このところ訳あって、チーフテンズをファーストから聴いている。実によい。まず、ゲストがいないのが心地良い。アイリッシュ・ミュージックの新しい形を生みだそうとする意気込みが熱い。新しい音楽を貪欲に取り入れようとする好奇心がいい。チーフテンズが認められたのは、愚直に自分たちの音楽を追求していたこの姿勢とその成果のおかげだった。

 『10』でマン島の音楽をとりあげているのに、あらためて驚く。Charles Guard のハープ・ソロ Avenging And Delight》はすばらしいアルバムと記憶していたが、てっきりスコットランドの人と思いこんでいたら、マン島の人だった。

 それにこの時期、パディ・モローニはちゃんとパイプを演奏している。時間としては多くないが、かれのソロは随所にあって、もっと聴いていたくなる。ただ、ドローンの使用がどんどん減ってゆくのもわかる。

 一方でアイリッシュ・ミュージックにあって、新しい形を採用する、提示することを続けることがいかに難しいか、ということもわかる。そしてその志向がおそらく1960年代後半から1970年代にかけての時代的趨勢に根差しているのも見える。プランクシティもボシィ・バンドもデ・ダナンその志向の産物だ。これがアルタンになると変わってくる。前の時期の新しい形は外部からの導入だが、アルタン以降はアイリッシュ・ミュージックの内部から自然にわき出る流れにそうようになる。

 その意味ではチーフテンズは1960年代の精神に殉じて、外部の要素のとりこみを最後までつづけたと言える。


1030日・金

##本日のグレイトフル・デッド

 1030日には1968年から1991年まで、11本のショウをしている。公式リリース3本。うち完全版2本。


1. 1968 The Matrix, San Francisco, CA

 前日と同じく、Mickey and the Hartbeats または Jerry Garcia & Friends 名義のショウ。


2. 1970 University Gymnasium, State University of New York, Stony Brook, NY

 同じヴェニュー2日連続の初日。4ドル。正午開始の Early Show Late Show の二部構成。前半はどちらもガルシア参加のニュー・ライダーズ・オヴ・パープル・セイジ。後半はエレクトリック・デッド。Early Show の客は一度外に出て、Late Show の客が入った後、Early Show のチケットの半券で入場できた。Early Show は2時間ほど、Late Show は3時間弱。


3. 1971 Taft Auditorium, Cincinnati, OH

 後半3曲目〈Comes A Time〉が2015年の《30 Days Of Dead》でリリースされた。WEBN FM放送されてブートがある。


4. 1972 Ford Auditorium, Detroit, MI

 9月初旬からの秋のツアー第一レグの千秋楽。この年の典型的、ということは良いショウの由。


5. 1973 Kiel Auditorium, St. Louis, MO

 このヴェニュー2日目。前日とともに《Listen To The River》で完全版がリリースされた。


6. 1976 Cobo Arena, Detroit, MI

 《30 Trips Around The Sun》の1本として、完全版がリリースされた。


7. 1980 Radio City Music Hall, New York, NY

 8本連続の7本目。第一部4曲目〈On the Road Again〉が《Reckoning》でリリースされた。


08. 1983 Marin Veterans Memorial Auditorium, San Rafael, CA

 情報が無い。


09. 1984 Berkeley Community Theatre, Berkeley, CA

 すばらしいショウの由。


10. 1990 Wembley Arena, London, England

 最後のヨーロッパ・ツアー、最後の寄港地での3日連続の初日。17ポンド。開演7時半。まずまずのショウ。電話でしゃべっている2人のイングランド人女性の声が〈Drums〉で使用された。〈Valley Road〉はブルース・ホーンスビィのボックス・セット《Intersections: 1985-2005》に収録された。


11. 1991 Oakland-Alameda County Coliseum Arena, Oakland, CA

 開演7時。4本連続の3本目。情報がない。(ゆ)