安田さんからマーガレット・ワイス『レイストリン戦記』1・2をいただく。
『ドラゴンランス』で最も人気のあるレイストリンの幼少期から青年期の入口の話。『戦記』の始まる直前の、例の「上位魔法の塔」での大審問の内容も明らかになる。『ドラゴンランス』のファンなら、まあ読まずにはいられまい。
原書はワイスが単独で書いた Raistlin Chronicles の第1巻 The Soulforge, 1998 で、第2巻の Brothers In Arms, 1999 も続いて出るそうだ。
『ドラゴンランス』の本篇、『戦記』『伝説』『魂の戦争』はマーガレット・ワイスとトレイシー・ヒックマンの共作だが、どちらかというとワイスの方が小説家の役割のようだ。ヒックマンはゲーム・デザインなどの仕事もしているが、ワイスはほぼ作家専業で、最近まで小説を出している。
昨年年末にワイスとヒックマンが『ドラゴンランス』の版権所有者の Wizards of the Coast を訴えた、というニュースが Locus に出ていた。『ドラゴンランス』の新しい三部作をペンギンから出す企画が持ちあがり、WOTC の承認も得て、第一部の原稿を出版社に送ったところで、WOTC が突然承認を取り消し、企画を潰しにかかってきたので、堪忍袋の緒を切らしたものだ。ワイス&ヒックマン側の主張では、問題はこの新三部作そのものにあるのではなく、WOTC が他の方面で人種差別的言動をしたり、問題のある首切りをしたりして批難されたことに対する過剰反応のとばっちりを喰った、ということのようだ。その後、どうなったのか、続報は無いのだが、この2人が書く『ドラゴンランス』なら、誰しも読みたいところだろう。
ワイス&ヒックマンは『ドラゴンランス』以外にもいろいろ書いていて、気になるものもいくつかあるが、『ドラゴンランス』そのものも、まだきちんと最後まで読んでいないので、なかなか取りかかれない。
一方で、今年の春頃、急にムアコックのエルリックものが気になって、ゴランツ版を買いあつめた。先日の荷物整理でようやく、頭の方の巻が出てきて、あらためてニール・ゲイマンの緒言を読んでみると、The Jade Man's Eyes という中篇に触れている。これは The Sailor On The Seas Of Fate の原型になるそうで、ゴランツ版には入っていない。しかし、ゲイマンがここまで言うなら、原型といえども読んでみたくなる。実際、邦訳も別に出ている。
ISFDB によると2008年に Del Rey/Ballantine から出た Chronicles Of The Last Emperor Of Melnibone というシリーズに入っている。さらにこのシリーズの第4巻 Duke Elric と 第6巻 Swords And Roses の巻に入っているものの一部はゴランツ版に収録が無い。どうにも気になって、結局3冊とも注文してしまう。
さて、しかし、心をおちつけて、エルリックものを読めるのはいつの日か。
そう、レイストリンもエルリックの数多い子孫の1人、あるいはエルリックの転生した姿の一つではある。
##本日のグレイトフル・デッド
12月05日には1969年から1992年まで5本のショウをしている。公式リリースは1本。
1. 1969 Fillmore West, San Francisco, CA
4日連続2日目。約1時間半強の一本勝負。
翌日のオルタモントのショウについて、ウィアやガルシアがコメントしていたそうな。
2. 1971 Felt Forum, Madison Square Garden, New York, NY
4日連続2日目。アンコールを除いてFM放送された。
〈Dark Star〉が「異様」、こんなのは他に無い、と Mike Dolgushkin が DeadBase XI で書いている。これにはブートがあるので聴いてみると、12-01と同じく〈Me and My Uncle〉がはさみ込まれている。これも面白いが、その後のフリー・リズムのジャムがいい。とはいえ、この曲はいかようにもなるのだ、この曲でならどんなことが起きようとOKなのだ。ということを、あらためて思い知らされる。デッドはこの曲を演奏しながらデッドになっていった、というのがあたしの見立てだが、どんな実験も呑みこんで、面白いものにしてしまう懐の深さがこの曲にはある。しかもこの即興はジャズの即興とはまた違う。いわゆるフリー・ミュージックでもない。ロックの即興ではさらに無い。混沌とした中に、しなやかに、しぶとく、筋が通っている。長いジャムになる曲は他にもいくつもあるし、各々に面白いのだが、この曲の持つ「原初」の感覚、いつもことがそもそもの初めから新たに始まる感覚はユニークだ。
3. 1979 Uptown Theatre, Chicago, IL
3日連続の最終日。第二部オープナー〈Shakedown Street〉が2019年の、4・5曲目〈He's Gone> The Other One〉が今年の《30 Days Of Dead》で各々リリースされた。どちらもすばらしい演奏。第二部がことさらに良かったらしい。
4. 1981 Market Square Arena, Indianapolis, IN
開演8時。セット・リスト以外の他の情報無し。
5. 1992 Compton Terrace Amphitheatre, Chandler, AZ
24.50ドル。開演午後2時。チャンドラーはフェニックス南東の郊外の街。DeadBase XI の Sharon & Bill Weisman のレポートによれば、この日と翌日の2日とも良いショウだった。この日はウェルニクの両親が本人の後ろで見ていた由。前日金曜日はアメリカの西半分は嵐で、このカップルは土砂降りの雨の中、バーバンクを飛びたち、やはり土砂降りの雨の中、アリゾナに降りたっている。この頃になると、ある便の乗客の大部分がデッドヘッドということもありえた。フェニックスの空港は Phoenix Sky Harbor というシャレた名前がついている。デンバーから来た人びとは欠航と道路閉鎖で結局この日には間に合わなかった。(ゆ)
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