よりは良かった。(ゆ)
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