1201日・水

 上京したので、新宿・京王地下の Paul でバタールを買って帰る。パン・ド・ミがあるので、それも買う。パン・ド・ミはさすがにまっとうだが、コペに比べてそれほど違うとも思えない。しかし、バタールは他の国産のパン屋のものとは全然別物。ここは小麦粉からしてフランスから持ってきているそうだが、それだけではないんだろう。


 Library of America のブラッドベリの巻が刊行になり、記念して、編者へのインタヴュー LOA のサイトに出ている。

 この記事で初めて知ったことに、『火星年代記』のダブルディの初版からは除かれた話が2篇あった。除いたのは著者自身だが、本が出た直後、この削除を後悔して、戻そうとした。つまり全体では短篇17篇とブリッジ11篇になるはずなのだが、そう簡単にはこの本来の形では出ず、錯綜した事情の末、これまでにこの形で出ているのはごく少数。最も普及しているバンタムのマスマーケット・ペーパーバック版はダブルディの初版のまま。除かれたうちの一篇 "The Fire Balloons" は『刺青の男』に収録。もう一篇 "The Wilderness" は『太陽の黄金の林檎』に収録。邦訳『火星年代記』は初版のまま。LOA版では The Martian Chronicles に上記2篇が復活された形で収録。

 『火星年代記』も『刺青の男』も『太陽の黄金の林檎』も読んでいるが、この2篇はまったく覚えていない。『火星年代記』の一環として読めば、また読み方も変わってこよう。全体の姿も変わるかもしれない。この際、原語で読むべし。いや、しかし、ブラッドベリをこの前、最後に読んだのはいつだろう。ひょっとすると半世紀前か。いやいや、そんなことはないはずだ。。

 加えて今回の巻末にはひどく面白そうなエッセイ、それもファンジンやパンフレットに載ったものが数本集められてもいて、これを読むためだけにでも買う価値はありそうだ。

 それにしてもここに引用されている、第二次世界大戦直後のアメリカの「恐怖の文化」についての描写は、COVID-19 とりわけ、今回のオミクロン株に対する「恐怖」にもまさに恐しいほどぴたりとあてはまっている。



 Charlie Jane Anders の中短篇集 Even Greater Mistakes が珍しくもメジャーから出る。中短篇集がメジャーから出るのが珍しいので、昨今では中短篇集は Small Beer Press Subterranean Press のような専門の小版元からしか出なくなってきているから、これは応援する価値がある、注文しようとアマゾンで検索すると、そのすぐ下に Tui T. Sutherland という人の本が出てきて、3,000近い評価で星5つになっている。Scholastic から出ているジュヴナイル・ファンタジーのシリーズ Wings of Fire の最新刊で、若いドラゴンたちが主人公。著者はベネズエラ生まれ、パラグアイ、フロリダ、ドミニカなどに住んだ後、ニュー・ジャージーで高校に入る。母親はニュージーランド出身。という経歴がまず面白い。Tui というのはニュージーランド特産の鳥の名前。エリマキミツスイと総称される鳥の一種、だそうだ。ということで、第1巻 The Dragonet Prophecy の古書を注文。このシリーズ、2012年からの9年で14冊というハイペース。Netflix がワーナーとアニメ化するという。邦訳は無いようだ。

Even Greater Mistakes
Jane Anders, Charlie
Titan Books Ltd
2021-11-09

The Dragonet Prophecy (Wings of Fire)
Sutherland, Tui T.
Scholastic
2014-07-03


 mora qualitas のサービス終了。利用していないので知らないが、mora 本家で売れてるアニソンなどは聞けなかったのかしらん。それとも、アニソンのファンは高音質ストリーミングに興味が無いのか。それとも、結局ソニーお抱えのミュージシャンだけでは、Tidal Qobuz に対抗できないと判断したのか。そういえば、ストリーマなどストリーミング対応機器でも、TidalQobuz,Roon は当然として、Deezer はまだしも、mora qualitas が入ってますというのは見た覚えがなかったねえ。結局ガラバゴス化して、絶滅への道を歩んだのかな。というのは下司の勘繰りだけど、今の時代、何であれ、ガラパゴス化すると、結局絶滅するしかないんだろうね。アナログ時代からちゃんと続いてるものは別なんだろうけど、デジタルものではとりわけね。



##本日のグレイトフル・デッド

 1201日には1966年から1994年まで6本のショウをしている。公式リリースは無し。


1. 1966 The Matrix, San Francisco, CA

 このヴェニュー4日連続の3日目。


2. 1968 Grande Ballroom, Detroit, MI

 ポスターによると前日はブラッド・スエット&ティアーズが出ている。この日は Popcorn Blizzard が前座。

 Popcorn Blizzard はシンガーの Meat Loaf 本名 Marvin Lee Aday が最初に在籍して名を挙げたバンドとして知られる。1967年、ロサンゼルスでドラマーの Pete Woodman が結成。ベース、ギター、キーボードとシンガーの5人編成。


3. 1971 Boston Music Hall, Boston, MA

 ピグペンとキース・ガチョーが共に出た初めてのショウ。

 第二部で〈That's It for the Other One〉に〈Me and My Uncle〉が編みこまれたヴァージョンは、他にちょっと例が無く、どちらの曲にとっても特筆大書すべき出来、と DeadBase XI John W. Scott が書いている。


4. 1973 Boston Music Hall, Boston, MA

 このヴェニュー3日連続の中日。《Dick's Picks, Vol. 14》はこの前日と翌日のショウからのピックアップだが、なぜか採録されなかったこの中日も両日に劣るものではないそうだ。

 第二部の初めで、消防の規則にしたがえ、通路に立つなと、バンド・メンバーが聴衆に何度も呼びかけた由。


5. 1979 Stanley Theatre, Pittsburgh, PA

 セット・リスト以外の情報無し。


6. 1994 McNichols Arena, Denver, CO

 第一部クローザー前の〈When I Paint My Masterpiece〉でウィアはアコースティック・ギター。

 セット・リスト以外の他の情報無し。(ゆ)