12月14日・火
LOA 版ブラッドベリ着。
『火星年代記』問題の2篇は
The Fire Balloons「火の玉」が「2002年11月」で、The Shore「岸」と Interim「とかくするうちに」の間。
The Wilderness「荒野」は「2003年5月」で、The Musicians「音楽家たち」と Way in the Middle of the Air「空のあなたの道へ」の間。
に置かれている。なお、巻末の Note on the Texts にはこの書物の出版がたどった錯綜した事情が述べられている。上記2篇のない版の出版・重版もブラッドベリは承認していた。しかし 'complete' な版としては上記2篇が含まれたものと考えていた。結局ここに採用されているのは1973年の Doubleday 版。
一方で、『火星年代記』を構成する個々の作品は、『火星年代記』に収めるためにブラッドベリによって改訂されている。そして『火星年代記』刊行後も、改訂前の形で各種の作品集、アンソロジーに収録され続けた。
また Notes の前書きによれば現在計画されている LOA でのブラッドベリは2巻で、もう1巻には『刺青の男』と『十月はたそがれの国』を中心として同時期の短篇が集められる予定。この2巻で1950年代のブラッドベリをカヴァーする意図らしい。
巻末「補遺」に収められたエッセイは6篇。
A Few Notes on The Martian Chronicles; Rhodomagnetic Digest, 1950-05
『火星年代記』成立の事情と目指したものを著者の視点から語る。シャーウッド・アンダーソンの『オハイオ州ワインズバーグ』と Jessamyn West の Friendly Persuasion (1945) がお手本だそうだ。後者はインディアナ州のあるクェーカーの農場を短篇連作で語るものの由。
掲載誌は同人誌。Rhodomagnetism はジャック・ウィリアムスンが『ヒューマノイド』の原形の中篇 "With Folded Hands" 邦訳「組み合わされた手」(『パンドラ効果』所収)で描いた架空のテクノロジー。
Day after Tomorrow: Why Science Fiction?; The Nation, 1953-05-02
No Man Is an Island; Los Angeles: National Women's Committee of Brandeis University, 1952
Just This Side of Byzantium (An Introduction to Dandelion Wine); Alfred A. Knopf, 1975
Dandelion Wine Revisited; Gourmet, 1991-06
Carnivals, Near and Far (An Afterword to Something Wicked This Way Comes); Harper Voyager, 1998
遅まきながら気がついたが、このLOAの巻の編者 Jonathan R. Eller はブラッドベリの伝記三部作 Becoming Ray Bradbury (2011), Ray Bradbury Unbound (2014), Bradbury Beyond Apollo (2020) の著者。
ちなみにこの三部作を出している University of Illinois Press は Modern Masters Of Science Fiction という作家のモノグラフのシリーズも出している。シリーズの編者が Gary K. Wolfe で、対象の作家の選択に癖があって面白い。
##本日のグレイトフル・デッド
12月14日には1968年から1990年まで4本のショウをしている。公式リリースは1本。ほぼ完全版。
1. 1968 The Bank, Torrance, CA
このヴェニュー2日連続の2日目。セット・リスト不明。
この会場には10月に続く2度目の出演で、このヴェニューの最後の日でもあった。閉鎖の原因はここで逮捕される人間が相次いだために、客が来なくなったからで、こうした場所の存在を嫌った警察が仕組んだもの。残っているこの2日間のポスターでは、警察の弾圧に抵抗するよう訴えている。
2. 1971 Hill Auditorium, Ann Arbor, MI
このヴェニュー2日連続の1日目。5ドル。開演7時。第二部オープナー〈Ramble On Rose〉を除く全体が、《Dave’s Picks, Vol. 26》と《Dave’s Bonus Disc 2018》でリリースされた。
この日の〈That's It for the Other One〉も途中で〈Me and My Uncle〉をモチーフとしたジャムが出現するが、今回はウィアが歌うまでにはいたらず、Space のジャムになり、また明確なメロディが現れて2番が歌われ、〈Wharf Rat〉に移る。〈That's It for the Other One〉が〈Cryptical Envelopment〉ではさまれた組曲から、〈The Other One〉だけになる移行期だが、そこに〈Me and My Uncle〉がはさまるのが興味深い。〈Me and My Uncle〉はデッドによる演奏回数第1位の曲だが、独立に演奏される時も、こうした一種の挿入歌のようにみなされていたのかもしれない。
3. 1980 Long Beach Arena, Long Beach, CA
第一部4曲目〈Little Red Rooster〉に Matthew Kelly が、第二部の Drums にアイアート・モレイラとフローラ・プリムが各々参加。
4. 1990 McNichols Arena, Denver, CO
21.45ドル。開演7時。(ゆ)
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